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選抜21世紀枠の選考基準と歴代戦績。春の甲子園最高成績は?

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高校野球ファンにとって秋季大会から長い冬を超えて到来する春のセンバツ甲子園は毎回待ち遠しいものです。夏の選手権大会と違って春の選抜甲子園大会はその名の通り「選抜」とある以上、その選考、選抜方法にはいろんな基準があります。

その中でも近年ではすっかりお馴染みとなった「21世紀枠」。この言葉を知っている方は多くても一体どんな基準で選考されているのかよくわからない方も多いのではないでしょうか?

かつて21世紀枠で出場した高校は多数ありますが、残念ながら初戦で敗退してしまう高校も多いため「今年はどこが出たんだっけ?」となるファンもいます。何となく21世紀枠の高校を応援してあげたくなる一方で、あまり印象に残っていないということもあるでしょう。

では21世紀枠の選考基準とはどんなものなのか?過去にはどんな高校が21世紀枠で選考され、歴代の戦績はどうだったのか?地域別の選出回数は?2024年選抜大会終了時点の成績について紹介します。

21世紀枠とは?どんな基準で選考される?

春の選抜甲子園ではまさしく21世紀に突入した2001年第73回大会に21世紀枠という新たな選考枠が設けられました。選抜甲子園大会が始まって以来、長らく一般選考で出場校が決められてきましたが、一般選考とは異なる基準を設けて高校野球の強豪校、常連校以外の高校にも門戸を開く形となりました。

関連記事:選抜甲子園の出場条件とは?高校野球秋季大会の4つの魅力と観戦のおすすめ!

それでは21世紀枠の候補校の基準とはどんなものでしょうか?以下に示します。

  • 少数部員、部員不足やグラウンドがなかったり他の部と共有しているなど施設面で恵まれていないといった悪条件を乗り越える
  • 豪雪地帯や自然災害など困難な環境を克服
  • 学業と部活動の両立やボランティア活動など地域への貢献活動から他校の模範となる
  • 近年の試合成績が良好ながら強豪校に惜敗したり、長らく甲子園出場機会がない

といった高校を基準としています。

こういった基準を満たした高校を各都道府県の高野連が推薦校として毎年1校を選出し、さらに全国9の各地区の代表推薦校が選出されます。

2008年から2023年までは最終選考委員会で東日本(北海道、東北、関東・東京、北信越、東海)、西日本(近畿、中国、四国、九州)から各1校、それ以外に全国から1校の計3校が選考されていましたが、2024年から2校に減りました。

各都道府県の推薦校には、その年の秋季大会都道府県大会において128校以上の参加校数ならばベスト32、それ以下の参加校数ならばベスト16以上に残った高校が対象となります。

甲子園で強豪と対決することもあり、一方的な試合にならないよう都道府県大会でもベスト4以上や強豪校、選抜出場校に勝利するか惜敗するなどの成績を残した高校から選ばれる傾向が強くなっています。

また選手補強や環境面で恵まれない公立校が選出されるケースが圧倒的に多く、過去私学で選ばれたのは2013年の土佐高校のみとなっています。

都道府県の推薦校は例年11月下旬ころに発表され、12月中旬に各地区の9代表校を選出、最終的には1月下旬の選考委員会で決定され一般枠の高校と同時に発表されます。

それでは歴代ではどんな高校が選ばれているのでしょうか?また甲子園での戦績と合わせて見ていきましょう!

21世紀枠選出校の歴代の甲子園と地区大会の戦績

21世紀枠選出校の歴代甲子園と地区大会の戦績

21世紀枠の選出校の選抜での甲子園と選考基準となる前年の秋季地区大会の戦績は以下の通りです。

出場校甲子園戦績地区大会戦績
2001年安積(福島)初戦敗退県ベスト8
宜野座(沖縄)ベスト4九州ベスト8
2002年鵡川(北海道)2回戦敗退道ベスト8
松江北(島根)初戦敗退県ベスト4
2003年柏崎(新潟)初戦敗退県ベスト4
隠岐(島根)初戦敗退中国1回戦
2004年一関一(岩手)初戦敗退東北ベスト4
八幡浜(愛媛)初戦敗退四国ベスト4
2005年一迫商(宮城)2回戦敗退東北ベスト8
高松(香川)初戦敗退四国1回戦
2006年真岡工(栃木)初戦敗退関東ベスト8
金沢桜丘(石川)初戦敗退北信越ベスト4
2007年都留(山梨)初戦敗退関東ベスト8
都城泉ヶ丘(宮崎)2回戦敗退九州ベスト8
2008年安房(千葉)2回戦敗退関東1回戦
成章(愛知)2回戦敗退県ベスト4
華陵(山口)3回戦敗退中国ベスト4
2009年利府(宮城)ベスト4東北ベスト4
彦根東(滋賀)初戦敗退近畿1回戦
大分上野丘(大分)初戦敗退九州2回戦
2010年山形中央(山形)初戦敗退東北ベスト8
向陽(和歌山)2回戦敗退近畿1回戦
川島(徳島)初戦敗退四国ベスト8
2011年大舘鳳鳴(秋田)初戦敗退東北2回戦
佐渡(新潟)初戦敗退北信越1回戦
城南(徳島)2回戦敗退四国ベスト4
2012年女満別(北海道)初戦敗退道ベスト16
石巻工(宮城)初戦敗退東北2回戦
洲本(兵庫)初戦敗退県ベスト4
2013年遠軽(北海道)2回戦敗退道ベスト4
いわき海星(福島)初戦敗退県ベスト16
益田翔陽(島根)初戦敗退中国1回戦
土佐(高知)初戦敗退四国1回戦
2014年小山台(東京)初戦敗退都ベスト8
海南(和歌山)初戦敗退近畿1回戦
大島(鹿児島)初戦敗退県ベスト4
2015年豊橋工(愛知)初戦敗退東海1回戦
桐蔭(和歌山)初戦敗退県ベスト8
松山東(愛媛)2回戦敗退四国1回戦
2016年釜石(岩手)2回戦敗退東北1回戦
長田(兵庫)初戦敗退県ベスト8
小豆島(香川)初戦敗退四国1回戦
2017年不来方(岩手)初戦敗退東北2回戦
多治見(岐阜)初戦敗退東海1回戦
中村(高知)初戦敗退四国ベスト8
2018年由利工(秋田)初戦敗退東北ベスト8
膳所(滋賀)初戦敗退県ベスト8
伊万里(佐賀)初戦敗退九州1回戦
2019年石岡一(茨城)初戦敗退県ベスト4
富岡西(徳島)初戦敗退四国ベスト4
熊本西(熊本)初戦敗退九州ベスト8
2020年帯広農(北海道)大会中止道ベスト4
磐城(福島)東北ベスト8
平田(島根)中国1回戦
2021年八戸西(青森)初戦敗退東北ベスト8
三島南(静岡)初戦敗退県ベスト4
東播磨(兵庫)初戦敗退近畿1回戦
具志川商(沖縄)2回戦敗退九州ベスト8
2022年只見(福島)初戦敗退県ベスト8
丹生(福井)初戦敗退県ベスト4
大分舞鶴(大分)初戦敗退九州1回戦
2023年石橋(栃木)初戦敗退県ベスト4
氷見(富山)初戦敗退北信越ベスト8
城東(徳島)初戦敗退県ベスト4
2024年別海(北海道)初戦敗退道ベスト4
田辺(和歌山)初戦敗退近畿1回戦

2001年から2024年まで66校が選出されています。2020年は選抜大会が中止となってしまいましたので、この3校を除く63校のうち49校が選抜甲子園で初戦敗退、11校が2回戦、1校が3回戦という結果に終わっています。一方でベスト4に2001年の宜野座高校、2009年の利府高校が進出し歴代の最高戦績です。

また地区大会の戦績では、北海道5校と東京1校はそれぞれ道大会、都大会の単独開催ですが、44校が地区大会に進出、県大会のみの高校は16校と大半は地区大会まで進出した高校が選出されています。

なお2020年の第92回大会は中止となりましたが、救済措置として選抜出場予定だった高校が甲子園で1試合のみ試合をすることとなった甲子園交流試合では帯広農業が群馬の健大高崎高校に4-1と勝利、ほかの2校は敗退してしまいましたが、秋の関東地区大会優勝校である健大高崎に勝利したのは見事でした。

関連記事:高校野球独自大会の優勝と結果一覧!交流試合出場校の戦績は?

また2021年は前年の秋の神宮大会が中止となったため、例年の神宮枠に代えて21世紀枠が1枠増え4校が選出されました。具志川商業と八戸西の21世紀枠校同士が初戦で対戦し、具志川商業が8-3で勝ち抜けましたが、残念ながら2回戦で敗退しました。

地区別の選出回数

それでは地区別の歴代選出回数はどうなっているのでしょうか?以下に示します。

地区回数都道府県
北海道(5)5回北海道
東北(14)4回福島
3回宮城、岩手
2回秋田
1回山形、青森
関東(5)2回栃木
1回茨城、千葉、山梨
東京(1)1回東京
東海(4)2回愛知
1回岐阜、静岡
北信越(5)2回新潟
1回石川、福井、富山
近畿(9)4回和歌山
3回兵庫
2回滋賀
中国(5)4回島根
1回山口
四国(10)4回徳島
2回香川、愛媛、高知
九州(8)2回

大分、沖縄

1回

佐賀、熊本、宮崎、鹿児島

東北の14回が最多選出地区で次いで四国の10回が2番目に多い回数となっています。

なお1回も選出されていない府県は、以下の13府県です。

地区都道府県
関東群馬、埼玉、神奈川
東海三重
北信越長野
近畿奈良、京都、大阪
中国広島、鳥取、岡山
九州福岡、長崎

意外にも夏の選手権の記念大会で2校選出される大阪、神奈川、埼玉、福岡といった参加校数の多い府県から選出されていません。この結果から、歴代の選出回数でバランスをとって各都道府県から満遍なく出場させるという考え方はなさそうです。

選考基準に、困難な環境を克服という点もあるように寒冷地区の北海道、東北は優先されやすいようですが、同様に寒冷地区の北信越が少ない印象です。また東日本大震災や熊本地震などの自然災害を乗り越えて選出されるケースもありました。

ハンディを乗り越えるという側面がある以上、甲子園での戦績はなかなか振るいませんが、甲子園に出場すると大応援団がアルプス席に駆け付けるのも21世紀枠ならではの光景です。

まとめ

春の選抜高校野球ではすっかり定着してきた21世紀枠。この21世紀枠の選考基準とは、

  • 少数部員、部員不足やグラウンドがなかったり他の部と共有しているなど施設面で恵まれていないといった悪条件を乗り越える
  • 豪雪地帯や自然災害など困難な環境を克服
  • 学業と部活動の両立やボランティア活動など地域への貢献活動から他校の模範となる
  • 近年の試合成績が良好ながら強豪校に惜敗したり、長らく甲子園出場機会がない

となります。

また2024年までの歴代の甲子園の戦績と選考基準となる地区大会の戦績、選出回数の多い地区は、

  • 過去の出場校63校(2020年3校を除く)のうち甲子園ではベスト4が2校、大半の高校は残念ながら1回戦敗退
  • 東北の14回、四国の10回が多く、1回も選ばれていない府県は13府県

といった点が特徴です。21世紀枠の学校には初戦の壁が大きく立ちはだかる結果となっていますが、まずは初戦突破を目指して頑張ってほしいですね。

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