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高校野球甲子園の大逆転劇!過去の記録的な4試合とは?

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逆転タイムリー!

高校野球は筋書きのないドラマ、あるいは甲子園には魔物がひそむ、といたフレーズを耳にすることがあります。高校野球では時に信じられないような大逆転劇が起きます。

甲子園では選手が本来の力以上のものを発揮することはよくあります。それでも大差で負けている展開で終盤にひっくり返すという試合はなかなかありません。そんな中、過去にあった記録的な大逆転試合にはどんな試合があったのか?まとめてみました。早速見てみましょう!

11回裏6点差を追いつく!

最終回もしくは延長の1イニングだけで追いつき、あるいは逆転した試合の甲子園史上最大の得点差は6点です。昭和36年の第43回選手権大会の報徳学園対倉敷工業の試合でその奇跡が起きました。

今でこそ甲子園の常連校の報徳学園ですが、昭和36年の夏の大会が初出場でした。まさに甲子園初の試合となる1回戦の相手は、岡山県の強豪倉敷工。試合は終盤まで緊迫した投手戦で延長に突入します。

11回表の倉敷工の攻撃では一挙6点を奪われます。この時点で試合は決したと思われましたが、11回裏の報徳の攻撃は先頭の2番打者が内野安打で出塁するも後続が打ち取られ1死1塁となります。

その後、4番打者の死球で1死1、2塁とすると5番打者がライト前ヒットで1点を返し1-6、1死2、3塁で6番打者のファーストゴロの間に3塁走者が返り2-6とします。しかしすでに2死3塁と追い詰められます。

7番打者が四球で出塁し何とか2死1、3塁とした後、8番打者がレフト前にタイムリーヒットを放ち3-6と3点差に詰め寄ります。それでも2死1、2塁でまだ苦しい状況は続きますが、後続の9番打者がレフト前ヒットで続き2死満塁まで粘ります。

ここで1番打者がセンター前ヒットで2点を返し5-6といよいよ1点差まで迫ります。2死2塁の場面で打者一巡の2番打者がセンター前にヒットを放つと、バックホームの送球がそれ見事同点に追いつきます。後続は打ち取られ、結局6-6のまま延長12回の攻防へ進みます。

しかし6点差を追いついた報徳と追いつかれた倉敷工とは明らかに勢いが異なり、12回裏に満塁からサヨナラヒットで報徳学園が勝利をおさめました。延長戦で史上最大の6点差を追いつき、サヨナラ勝ちした報徳学園は「逆転の報徳」という異名をとることとなりました。

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最終回の逆転に次ぐ逆転劇

平成18年の第88回選手権大会の準々決勝では、東西の名門、甲子園の名将対決ともなった前田監督の帝京高校と高嶋監督の智辯和歌山との試合は壮絶な結末となりました。

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試合は8回終了時点で智辯和歌山が8-4と帝京を4点リード、このまま智辯和歌山がすんなり勝利すると思われた9回の攻防で壮絶な逆転劇が繰り広げられます。帝京は4点差のまま2死1、2塁と粘りを見せると、後続が4連打で1点差まで迫ります。

ここで後続の打者が2点タイムリーで9-8と逆転に成功すると、続く打者の3ランホームランが飛び出して12-8と逆に4点差をつけて9回裏の守りにつきます。リードしていた智辯和歌山からすれば、4点差で逃げ切る勝利目前から一転4点差を追いかけるまさに天国から地獄の状況です。

普通ならばこの時点で「ジ・エンド」となるところですが、さすがの智辯和歌山は簡単に終わらせてはくれません。9回裏の智辯和歌山の攻撃はいきなり2連続四球で無死1、2塁のチャンスを得ます。

ここで4番の橋本選手が起死回生の3ランホームランを放ち、一瞬にして11-12と1点差に詰め寄ります。さらに智辯和歌山は四球と死球で再び無死1、2塁のチャンスを作ると、代打の青石選手が同点タイムリーを放ちます。

続けて1、2塁の場面から四球で満塁にチャンスを広げると最後も四球を奪い結局サヨナラ押し出しで5得点目、智辯和歌山が13-12と帝京を下しました。この時の帝京は9回の攻撃で投手に代打を送ったため、9回裏の守りでは控え投手が残っていないという事態に陥ってしまいました。

しかし4点差を追いつくためには仕方のない采配であり、まして4点差で9回裏を迎えた時点で何とか逃げ切れると思うのも無理はないでしょう。

ちなみにこの試合では、9回表に最後の打者を1球で抑えた松本投手が勝利投手、9回裏にサヨナラのランナーを死球で出した杉谷投手が1球で交代して敗戦投手と勝利投手、敗戦投手がともに1球という唯一の珍記録となりました。

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終盤に6点差を逆転、9回に追いつかれタイブレークで決着

平成30年の第100回選手権大会の2回戦は星稜高校と済美高校が対戦、タイブレークの末に史上初の逆転サヨナラ満塁本塁打で決着するという劇的な幕切れとなりました。

この試合では初回に星稜が5点を先制、星稜の投手は2年生ながら注目の右腕奥川投手です。その後も点差を広げ7-1と6点差、好投手奥川投手を相手にこの点差は絶望的かと思われた展開でしたが、奥川投手が足を負傷し降板します。

星稜が6点差で迎えた8回裏の済美の攻撃は3ランホームランを含む8得点で終盤に一気に逆転、9-7として9回表星稜の最後の攻撃を迎えます。しかし星稜も9回に粘りを見せ2点差を追いつき、9-9で延長戦に突入します。

しかし延長戦では両校とも得点を奪えず、12回裏には済美が1死満塁とサヨナラのチャンスを作ります。この場面では後続の打者2人に対して3ボールとサヨナラ押し出しのピンチを迎えますが、いずれも三振を奪い危機一髪の状況を切り抜けます。

結局両校無得点のまま13回からは史上2試合目のタイブレークへともつれ込み、13回表の星稜高校の攻撃は無死1、2塁から待望の勝ち越しとなる2点を奪い、11-9で13回裏の守りにつきます。

13回裏の済美も無死1、2塁からの攻撃ですが、追いかける側には2点差が重くのしかかります。しかし無死1、2塁から8回に3ランを放った政吉選手がセーフティバントで無死満塁にチャンスを広げます。

ここで迎える打者は1番左打者の矢野選手、6球目をすくい上げると打球は高く舞い上がりライトのポール際まで飛んでいきます。一瞬ファウルかと思われた打球は、打った矢野選手もいったん1塁へ走り出すも途中で足を止めます。

しかし次の瞬間に打球がポールを直撃、まさかの逆転サヨナラ満塁本塁打により13-11と済美高校の劇的勝利で試合は決しました。序盤から流れが両校に行ったり来たりした試合は、最後にとんでもない幕切れとなりました。

星稜高校は翌年の第101回大会でも史上3試合目となるタイブレークを行い、この時はサヨナラホームランで智辯和歌山に勝利しています。甲子園史上まだ3回しか行われていないタイブレークの2試合に星稜高校は絡んでいます。

また2014年選手権大会の石川県予選の決勝の小松大谷戦では、9回裏0-8のビハインドから一挙9得点で逆転サヨナラ優勝も果たして全国的にも話題となりました。箕島との延長18回、松井選手の5敬遠など星稜高校は高校野球の歴史を語る上で欠かせない存在とも言えますね。

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8回裏逆転満塁本塁打でミラクルV

平成19年第89回選手権大会の決勝戦は、劇的な大逆転試合となりました。佐賀北高校と広陵高校の決勝戦は、誰も想像の出来ない展開、まさに甲子園に魔物がひそんでいた結末でした。

決勝戦に進んだ両校も対照的で、名門広陵高校は野村投手(現広島)、小林捕手(現巨人)とプロ入りするバッテリーを中心に前評判通りに決勝まで勝ち進んできました。

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一方、どこにでもあるような公立校の佐賀北の前評判は高くはないものの、2回戦では延長再試合を制し準々決勝では強豪帝京高校を延長13回で下すなど一戦ごとに力をつけてきたチームでした。

決勝戦の前評判も、さすがの佐賀北の躍進もここまでかというように広陵高校が有利と見られていました。その前評判通りに試合は8回表終了時点で4-0と広陵がリード、悲願の選手権初優勝まで残り2イニングという展開でした。

4点を追う8回裏の佐賀北の攻撃は、1死後連打で1、2塁とすると後続が四球を選び満塁のチャンスを迎えます。この時点で満員の甲子園球場は佐賀北高校の応援一色、奇跡の逆転を信じて大観衆のボルテージも一気にヒートアップします。

そして後続の打者を3ボール1ストライクとした広陵野村投手が投じた投球は、ストライクゾーンいっぱいに決まったと思われましたが、球審は「ボール」の判定。思わず野村小林のバッテリーも動揺を隠しきれません。

かくして押し出しの四球で3点差に追い上げ、さらに満塁というチャンスで佐賀北の打者は3番主将の副島選手。カウント1ボール1ストライクから野村投手が投じたスライダーがストライクゾーン高めに抜けると副島選手はフルスイング。

打球は満員の大観衆の声援の後押しを受けながらぐんぐんとスタンドまで伸びていき、起死回生の逆転満塁ホームランとなります。逆転した佐賀北からすればこの上ない筋書き、一振りで試合をひっくり返す理想的な展開で9回表の守りにつきます。

逆転を許した広陵からすれば4点差で迎えられたかもしれない最終回の攻撃が一転して追いかける展開、球場も佐賀北を押すようなの雰囲気の中でわずか1点を追いつくこともできずゲームセット。まさに甲子園の魔物に飲み込まれたかのような展開で佐賀北高校がミラクル優勝を果たしました。

甲子園の長い歴史で決勝戦のドラマもいくつかありましたが、史上初となる決勝戦での満塁本塁打が飛び出すといったここまでの壮絶な逆転劇というのはないのではないでしょうか?

佐賀北高校は開会式直後の1回戦に登場して大会最後の決勝戦まで6試合73イニングと甲子園で日本一長い時間を過ごしました。歴代の優勝校の中でも間違いなくミラクルナンバー1と言えます。

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まとめ

高校野球、甲子園大会で過去にあった記録的な大逆転の試合についてまとめてみました。

  • 延長11回裏に6点差を追いついて12回にサヨナラ勝ちした報徳学園
  • 9回4点差のビハインドを8得点した帝京に逆に4点差で追い詰められて5得点でサヨナラ勝ちした智辯和歌山
  • 6点差の劣勢を8回に一挙8得点で逆転、延長13回のタイブレークで史上初の逆転サヨナラ満塁本塁打で制した済美高校
  • 決勝戦で8回裏に史上初の決勝戦での満塁本塁打で4点差を逆転して優勝した佐賀北高校

を甲子園での大逆転劇を代表する試合として挙げました。いずれも終盤や延長戦の追い詰められた状況からの逆転劇として印象に残る試合だと思います。高校野球では時に常識では考えられないミラクルが起こるのが魅力の一つです。

この先も高校野球、甲子園でどんなドラマが起こるのか非常に楽しみです。2020年は新型コロナウイルスの感染拡大の影響で史上初の春夏の甲子園大会が中止となりました。すこしでも早く甲子園大会が再開されることを願うばかりですね。

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