上達編

野球のメンタルの鍛え方。投手や打者にとってメンタル強化に大事な2つのポイント

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雨の中試合終了後の校歌斉唱

野球とはメンタルを競うスポーツといっても過言ではありません。もちろんどんなスポーツにもメンタルは重要ですし、勉強、仕事でもメンタル状態の良し悪しでその成果は変わります。

しかし野球の特徴として

  • 投手対打者の1対1の対決が毎回繰り広げられる
  • 走者の有無、アウトカウント、得点差、イニングの進行状況など様々な場面でいろんな作戦がとられる

ことがほかのスポーツと異なります。

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投手対打者という個人対個人があるため、投手、打者の心理状態、駆け引きによってその結果も大きく変わります。

また打つ方でも守る方でも走者の有無、アウトカウントによって守備体系や攻撃のバリエーションも変わりますし、得点差や試合の序盤か終盤かでも優先すべき作戦が変わります。この作戦によって緊張感、心理状態の変化にも大きく影響を与えます。

試合に勝つため、好成績を残すためにいかに冷静でいられるか、普段通りのメンタル状態で臨めるかが大きなカギとなります。

ここでは、まず野球のいろんな場面でどんなメンタル状態になるのか?そのメンタルの鍛え方、メンタル強化するためにはどんな方法があるのかをお伝えしたいと思います。

場面ごとのメンタル状態

場面ごとと言いましたが、大きく分けて「投手」「打者」「守備」の3つの場面があります。投手は毎回打者に対して投球しなければなりません。打者は投手の投げた球を打たなければなりません。そして野手はその打球に対応して守備をしなければなりません。

これ以外に「走塁」という場面もありますが、「足にはスランプがない」と言われるようにメンタル状態は大きな影響は与えません。もちろん盗塁するケースにおいてはメンタルが影響しないとも言えませんが、ただひたすら走るだけですのでここでは触れません。

以上によりここではこの3つの場面におけるメンタル状態について見ていきましょう。

投手のメンタル

投手に求められる動作は

  • 打者に向かってボールを投げる
  • 打球を処理する

大きく分けてこの2点です。ですが、メンタル状態が大きく影響するのは、打者に向かって投げるときです。特にコントロール、狙ったところに投げられるかという点においてはメンタルが全てといってもよいくらいです。

球速についてはメンタルよりもその時々の身体や肩の調子が大きく作用します。もちろんメンタル状態が悪くフォームを乱すことにより球速に影響を与えることもありますが、フォームを乱すことによりコントロールが乱れることが圧倒的に大きいです。

では、どんなメンタル状態になるのか?なぜコントロールに影響を与えるのか?について見ていきましょう。

投手は基本的に

  • 打者に打たれたくない→ど真ん中や甘いコースには投げられない
  • ファーボールを出したくない→ストライクを投げなければいけない
  • デッドボールを出したくない→打者の近くに投げてはいけない
  • ワイルドピッチ(投球が大きくそれて捕手が後ろにそらすこと)をしたくない→変化球は慎重に投げなければいけない
  • ランナーに盗塁されたくない→クイックモーション(素早い投球)をしなければならない

など様々なメンタル状態を持っています。これらのメンタル状態が過剰になると、投球が真逆の方向や、ついつい甘いコースに行ってしまうことがあります。

過剰に意識したメンタル状態では、指先や腕を正しく動かそうと意識しすぎてしまいます。緊張のあまり、行進の時に手と足が同時に出てしまうのと同じです。つまり緊張状態が筋肉の動きに影響を与えてしまうのです。

僕は投手経験はほとんどないですが、バッティング投手や草野球で投手をしたことがあります。メンタルよりも技術的な問題の方が大きかったのですが、コントロールは最悪でした。全くストライクが入らなかったのです。

そうなると「次こそはストライクを投げなければ」というメンタル状態から、もう余計にストライクは入らない、投球フォームも毎回変わるといったメロメロの状態でした。その経験から投手とは本当に繊細なものだと実感し、投手は2度とやらない(やれない)と決心しました。

僕の場合は技術的な問題が大きいのですが、正常な心理状態でないとまともな投球ができないということを実感しました。

打者のメンタル

打者に求められる動作は

  • バットを振る
  • バントをする
  • ボールを見送る

大まかにいえばこの3点です。とにかく打者は投手の投げた球を打ち返すしかありません。バントをするにしても得意不得意があるものの、基本的にはボールにバットを当てるという動作が求められます。

しかし場面によっては、ボールを見極めてとにかくボール球を振らないよう気を付けなければいけないこともあります。

どの球をどのように打ち返すかということを意識して打席に入りますが、この時のメンタル状態によってその成果も変わってきます。

以上の時の打者のメンタルは

  • ヒット、ホームランなど強い打球を打ちたい→力強いスイングをしたい
  • 空振りをしたくない→ボールにバットを当てなければいけない
  • ランナーを進めなければならない→ボールを転がさなければいけない
  • ボールを見極めてカウントを有利にしたい→ボール球には手を出したくない

といったメンタル状態にあります。投手のようにこれらの意識が強くなりすぎて動きが硬くなり、思ったようなスイングができないこともあります。そうなれば力強い打球はおろかボールに当てることもままなりません。

しかし試合で慣れてくれば徐々に普段通りのスイングはできるようになります。むしろ打者のメンタル状態が大きな影響を及ぼすのが、ボールの見極め、配球の読みです。特に接戦の試合で終盤の緊迫した場面では、追いつきたい、勝ち越したいという心理が強くなりますし、それ故に失敗できないという気持ちが強くなります。

こんな時に、つい狙ってもいないボールやボール球に手を出してしまうことが多々あります。最悪なのは、慎重になりすぎてストライクを見逃し、追い込まれてから今度は見逃してはいけないとボール球に手を出して三振というケースです。

当然、バットに当たってもスイングに力が入りすぎて凡打を繰り返してしまいます。こういう場面で冷静にいられることは容易ではないですが、メンタルをコントロールできれば違う結果につながります。

守備のメンタル

守備の時に求められる動作は

  • 打球を追いかける、捕りに行く
  • 打球を捕球する
  • 捕球したボールを送球する

と大きくはこの3つになります。特に守備にはエラーというものがつきもので、このエラーをしたくないというメンタル状態が守備の結果にも大きく影響を及ぼす場面が多いです。

守備をするときの野手のメンタルは

  • 打球を上手く捕りたい→打球に合わせてグラブでしっかり捕球しなければならない
  • 各塁へ素早く正確に送球したい→ボールをしっかり握ってコンパクトに投げなければならない

という状態になります。緊張した状態で硬くなった時には、こういったことをより意識してしまうため慌ててボールが手につかない、送球がそれるというケースが多いです。特に2塁、3塁など得点圏に走者がいるときは余計に神経を使うのでミスが起きやすくなります。

これ以外にも、判断を誤ってアウトにできそうにない塁へ送球して結果セーフになってしまうフィルダーズチョイスもありますが、単なる判断ミスによるものから一瞬の焦りから生まれることもあります。

守備の機会はどうしても守っているときの時間が長いためあれこれ考えてしまうこともありますし、バウンドを合わせようと待って捕球してから慌てて送球してしまうこともあります。

僕自身も内野手で数々のエラーというものを経験しましたが、大事な試合になるほど慎重になってしまい、以前なら処理できた打球を待って捕ってしまい慌てて悪送球ということもありました。守備の時ほど普段通りにこなすのが難しいと感じます。

メンタルの鍛え方、メンタル強化に大事な2つのポイント

ここまで野球の各場面でおちいるメンタル状態を見てきました。どの場面にも共通しているのは、上手く処理しなければいけないという緊張感から微妙に身体のコントロールが効かなくなることです。

これはプロ野球の選手でも常に抱えています。ですが、プロの選手たちはこういったメンタルの状態を上手くコントロールできているから最高のパフォーマンスを出し続けているのです。

では、このメンタルの鍛え方、メンタル強化をどうすればできるかということをお伝えしますが、基本的にはシンプルな2点に集約されます。もちろん野球に限らずメンタルに関する情報はいろいろありますし、それ自体は間違いではないと思います。

しかし突き詰めればこの2点ということに重点を置けば自ずとメンタル強化はできます。この2点とは「集中力を高める」ことと「自信をもって臨む」ことです。野球に限った話ではありませんが、この集中力と自信がなぜメンタル強化になるのかを続いてみていきましょう。

集中力を高める

例えば大観衆の前で試合をする、最後の大会で負けたら終わりなどといった場面では、すべての選手は緊張します。人によってはもう逃げ出したいと思うかもしれません。ですが、苦しい練習を乗り越えて晴れの舞台にたってそんなメンタルになるのは損です。

そもそもなぜ緊張するのでしょうか?それは

  • 観衆の前で恥ずかしい思いをしたくない
  • ピンチでエラーやチャンスで凡退したくない

というメンタル状態になるからです。これは仕方のないことですが、これは観衆の面前、大事な試合といった外的要因によって余計な心配をメンタルにかけてしまうことで起きてしまうのです。

ですが、本来やるべきことはいつの時も変わらないはずです。練習や練習試合の時でも最高のパフォーマンスを出そうと努力するのですが、本番になると日ごろの動きがしにくくなってしまうのでは本末転倒です。

これを解消するためには、「目の前のことだけに集中する」ことです。結局いつも通りのプレーをするということは、先の外的要因を全く意識せずに目の前のことだけに集中することです。

集中することができればほかの雑念も消えて、ただ目の前のやるべきことに全力を注ぐことができます。それではどうやって集中力を高めれば良いか以下に効果的な3つの方法を紹介します。

集中力を高める3つの効果的な方法

深呼吸する

緊迫した場面では実はだれでもやっているのがこの深呼吸です。簡単にできるのでついなんとなくやってしまいますが、これにはきちんとした理由があります。

それは、「脳に酸素を送り込むことで脳の働きを活性化させる」ことです。

脳の働きを活性化することで神経が刺激され、酸素を多く取り入れることで血の巡りもよくなることが、脳や神経をリラックスさせ集中力を高めることにつながるといわれています。

この時、一気に息を吸い込んでいったん呼吸を止めてからゆっくり吐き出すようにするのがポイントです。こうすることで身体中に効果的に酸素が行きわたり、リラックス効果も得られます。

ルーティンを取り入れる

今やイチロー選手が取り入れていることで有名な手法ですが、これは毎回決めた動作(ルーティン)をすることで、「いつもと同じ精神状態に安定させる」という効果があります。

イチロー選手の屈伸やメジャーリーガーの前田健投手の腕をくねくねさせる運動は、もちろん身体をほぐすことが目的ですが、毎回決まった時に行うことで精神状態を安定させることにつながっているようです。

僕自身が現役だった頃は、このルーティンという言葉は今ほどポピュラーではありませんでしたが、打席に入る前の行動は決まっていました。マスコットバットをもって上半身をぐるぐる回すことと深呼吸は必ずしてました。

このおかげかどうかはさておき打席では、緊張感はあまりなかったように記憶しています。もっとも打撃結果には結びついていなかったのは、やはり技術的な問題の方が大きかったかなと思いますが。

こういったルーティンを知らないうちに実践していることもあるかもしれません。むしろ知らないうちに実践していることが無意識に精神を安定させることを脳が欲しているのかもしれませんね。

目の前のやるべきことを明確にし一つに絞る

日ごろの生活でも言えることですが、やらなければいけないことがたくさんあるとあれこれ考えてしまいます。そのため注意力散漫になって忘れ物をしたり、肝心のことをやり忘れてしまうこともあります。

こういう時は、やるべきことをメモに箇条書きして一つ一つこなしておけばよいのですが、野球のプレイ中には当然できません。もちろん一度にやるべきこともそう多くはありませんのでメモは必要ではありませんが、これを日ごろから頭の中で整理する癖をつけておくことが大事です。

投手なら、こういうタイプの打者にはコントロール重視なのかスピード重視なのか、コースはどこを狙うか?変化球重視か直球重視かといったことを練習の時から意識します。あるいはアウトカウントごとに走者がどこにいるのかによって何を気を付けなければならないかを意識します。

本番の時にも同じように心がけておくことで、やるべきことの整理を瞬時にできるようにしておきます。この整理をすることで、「今優先すべきことは何か?」「ではこの優先すべきことだけに向けて集中する」ことができるようになります。

後はその時々のケースに合わせてどういう動きが必要か?ということを整理することで、そのケースごとにするべきことに集中するようにします。

具体的には、無死1塁で打者は2番バッターならば、送りバントが想定されます。投手は、簡単にバントをさせるのか、何とかして打者を打ち取るのかによって前者なら「あえてバントをしやすいコースに投げて2塁で封殺する」、後者なら「バントしにくいコースに変化球を投げる」ことを優先します。

このようにまず優先すべきことをその都度瞬時に整理して明確にし、その優先すべきことを一つに絞って取り組むことが集中力を高めることにつながります。要はやるべきことを単純化してそれ以外のことは考えないようにすることで集中力が高まるというわけです。

自信をもって臨む

やはり練習につぐ練習が自信につながる

もう一つは自信をもっていかにプレイできるかということです。そもそも「俺ならできる」という自信があればそもそも不安定なメンタル状態におちいらないので当たり前と言えば当たり前です。

野球以外でも勉強や仕事に自信があれば積極的になりますし、できなかったらどうしようというメンタルにはならないですよね。ただ簡単に自信をもつことはできません。性格にもよりますが、やるべきことをやって備えることが自信につながります。

では野球ではどうやって自信を得るか?となりますとやはり練習しかありません。猛練習が必ずしも良いわけではありませんが、昔は理不尽な練習を重ねることで「これだけやったんだから負けるわけがない」というメンタルになるには役立った側面もあります。

精神力を鍛えるための猛練習もあってもよいと思いますが、科学的な根拠に基づいたトレーニングの方が、技術、体力の向上には効果的です。重要なのは、まず得意分野を持つことです。これだけは負けないという分野、投手なら速球やコントロール、野手なら打力、バント、守備、走力などどれか一つでも得意分野をもつことです。

そのためには得意分野にかける練習量は増やすことは必要でしょう。練習によって技術を向上することはもちろんですが、これだけやったんだから誰にも負けるはずがないというレベルまで行ければ相当な自信となります。

僕自身は、2番や下位打線を打つことが多かったので必然とバントする機会が多く、バント練習には相当時間を費やしました。バッティングマシンのスピードを140㎞に設定してひたすら打球を殺す(勢いのない打球を転がす)練習をしました。

その結果、記憶する限りバント失敗はほとんどありませんでした。もちろん相当な自信をもっていましたので、速球ピッチャーと対戦しても臆することなくバントを決めることができました。

また中学はチームがそれほど強くなかったこともありクリーンナップを打つことも多かったのですが、この時は今思えば根拠のない自信に満ち溢れていました。チャンスや終盤でも「俺に回してこい!」くらいの強い気持ちで臨み、そこそこ結果も残していました。

高校に入ってからは打撃力が落ちたので全く自信はなく、バントを磨くことになったのですが、この自信を持つということは不安定なメンタル状態になることなく強いメンタルにつながることと実感したものです。

イップスの克服にも効果がある

イップスとは、精神的な理由で普段通りのプレイができなることを言います。突然ストライクが入らなくなる、送球ができなくなるといった症状が起きることがあります。プロ野球選手でもイップスになることもあり、根本的な原因、治療は明確になっていません。

僕自身もこのイップスになりました。原因は、ボール回しの時に悪送球が続いてしまい、その都度相手選手がボールを捕りに走るため申し訳ない気持ちでいっぱいになったことです。そうすると今度こそは正確な送球をしようと意識しすぎるため、力の入れ加減がわからなくなってしまったのです。

こうなるともうボールを投げるのが怖くなり、余計に身体に緊張を与えてしまい、より悪循環になってしまいました。この時、普通に守備で送球するときには問題なかったのですが、ボール回しの時だけ投げられない状態でした。

この時に対策として行ったのが、ひたすらキャッチボールをすることでした。通常はウォーミングアップ程度にするキャッチボールを1時間くらいかけて繰り返しました。それも全力に近い球速で繰り返しました。こうすることで余計な雑念なく、日ごろどのようにボールを無意識に投げていたのかをもう一度思い出すことができました。

やはりイップスは精神的な問題からくることが原因ですので、ひたすら練習をし自信をもつことで自然と克服できました。同じ練習を繰り返すことで身体に染み込ますことも重要です。

関連記事:上達するための野球の練習メニュー」、名称や内容は?早速実践したくなるポイント!

まとめ

野球における投手、打者、野手ごとに陥るメンタル状態を見てきました。どの場面にも共通していることは、不安定なメンタル状態から身体が思うように動かなくなることです。こういったメンタル状態を回避するには

  • 集中力を高める
  • 自信をもって臨む

という2点に取り組むことがメンタルの鍛え方、メンタル強化につながります。

メンタルトレーニングなど有益なトレーニングもありますが、まずはこの2点を意識することがメンタル強化に重要ではないでしょうか。

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