高校野球甲子園大会の長い歴史において、広島代表校は大会草創期から常に全国トップクラスの成績をおさめてきました。その広島を代表する強豪校が広島商業と広陵の2校です。
春の広陵、夏の広商ともいわれる両校ですが、優勝回数、勝利数の結果がまさに物語っています。この2校以外にも強豪校はありますが、広島高校野球をけん引してきたこの2強を中心に歴代の優勝回数、勝利数を紹介します。早速見ていきましょう!
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甲子園大会の広島代表の過去の優勝
都道府県別の優勝回数では、春夏合計12回で大阪26回、愛知19回、神奈川15回、兵庫、和歌山13回に次いで5位タイです。5位には東京も12回で肩を並べています。春の選抜5回、夏の選手権7回はともに5位タイを誇ります。
それでは2024年選抜大会終了時点での春と夏の歴代優勝校を見ていきましょう。
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広島県代表春の甲子園優勝校
年 | 回 | 学校 |
1926年(大正15年) | 第3回 | 広陵中(現広陵高校) |
1931年(昭和6年) | 第8回 | 広島商業 |
1976年(昭和51年) | 第48回 | 崇徳 |
1991年(平成3年) | 第63回 | 広陵 |
2003年(平成15年) | 第75回 | 広陵 |
選抜の広島県勢初優勝は1926年の第3回大会に広陵中学が早々と達成しています。この時の広陵中は前年第2回大会に初出場するも初戦で優勝校松山商業に1点差で惜敗しましたが、この第3回大会では翌年の第4回大会で優勝する強豪和歌山中(現桐蔭)や同年夏の第12回大会で優勝する静岡中を大差で下しての堂々の初優勝でした。
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広陵は翌年の1927年第4回大会では決勝で和歌山中に雪辱されるも準優勝、同年夏の第13回大会でも準優勝しあと一歩で涙を飲むも春夏準優勝という立派な成績をおさめました。
さらに1929年第6回大会では広島商は初出場するも初戦敗退、一方アベック出場した広陵はこの年から2連覇を果たす兵庫の第一神港商に決勝で敗退しますが早くも選抜2回目の準優勝を果たします。
なお夏の大会では1924年(大正13年)の第10回大会で広島商が春夏通じて広島県勢の初優勝を達成しています。広島商は春は1930年第7回大会でも初戦敗退しますが、1929年第15回、1930年第16回の夏の大会では連覇を達成しています。
すでに夏3回の優勝を達成したにも関わらず春は0勝の広島商と春の優勝1回、準優勝2回、夏準優勝1回の広陵、この時からすでに春の広陵、夏の広商の伝統が運命づけられていたのかもしれません。
しかしさすがの強豪広島商は夏の連覇を達成した翌年1931年(昭和6年)第8回大会で選抜初優勝を成し遂げ、史上初の夏春連覇を達成します。この時点で春1回、夏3回優勝の広商、春1回の優勝と2回の準優勝、夏1回の準優勝の広陵とまさに全国ナンバー1の野球王国だったといえるでしょう。
ところが翌年1932年第9回の選抜大会では広商、広陵がアベック出場するもそろって初戦敗退します。広島の2強がそろって初戦敗退というのは当時は大ニュースだったかもしれません。今でいうところの大阪桐蔭と履正社がそろって初戦敗退するくらいのインパクトがあったのではないでしょうか?
これ以降広島県勢は選抜では長く優勝から遠ざかり、実に45年間も優勝を逃し続けます。この間、1935年広陵中、1964年、1968年尾道商、1973年広島商と4回決勝で敗退、準優勝は達成していますが、1976年(昭和51年)の第48回大会で40大会ぶりに広島県勢で優勝したのは崇徳高校でした。
この時は超高校級投手黒田真二投手(日ハム1位拒否)を始め後に早稲田大学の監督を務める應武篤良捕手(近鉄3位拒否)、山崎隆造選手(広島1位)、小川達朗選手(広島5位)と高卒時にドラフト指名される選手4人を据え、初出場とは思えない布陣での優勝でした。
崇徳高校の優勝から15年、1991年第63回大会広陵高校が2回目の優勝、大正15年以来実に65年ぶりと昭和を通り越しての偉業となりました。1970年、1980年に選抜ではベスト4がありましたが、1935年の準優勝以来の決勝戦で悲願達成となりました。
2003年第75回大会では広陵が高校別では3位タイとなる3回目の優勝を達成しました。春の選抜大会では広島商は優勝1回、準優勝1回に対して広陵は優勝3回、準優勝3回と春の広陵といわれるように圧倒的な実績を残しています。
広島県代表夏の甲子園優勝校
年 | 回 | 学校 |
1924年(大正13年) | 第10回 | 広島商業 |
1929年(昭和4年) | 第15回 | 広島商業 |
1930年(昭和5年) | 第16回 | 広島商業 |
1934年(昭和9年) | 第20回 | 呉港中(現呉港高校) |
1957年(昭和32年) | 第39回 | 広島商業 |
1973年(昭和48年) | 第55回 | 広島商業 |
1988年(昭和63年) | 第70回 | 広島商業 |
広島県勢の夏の甲子園制覇は1924年の第10回大会に広島商が初優勝を飾りました。広島商は夏の大会は4回目の出場での初優勝ですが、広島県勢の初出場は第1回大会に広島中(現広島国泰寺)が果たしています。
意外にも広島中は第1回大会に出場して以降、春の選抜大会、夏の選手権大会ともに出場はなく第1回大会が最初で最後の出場となったのは、山田中(現宇治山田)との2校のみでした。
本題に戻しますが、広島商は第10回の優勝後も1929年第15回、1930年第16回とこの時点で和歌山中に続く史上2校目の夏の連覇を達成します。広島商は夏の選手権は第10回の初優勝以降、13連勝の負け知らずとなりました。
この連覇の年は広島商は2年連続で春の選抜大会にも出場しますが、いずれも初戦敗退と春には弱く夏にはめっぽう強いという結果になっています。
さてこの広島商の翌年からは中京商(現中京大中京)3連覇を達成しますが、この3連覇の翌年には広島県勢の呉港中(現呉港)が県勢4回目の優勝を達成します。呉港中は大正中として夏の選手権には2年連続で出場していましたが、3年連続の出場となる1934年に呉港中へと改名して初の選手権での優勝となりました。
1957年第39回大会では広島商が4回目の優勝を果たしますが、1936年の第13回選抜大会から1956年第38回選手権大会まで春夏7大会連続で初戦敗退と低迷した時期の直後での古豪復活となる優勝となりました。
その16年後の1973年第45回大会で広島商は5回目の優勝を果たします。この年は佃投手、達川捕手のバッテリーで選抜では怪物江川投手率いる作新学院を準決勝で破るも決勝戦では横浜高校に敗退しましたが、選抜準優勝に続いての夏優勝という偉業の達成となりました。
1988年第70回大会では広島商が6回目の優勝、この時点で中京(現中京大中京)と並ぶ史上最多の優勝回数となりました。2009年に中京大中京が7回目の優勝を果たしたため首位から陥落しますが、選手権6回の優勝は全国単独2位と全国でもその存在感は健在です。
ちなみに広陵は選手権は優勝が1度もありませんが、準優勝4回は京都の龍谷大平安と並んで全国最多です。2007年、2017年と決勝戦で敗退し悲願の選手権初制覇を逃したのはまだ記憶に新しいですが、準優勝4回は堂々たる成績です。
甲子園大会の広島代表の過去の勝利数
順位 | 学校名 | 通算(出場数) | 春(出場数) | 夏(出場数) |
1 | 広陵 | 78(49) | 43(27) | 35(24) |
2 | 広島商業 | 63(45) | 20(21) | 43(23) |
3 | 呉港 | 14(11) | 3(5) | 11(6) |
4 | 広島工業 | 12(10) | 6(5) | 6(5) |
5 | 崇徳 | 8(5) | 5(3) | 3(2) |
2024年選抜大会終了時点での広島県代表校の上位5校までの勝利数ランキングです。広島県勢として春は97勝で6位、夏は120勝で9位となりますが、春夏通算217勝は大阪、兵庫、東京、愛知、和歌山に次ぐ6位です。7位の神奈川215勝、8位の京都207勝を上回る勝利数となっています。
この県勢の217勝のうち広陵が78勝、広島商が63勝で計141勝と2強で6割以上を積み上げています。春3回の優勝で全国3位タイの広陵、夏6回の優勝で全国2位の広島商だけあって2強が突出しているのもうなずけます。
上位5校のうち広島工業は唯一優勝経験がありませんが、1970年代から90年代は広島商、広陵とならんで甲子園の常連だった時代に勝ち星を積み上げました。
春の広陵、夏の広商といわれますが、夏の勝利数に限れば広陵は35勝と広商43勝との差はさほど大きくありません。春の43勝は龍谷大平安と並ぶ全国5位タイ、夏は15位ですが10位の大阪桐蔭が41勝と一大会で優勝まで勝ち進めばトップ10入りにぐっと近づきます。
まとめ
高校野球甲子園大会において広島県代表は大会草創期から野球強豪県として実績を残してきました。
広島代表校の甲子園での歴代の成績は、
- 春の選抜の甲子園優勝回数は広陵が3回、広島商、崇徳が各1回の計5回と全国5位タイ
- 夏の選手権の甲子園優勝回数は広島商6回、呉港が1回の計7回と全国3位タイ
- 春夏通算の優勝回数は計12回で都道府県別では東京都と並ぶ5位タイ
- 甲子園通算勝利数は広陵が78勝、広島商63勝、呉港14勝、広島工業12勝、崇徳8勝がベスト5
- 兵庫県勢の春夏通算勝利数は217勝と全国6位
春の広陵、夏の広商といわれる全国屈指の強豪2強が広島県の高校野球界をけん引してきました。地元のプロ野球チーム広島カープも近年好成績を収めており、まさに野球王国といえる広島県。甲子園での優勝は2003年の選抜以来遠ざかっており、夏の優勝は1988年昭和最後の大会の広島商以来、平成を通り越してありません。
平成の春夏通算の勝利数では78勝と7位に広陵がランキングされています。2007年、2017年とあと一歩のところで夏の初制覇を逃しましたが、2003年以来の優勝も近いのではないでしょうか?