2020年の日本プロ野球の開幕延期が決定されました。新型コロナウィルスの感染拡大を受けてプロ野球12球団が3月9日臨時12球団代表者会議を開催し、3月20日に予定していた公式戦の開幕は延期となりました。
先だって行われた第2回新型コロナウィルス対策連絡会議において、専門家チームより「3月20日の開幕は延期が望ましい」との中間答申があり決断に至ったとのことです。
今後も引き続き専門家チームの意見を参考に、日々状況が変化するコロナウィルスの情報を収集、あらゆるシミュレーションを行って4月24日の開幕を目指すこととなっていましたが、4月3日の12球団代表者会議でこれも断念。
さらに4月17日プロ野球12球団代表者会議がオンラインで開催され、5月中の開幕を断念、交流戦の中止を決めました。しかし緊急事態宣言が次々と解除されていく中、5月25日の12球団代表オンライン会議でセパ両リーグ公式戦の開幕日を6月19日に決定しました。
今後、プロ野球の開幕はどのようなかたちで開催されるのか見ていきましょう。
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プロ野球開幕の見通しは?
3月9日に2020年の公式戦シーズンの開幕の延期が決まったプロ野球は3月12日、東京都内で12球団代表者会議を開催しました。この会合では
- 4月10日以降に開幕する複数のパターンを想定して日程再編をする
- クライマックスシリーズ、日本シリーズを含めた全日程を11月までに実施することを目指す
ことが決定されました。
開幕の延期は2011年の東日本大震災で3月25日の開幕が4月12日に変更されて以来です。この時は余震や電力の確保といった問題がありましたが、今回はまだ終息の見えないウィルスの影響によるものですのでなかなか見通しが立てられない状況です。
開幕日の候補日には4月中の同一カード3連戦の初戦にあたる火曜日と金曜日が候補に挙がっていました。この点で想定されている最も遅い開幕候補日は4月24日の金曜日ですが、斎藤コミッショナーは「事態が流動的なので確定的には言えない」とコメントしています。
各球団からは10日前くらいまでには決めてほしいという要望があり、最も早い10日開催であれば3月末には決定する必要がありましたが、3月末までに感染拡大に一定の歯止めがかかった状態でないため、最短の候補日である4月10日の開幕が困難だという状況が3月19日に明らかになりました。
NPBと12球団は感染状況を示す数値の安定と万全な準備を開催の条件としており、その後の23日新型コロナ対策連絡会議では専門家の意見を参考に10日開催を見送ることになりました。
この時点で当面は4月24日の開催を目指すこととなりましたが、3月31日にこれも断念。そして4月3日に開催された12球団代表者会議では、4月24日開催も断念されました。
新たな開幕日は4月下旬からゴールデンウィークの5月上旬を目指すことななりましたが、全国に緊急事態宣言が発令されたことを受け4月17日の12球団代表者会議では5月中のシーズン開幕も断念、交流戦の中止を決めました。
交流戦は2005年に導入されて以降実施されないのは初めてで5月26日から6月14日まで各チーム18試合が予定されていました。
これによりシーズン143の試合数が縮小されることとなり、さらにレギュラーシーズンの短縮や無観客試合の可能性も排除しないことを示唆しています。日本シリーズは可能な限り実施する方向で調整しますが、クライマックスシリーズは見直しの対象となりそうです。
東京五輪の中止によりシーズンの中断予定だった期間に試合を組み込むことで日程の再編に余裕ができましたが、これも危うくなりました。4月下旬から5月上旬に開幕日を決めたいという姿勢は変えておらず、4月23日のコロナウイルス対策連絡会議と12球団代表者会議で日程を協議することになります。
日本シリーズは11月21日の土曜日が有力となっており、これは2019年の10月19日開幕より1か月以上遅い開催となります。このため11月21日以降の球場の予定が決まってしまっている場合は本拠地以外で開催することも12球団は合意しています。
しかし今後は日本シリーズの開催も12月にずれ込むということもあるかもしれません。いずれにしてもクライマックスシリーズ、日本シリーズは開催の可能性も含めて日程は流動的です。
また入場料収入が大きな収入であるため興行的に各球団にとって痛手が大きい「無観客試合」についても、斎藤コミッショナーはほとんどありえない選択肢としていましたが、「考慮して行かないといけない」とややトーンが変わってきました。
プロ野球自体が中止となることはまだ考えにくいと思いますが、今後の感染状況次第では第2次世界大戦による1945年以来の中止という判断も現実となるかもしれません。いずれにしてもプロ野球の開幕日の延期どころか開幕そのものすら危ぶまれている状況でした。
5月6日に開催予定の政府専門者会議まで開幕日の判断が持ち越されましたが、こちらも先送り。5月以降緊急事態宣言が徐々に解除されていく中で、いよいよ5月25日の12球団代表者によるオンライン会議で6月19日の公式戦開幕を決定しました。
当初は無観客試合で開催し、公式戦の試合数は143試合から120試合に削減されます。またセリーグはクライマックスシリーズも中止としました。オールスターゲームの中止もすでに決定されています。
とにかく日本国内のプロスポーツで公式戦の開催を決定したのは初となります。プロ野球以外の開催方針に影響を与えることにもなりそうです。
新型コロナウィルス対策連絡会議の提言は?
プロ野球(NPB)とJリーグ(日本プロサッカーリーグ)が連携して設けた「新型コロナウィルス対策連絡会議」は、12球団代表者会議と同日の12日に第3回会議を開催しました。この会議では専門家チームから、選手、観客の感染予防策などを含むプロスポーツの試合開催の指針について提言がありました。
この提言には、「基本方針」「対策を考える上での重要事項」「選手・関係者への対応」「観客の皆様への対応」「応援団、サポーターとの連携・協力」「観客の入場を前提とした試合開催について」の6項目が盛り込まれています。
この各項目にはリスク要因、感染予防対策が詳細に記載、「基本方針」には「個人防衛、集団防衛、社会防衛」の3つの見地から考える必要があるとされています。座長の東北医科薬科大学賀来満夫特任教授は「ゼロリスクはありえない、どうやってリスクを下げながら対応していけるかが大事なポイント」と語りました。
この会議にされた提言内容は、観客の入場を前提とした試合開催を目指すためのもので無観客試合での開催を想定したものではないことがわかります。では具体的にどんな提言があったのでしょうか?
- 観客には少しでも体調に異変がある場合は来場自粛を呼びかける
- 観客同士のハイタッチなどの接触禁止、ジェット風船、肩組や飛び跳ねるなどの応援スタイルの変更
- アルコール飲料の販売の抑制
- 感染者が発生した場合に周辺で観戦していた観客を特定するための手段の確保
- 手指衛生の励行
- 選手やスタッフは毎日の健康チェック、陽性反応が出た場合、接触者を把握するための行動記録を付ける
- ロッカー室の時間差利用、同じポジションの選手が可能な限り一緒に行動しない
といった観戦リスクを下げるための内容でした。こういった対応はオリンピック、パラリンピックにつながるものととしても期待されます。まずはプロ野球、Jリーグが率先していくことで今後のスポーツ観戦の指標となりうるでしょう。
当面は無観客試合での開催を決めたものの、こういった取り組みに対してファンやサポーターが協力して取り組むことで少しでも安全な観戦ができることを目指しています。
世の中が自粛ムードに包まれ経済情勢が低迷している中、リスクに向き合って何とかこの国難を乗り越えていくためにも、観客のある中での試合開催を早く成功させてほしいものです。
まとめ
公式戦シーズンの開幕の延期が決まったプロ野球は3月12日、12球団代表者会議で
- 4月10日以降に開幕する複数のパターンを想定して日程再編をする
- クライマックスシリーズ、日本シリーズを含めた全日程を11月までに実施することを目指す
の2点を決定、開幕の候補日には4月10日、17日、24日が候補として挙がっていましたが、終息の見通しがないことから24日開幕を目指すことになりました。
しかし感染拡大がおさまらない状況で開催された4月3日の12球団代表者会議では4月下旬から5月上旬を目指すとされていた開幕日も、4月17日に開催された同会議では全国への緊急事態宣言が発令されたことも受け5月中の開幕の断念と交流戦を中止することを決めました。
また当初は「無観客試合」は想定していないもののコミッショナーは完全に否定できないとトーンダウンしていました。そんな状況で緊急事態宣言が徐々に解除されていく中、5月25日の12球団代表者会議で6月19日の公式戦開幕を決定しました。
当面は無観客試合での開催、セリーグはクライマックスシリーズを中止、またオールスターゲームも中止が決定されています。
当初は無観客試合を避けるためにプロ野球とJリーグが連携して設けた「新型コロナウィルス対策連絡会議」では、選手、観客の感染予防策などを含むプロスポーツの試合開催の指針について提言がありました。
この提言では
- 観客には少しでも体調に異変がある場合は来場自粛を呼びかける
- 観客同士のハイタッチなどの接触禁止、ジェット風船、肩組や飛び跳ねるなどの応援スタイルの変更
- アルコール飲料の販売の抑制
- 感染者が発生した場合に周辺で観戦していた観客を特定するための手段の確保
- 手指衛生の励行
- 選手やスタッフは毎日の健康チェック、陽性反応が出た場合、接触者を把握するための行動記録を付ける
- ロッカー室の時間差利用、同じポジションの選手が可能な限り一緒に行動しない
といった内容を定め、リスクを軽減させながらなんとか観客のある状態での開催を目指しています。今後の感染状況にもよりますが、当初は無観客開催となるものの状況次第で徐々に無観客試合をなくしていく方向になる予定です。
まだ完全に見通しの立たない新型コロナウィルスの感染状況ですが、なんとか緊急事態宣言が解除された状況となりました。プロ野球界とファンが一致団結して安全な観戦が早期実現できることを願うばかりです。