高校野球、特に甲子園では勝利チームが試合後に校歌を斉唱するシーンは当たり前の風景です。近年では地方大会でも試合終了後に校歌斉唱したり、春、夏の甲子園でも初戦に限り2回の表裏に校歌を流すシーンは定番となっています。
甲子園を目指すチームは甲子園での校歌斉唱を目標としますし、優勝したチームの校歌斉唱のシーンは、選手もアルプススタンドも誇らしげに全国に自校の校歌をとどろかせることは最高の瞬間でしょう。
高校野球観戦歴が長い人になると、自校ではなくとも常連校の校歌を歌える人も多くいます。また常連校の校歌を楽しみに観戦している人も多いでしょう。ここでは、有名な名曲ともいえる校歌やちょっと変わった、校歌らしくないポップな校歌について紹介したいと思います。
関連記事:高校野球甲子園大会の歴史やエピソード。これを知ったら観戦せずにはいられない!
Table of Contents
おすすめ!常連校の校歌
甲子園常連校はほぼ毎年春か夏の甲子園に出場するか、出場すれば勝ち進んで校歌を斉唱する場面がそれだけ増えます。ここではオールドファンにとっとも懐かしいお馴染みの校歌を紹介します。
PL学園の校歌
個人的に一番好きだったのがPL学園の校歌です。もう廃部となってしまって甲子園で聞けないのは寂しい限りですが、KKコンビや立浪、橋本、野村世代の春夏連覇時にはしょっちゅう耳にして校歌を覚えてしまったものです。特にサビの部分(サビというのが相応しいか分かりませんが)の「ピ~エ~ルガクエ~ン、と~こしえ~に~、こうじょうのみ~ちすすむなり~、ああ~ピ~エル~、ピ~エル~」の部分は、もう聞いただけでテンションマックスです。
校歌としてもわりとポップな感じ(いつも聞いてたからポップと感じるだけ?!)の印象がありましたが、自分の母校以外に初めて覚えた校歌でした。
「もゆる希望にいのち生き、高き理想を胸に抱く、若人の夢羽曳野の聖丘(せいきゅう)清く育みて、PL学園永久(とこしえ)に向上の道進むなり、ああPL、PL永遠の学園、永遠の学園」
詩を見ただけでメロディが思い浮かぶ人も多いのではないでしょうか。
池田高校の校歌
かなり古い話にはなりますが、僕が小学生の時にあの畠山、水野の両投手で夏春連覇した1980年代にまさに甲子園の常連校どころか金属バットで打球を飛ばしまくる「やまびこ打線」で、高校野球の戦術を変えてしまった伝説的な徳島の池田高校の校歌です。当時は池田高校がちょっとしたブームでもあって、池田模範堂という一般企業のテレビCMまで「いけだ、いけだもはんどう~」と池田高校に便乗するCMだったのが小学生ながら「そこまでやるかね」と思った記憶があります。
実際の校歌は、サビの部分が印象的で「ひ~かり、ひ~かり、ひ~かりを呼ばん~」という部分は今でも甲子園で聞きたくなるフレーズです。また「たたえ~よ池高、輝く池高」の部分は、池田高校を池高と歌詞にするところが何となく地元の略称を盛り込んでいる感じが公立校っぽい印象を抱きました。
「しののめの上野が丘に花めぐり、そびゆるいらかみどりこき、阿讃の嶺ときそうなる、これぞわれらの学びの舎、ひかりひかりひかりを呼ばん、たたえよ池高輝く池高、池高池高お~おわれらが池高」
2014年の選抜で久々に甲子園に戻ってきた池田高校ですが、また戻ってきてこの校歌を聞きたいですね。
中京大中京高校の校歌
言わずと知れた甲子園最多勝利数を誇る高校です。と言っても先の2校のような特定の年代に集中的に勝利を挙げるというよりは伝統的に勝ち星を重ね続けた伝統、名門校です。もちろんPL学園、池田高校が高校野球の雄として君臨していた時代も、この両校の後塵を拝しながら甲子園でも実績を積み上げました。
一番印象なのは「だ~いとな~ごやのひ~ん~がしに~」という「東」を「ひんがし」と歌うところに伝統というか歴史を感じたものでした。この後に続く「中京の名を負いもちて城と守る(もる)我が学の舎(や)」「見よ躍進の先輩(とも)の業績(あと)」には学校としての自負と、校歌が先か実績が先かと感じるくらい校歌に自負が込められているように感じます。
「ここ八事山東海の大都名古屋の東に、中京の名を負いもちて城と守る我が学の舎、凛呼とかざす真剣味、見よ躍進の先輩の業績」
2009年の決勝戦は9回裏に6点差を1点差まで追い上げられた歴史に残るゲームでした。優勝した中京大中京高校の選手が泣き、負けた新潟の日本文理高校が笑顔という印象的な試合でしたが、最後の校歌は思わず口ずさんでしまいました。
横浜高校の校歌
こちらももう甲子園ではすっかりお馴染み横浜高校の校歌です。これは1998年に松坂投手が春夏連覇したときに頻繁に耳にしたのですが、最初は結構長いなとも思いました。が、そうでもなく個人的にはメロディ、歌詞ともに昭和の香りがする名曲だと思いました。具体的には「東洋一の商港横浜」のフレーズが一番大好きです。
また結構漢字の読みも難しいのが昭和の香りに感じます。「紺碧(こんぺき)の波 額に迫る」とか「屛風ヶ浦(びょうぶがうら)の絶崖(あず)を隔て」は漢字は難しいものの校歌っぽい感じがしますね。この歌を甲子園で聞くと何とも言えない甲子園の長い歴史を感じてしまいます。
「朝日直射す富岡の阜、紺碧の波額に迫る 屛風ヶ浦の絶崖を隔て東洋一の商港横浜 世界をつなぐ海を朝夕 目に眺めつつ勤しみ学ぶ 希望あれ輝け横浜高校横浜高校」
今でも甲子園の常連校ですので、高校野球ファンでも横浜高校の校歌が好きな方は多いでしょう。
広陵高校の校歌
広陵高校の校歌は、意外と最近の2017年夏の準優勝時に聞いて覚えた校歌でした。もちろん甲子園の常連校、春は優勝3回、夏は準優勝4回(意外にも優勝はなし)の超名門校です。何回も聞いているはずでしたが、あまり印象になかったもののふと聞いてみるとそのフレーズに印象付けられました。
特に好きなのが「自由の殿堂」というフレーズです。それと「ましぐらに」「ひたすらに」というフレーズが2回出てくるのも印象的で、特に最後の「こ~りょ~、こ~りょ~、じ~ゆうのでん~どう、わ~れ~ら~の~こ~りょ~」には校歌らしいというかこちらも歴史を感じてしまうメロディですね。
「ましぐらに昼も夜も断えず倦まず自由の歩みひたすらに おのが性に強く生きて 七つの流れましぐらに 注ぎ競うや太田川 若人われらひたすらに 学び競うやこの三とせ 広陵広陵自由の殿堂 われらの広陵」
この三とせと広陵の間のわずかな間奏も印象的です。
帝京高校の校歌
最近は少しご無沙汰気味ですが、昭和後半から平成にかけての強豪、高校サッカーの名門、そしてとんねるずの母校としても話題となった帝京高校の校歌です。一番記憶に残るのは「帝京われらの相い寄るところ社会の人たるほこりに生きん」のさびの部分とこちらも少々長く感じた校歌でした。
しかしメロディは覚えやすく、やはり昭和後半から平成にかけてはよく耳にした校歌です。一時期の活躍からすれば甲子園も随分ご無沙汰となってしまった感はありますが、帝京の校歌を是非甲子園で聞きたいものです。
「希望に輝く若葉の朝風 仰げば富士あり理想も高かれ 真理を求めてゆく野は広く 石神井の流れの清きに立ちて 帝京われらの相い寄るところ 社会の人たるほこりに生きん」
ここ数年は甲子園にもなかなか出てこられないですが、久々に聞きたい校歌でまります。
おすすめ!今どきの校歌
さて今までは、伝統校を中心にお馴染みの校歌を紹介してきました。これらの高校は長きにわたり甲子園の常連校として数多くの校歌を流してきました。
しかし近年では、かつてで言うところの校歌らしいものとは異なる「今どき」のポップな校歌も甲子園で流れています。ここでは実際に甲子園でも流れた今どきな校歌を紹介します。
済美高校の校歌
愛媛県にあるもともとは女子高だった同校に野球部ができて、監督に宇和島東高校で指揮をとっていた名将上甲監督を迎え入れました。その後すぐの2004年の選抜大会で初出場初優勝、同年の夏では駒大苫小牧との決勝に敗れたものの準優勝とまさに綺羅星のごとく甲子園に表れたのが同校でした。その校歌はかなり話題になりました。
一番のフレーズは「やればできるは魔法の合言葉」でしょう。初出場した2004年には時の首相小泉純一郎氏も大相撲の賜杯でのスピーチで「やればできる」と発言して流行語にもなりました。
明豊高校の校歌
今や大分県代表としてすっかり甲子園常連校となった同校ですが、こちらの校歌はなんとあの南こうせつ氏が作曲しています。かなりポップというかフォークというか甲子園球場に流れると何とも言えない青春の気持ちになります。
しかも校歌自体は結構長いですが、お馴染みとなってきておりここの校歌を聞くと甲子園に来たなという実感も得られます。2020年第92回選抜大会に出場予定でしたが、同大会が中止となり同年8月に開催された選抜の代替大会である甲子園高校野球交流試合に出場しています。
至学館高校の校歌
こちらも元女子校が共学となった愛知県の高校です。甲子園には夏、春ともに1回ずつ出場していますが、残念ながらまだ1勝もしてません。このため校歌を歌う場面はまだないのですが、初戦の2回にアルプス応援団が歌うことにより甲子園に流れました。こちらの校歌は夏の県予選で優勝した際にテレビ番組でも取り上げられたことで一躍有名になりました。
とにかくポップといいますか、元々は同校の系列大学至学館大学OBの女子レスリング吉田沙保里選手らのオリンピックでの活躍を祝して作られた曲で、校歌を前提に作られていないというのが実情のようです。タイトルも「夢追い人」となっており、その後、同校が校歌としたのが由来です。「カシオペア」なる単語も出てくるなど今まで甲子園では聞けないような曲なのが印象的です。
健大高崎高校の校歌
群馬県の私立高校、正式名称は高崎健康福祉大学高崎高等学校です。元々は群馬女子短期大学附属高等学校という女子校でしたが、2001年に共学となり現在の校名に改称しています。
野球部は2011年第93回夏の選手権大会に甲子園初出場、2012年には第83回春の選抜大会にも出場し春4回、夏3回の甲子園出場と共学化してから短期間で野球強豪校に成長しました。
4回目の出場予定だった2020年第92回選抜大会は中止となたったため、明豊高校と同様、甲子園高校野球交流試合に出場しました。そして7回目の出場となる2024年第96回選抜大会で念願の初優勝を果たします。
校歌の曲調はそれほどポップという訳ではありませんが、歌詞に「Be Together」「Wow wow」といったフレーズが含まれていることから、甲子園初出場時から話題となりました。
まとめ
甲子園を楽しむには常連校の校歌を覚えるというのもお勧めです。特に常連校の校歌は常に聞けますし、春夏の到来を曲で感じることができます。またこれらの校歌は名曲であると勝手に感じたりしています(ただ単に好きなだけですが)。
- 常連校の校歌
常連校の校歌はほとんどの大会で常に聞けるので甲子園を肌で実感できます。校歌を覚えることで校歌斉唱時に(周りに聞かれない程度に)口ずさむと少し気持ち良いです。
- 今どきの校歌
ポップな曲が多いので、一般的なポップ曲のように日常で口ずさんでもそこそこ気持ち良いです。またこちらの校歌も通常は春夏の甲子園でしか聞けないので甲子園を実感できます。
こちらで紹介した校歌以外にも常連校の校歌はたくさんあります。好みもありますのでご自身のお好きな校歌はぜひ覚えることをお勧めします!