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野球投手交代のルールとタイミングの見極め!ピッチャー交代3つのポイントとは

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リリーフエースの登場

野球において、作戦面で最も重要な采配のうちの一つが「投手交代の見極め」です。そして最も難しい采配ともいえるでしょう。なぜなら野球は投手の出来が大きく勝敗を左右するからです。

さらに投手交代を難しくさせるのは、一度登板した投手がベンチに退いた場合はその試合には再登板、再出場できないため慎重にならざるを得ない点です。

ここでは野球の投手交代のルールと投手交代のタイミングの見極めについて重要な3つのポイントを考察してみました。

投手交代のルールとは?

投手交代をする場面は、守備時に現在投げている投手に代えて投手を登板させるケースと攻撃時に投手の打順で代打を送るケースの2パターンがあります。

さらに守備時の投手交代では現在の投手がベンチに下がるケースと投手以外のポジションにつくケースがあります。ベンチに下がった投手はその試合に再登板、再出場することはできません、これは野手も同様です。一方、投手以外のポジションについた選手は再登板することは可能です。

攻撃時に投手の打順に代打を送られるケースも自ずとその投手はベンチに下がりますので再登板、再出場はできません。この場合は、その攻撃終了直後の守備時に代打に送られた選手が投手として登板するか、代打した選手に代えて投手を出場させることとなります。

あるいは代打した選手を別のポジションに送り、代打した選手以外の選手を交代して投手を送り込むケースもあります。

高校野球などでは投手がクリーンナップを打つケースもあり、投手降板後も他のポジションについて試合に出場し続けることもよくありますが、プロ野球は投手降板後は他のポジションにつくことなくベンチに下がります。

投手がベンチに下がらず他のポジションにつくケースはベンチに下がらない限り何度でも登板可能です。最近はあまり見ませんが、ワンポイント(一人の打者に対して登板)で交互に投手が交代することもあります。

ただしいつでも投手を代えることが可能なわけではなく、最低限1人の打者を投げ終えるか牽制球でアウトを取るかしないと代えられません。代えてみたもののその打者との相性が悪そうだからやっぱりまた交代というわけにはいきません。

プロ野球でいうワンポイントは特定の打者、主に左の打者に対して左投手を投入することが多く、基本的には特定の打者に対して投げ終わると交代するケースが通常です。

このように投手交代する場合は、次の投手の出来、調子も大きな要素ですが、一度ベンチに下げたら再登板できないことや1人の打者に投げ切らないと交代できないという点から慎重な判断が求められます。

では、その投手交代の見極めの重要なポイントについて考察してみます。3つのポイントについてみていきましょう!

投手交代の見極め、3つのポイントとは?

プロ野球ならば投手のローテーション(先発する順番)が決まっているので、ある程度目途をつけて先発させることができます。直近の成績や調子を参考にできるので、登板日によほど調子が悪くないかぎり試合を作ることはできます。

アマチュア野球ならば、まずはエースと言われる投手を先発させることが多いでしょう。複数の投手がいてもある程度対戦相手の特徴に合わせて先発投手を選ぶことができます。

しかし、先発、中継ぎ、抑えと分業が確立されているプロ野球では、7回以降の終盤ではお決まりのリレーで逃げ切るというパターンがあるものの、この終盤までの投手交代や競った展開ではつぎ込む投手によっては試合をぶち壊しかねません。

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またアマチュア野球でも投手の分業が進んできていますが、プロ野球のように次から次へと投手を投入できるわけではありませんから、一たび投手交代を誤ると試合の形勢が全く変わってしまうこともあります。

複数の投手がプロ野球のように抑え投手が短いイニングを投げるというよりは6回以降に登板する2番手かせいぜい3番手の投手が最後まで投げ切るケースも多く、疲労で終盤に捕まるケースもままあります。

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さらに投手交代にも一定のルールがあり一度ベンチに下がった投手を再登板させることができないなど制約もあります。

このように投手交代は試合を決する重要な要素であることは間違いありません。投手交代に重要な3つのポイントについてみてみましょう。

継投にこだわりすぎない

これは実際に陥りやすいのですが、分業ということで自信のある投手を複数抱えている場合、あらかじめ決めておいたイニングでスパッと投手を交代することがあります。プロ野球では、終盤の定番リレーでよくみられる光景ですが、これは力のある投手を複数抱えているケースです。

このような定番リレーならば問題ないでしょうが、アマチュア野球では先発投手を5~6回まで投げさせて、その後、それまでの投球内容に関係なく投手交代するケースも見られます。

相手からすれば先発投手にやっと目が慣れてきたころに、剛速球の投手が抑えで出てくるとなかなか打てません。まして追う展開であれば残りイニングが少なくなってくるので打つ手も限られてくるので攻略もしにくくなります。

しかし、途中まで相手打線を抑えているにもかかわらず、何の脈絡もなく投手交代をしてしまうケースもあります。こういう時は要注意です。

相手打線からすればタイミングが合っていない投手に苦戦しているところに、突然投手交代されるだけで「ラッキー」と感じます。打線からすれば「そろそろタイミングが合ってきたぞ」と思っているところに別の投手に交代されると嫌なものですが、先のようなケースでは全くの逆く効果です。

プロ野球でもあったケースですが、先発で5回まで好投していた投手を6回から交代してしまいました。その時点で4点差あったので継投で逃げ切れると思ったのでしょうが、交代したとたんに何と5点取られ、その後追いつくものの最後はサヨナラ負けをしてしまいました。

先発投手はまだ若い投手で、長いイニングの投球に不安があったかもしれません。しかし次の回はその投手からの打順です。たらればの結果論ですが、この交代には疑問を感じたところ、あっさり逆転されました。

その投手は、5回まで併殺を3~4つ取っていたので、明らかに相手打線は打ちあぐんでいました。そこに来ての投手交代です。相手は「さあここからだ!」と意気込んだでしょう。継投は本当に難しいですが、相手が嫌がる継投を心がける必要があるのではないでしょうか。

引っ張りすぎない

これは先の継投にこだわりすぎないというのと矛盾するように見えますが、そうではありません。特に序盤によくある立ち上がりを攻め込まれ大量の先取点を取られるケースです。

このケースこそどこで見切りをつけるのか本当に難しい判断ですが、序盤の失点が後々響いて結局最後まで追いつけないことがあります。何とか立ち直ってくれるだろうと引っ張ってしまい、ずるずる失点を重ねてしまうケースですが、特に制球が定まらないことが多くあります。

立ち上がりから四死球を連発、ランナーがたまったところで長打を浴びて大量失点なんていうのはその後の戦いにおいてもかなり不利になります。先発して間もないのでスパッと変えるのはなかなかできませんが、いったん下げることも必要です。

特に高校野球のようなトーナメントでは、一発勝負ですので追う展開は精神的にもかなり苦しくなります。まして相手投手が好投手となると致命的です。甲子園をかけた予選でもこのような展開はよくあります。

夏の地方大会では、予選の後半の方は連戦が続くため先発のエースを休ませたいという心理と、相手の予想の裏をかく奇襲という考えもあるでしょう。

かつて夏の予選でもありましたが、それまで先発経験がない下級生の投手を先発させるも、試合開始からストライクがはいりません。結局押し出しの連発で3失点で降板。

初回の3失点ならばその後挽回可能ですが、相手投手は大会屈指の好投手。強豪同士の対決でしたが、その後はお互いの投手が頑張り結局3-2で初回の3失点が響いて負けました。

結果論にはなりますが、このケースでは失点する前に見極めてスパッと投手交代する決断も必要でしょう。序盤の失点をどこまで容認するかという点もありますし、その後立ち直るケースもよくあります。

しかし失った点は減ることはありませんので、自チームの打力との兼ね合いも考慮して序盤に見切りをつける判断も重要ではないでしょうか。

いったん他のポジションに下げる

これはプロ野球にはあまりない選択肢ですが、いったん他の守備位置につけることも戦略として十分に機能するといえます。

特にアマチュア野球では、投手が好打者で打線の中軸を担うケースがあり、投げるとき以外は内外野の守備位置につくこともあります。

もちろんそれが可能なら良いですが、時に投手が下位打線の場合は内外野の守備位置につくこともなくベンチに退くことは多々あります。下がる投手がノックアウトされた場合なら仕方ないですが、少し打者の目先を変えるために交代したい時などは、後を継いだ投手の出来次第ではまた戻したくなる時もあります。

また投手が少しカッカしてたり、動揺しているときなどはいったんマウンドから離れ他の守備位置について冷静にさせることも必要です。

こういう事態に備えて、投手にも他の守備位置につけるよう備えておくことをお勧めします。特に先に述べた継投にこだわりすぎたケースでこのような戦術が取れていたならと思う場面がありました。

その試合では、先発投手が5回まで相手打線を抑えていたのですが、少し球威が落ちてきたという判断のもと投手をスパッと交代、地方予選同様の継投をはかりました。

しかし交代した直後にホームランを浴び、活気を取り戻した相手打線に一気に逆転され、その後を継いだ投手も打ち込まれ、前半戦の投手戦が嘘のような大量失点をしてしまいます。

関連記事:プロ野球ワンポイントリリーフ、史上最高の投手とは?ワンポイントが禁止になる?

この時の継投は仕方ないにせよ、その投手は左投手のため守備に就くにしても外野かファーストに限られます。しかしそのチームのファーストは4番、レフト、ライトがクリーンナップで、センターは先制のホームランを打っている1番打者。さすがに下げられる選手ではないため、その投手はベンチに下がりました。

仮にその後打たれた投手に変えて元の投手を戻すことができたら別の展開になっていたと思います。これはそのチームの戦略と戦い方なので結果論でしかありません。

しかし相手チームは終盤点差がついたときに投手をいったんファーストにつかせましたが、跡を継いだ投手が3失点したため、ファーストについた投手がまたマウンドに上がり見事相手打線を抑えました。

投手交代は非常に難しい采配ですが、日ごろから投手交代のオプションをいくつか想定しておくことも重要です。ちなみにプロ野球でも抑えのエースが打者1人限定で外野についた例もあります。

まとめ

野球は投手が勝敗の7割を握るといわれています。そのため投手交代のタイミングは非常に難しくそこを押さえることができればかなりの高確率で勝利に導くことができます。

しかし投手交代にはルールもありその制約のなか、投手交代をするのは慎重にならざるをえないでしょう。その投手交代のルールとは

  • 一度ベンチに下がった投手は再登板できない
  • 他のポジションについた投手は再登板可能
  • ただし最低1人を投げ終えるか牽制でアウトを1つ取らない限り次の投手への交代ができない

などがあります。こういった制約の中、投手交代における3つの重要なポイントは

  • 継投にこだわりすぎない
  • 引っ張りすぎない
  • 他のポジションにつかせる

です。まあ当たり前のことでそれを見極めるのが困難なのですが、日ごろから投手の出来を見つつ複数のオプションを揃えておくことがいざ継投の時に冷静に判断できるのではないかと思います。

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