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プロ野球現役ドラフトの導入時期、問題点や対象選手は?どんなシステム?

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日本プロ野球において2019年ころからたびたび耳にすることが増えてきた「現役ドラフト」。何となく想像はできそうですが、現役ドラフトとはいったいどんな制度でどんなシステムなのか?

まだ内容については固まっていない部分もありますが、この制度が導入されるとプロ野球がどう変わるのか?ドラフトというだけあって対象選手はどうなるのか?問題点はないの?といった点を含め現役ドラフトのルールについて解説したいと思います。

早速見てみましょう!

日本プロ野球の現役ドラフト制度とは?

ドラフト制度といえば、アマチュアの野球選手をプロ球団が指名して指名が重複すれば抽選するものが一般的ですが、「現役ドラフト」とはまさしく現役のプロ野球選手を各球団が指名して獲得する制度です。

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この現役ドラフトの目的は、出場機会の少ない選手が他球団に移籍することで試合に出られる機会を増やすことです。この現役ドラフトは仮称「ブレークスルードラフト」ともいわれます。この制度は日本プロ野球選手会が日本野球機構(NPB)に導入を要望しているものです。

メジャーリーグの現役ドラフトとは?

すでにメジャーリーグ(MLB)では「ルールファイブドラフト」が導入されており、この日本版がブレークスルードラフトとなります。

MLBのルールファイブドラフトは

  • MLBの40人枠に登録されていない選手(マイナー契約選手)のみ指名対象
  • MLBの40人枠に空きがあるチームのみ参加可能
  • 18歳以下で入団した選手で、在籍年数5年未満の選手は指名不可
  • 19歳以下で入団した選手で、在籍年数4年未満の選手は指名不可
  • シーズンオフの12月に実施

といった規定によって制度の悪用を規制しています。ちなみにルールファイブとはMLB規約の第5条に規定されていることから名付けられています。これらの選手を指名した球団は、元の球団に移籍金を支払ったうえでその選手を翌年1年1軍に登録し続けなければいけません。

なおMLBではこのルールファイブドラフトをきっかけにスタープレーヤーになった例があります。ロベルト・クレメンテ(パイレーツ)、ハック・ウィルソン(カブス)といった野球殿堂入りを果たし選手も同制度によって移籍した選手です。

日本版現役ドラフトの素案とは?

日本版の現役ドラフトはまだ制度そのものを検討している最中で、2018年7月に選手会が提唱することを決めてから、2020年1月にNPBが素案を提示したもので素案の骨子は

  • 各球団が選んだ8選手が指名対象
  • 全12球団から必ず1名以上が指名される
  • 実施時期はオリンピックでシーズンが中断する2020年7月末から8月

といった規定が盛り込まれる見込みです。まだ最終決定ではなく今後合意を目指していきますが、早ければ2020年7月から実施される見通しです。選手会は早期実現を目指してまずは制度の導入を優先する意向です。

現役ドラフト制度の問題点とは?

MLBに比べると日本プロ野球の現役ドラフト制度はまだ素案の段階とはいえやや粗い部分があります。MLBの制度と大きく異なる点は、

  • MLBは40人枠に登録されていない選手が対象となるのに対してNPBは各球団が選んだ8選手が対象

NPBの場合、対象となる選手を各球団が選ぶため戦力外の選手が選ばれる可能性があります。他球団が獲得したい選手がリストに入らなければ「出場機会を増やす」という目的に沿わない可能性があります。

  • MLBは翌年1年間は1軍登録しなければいけないが、NPBでは最低1人指名すればよい

MLBでは指名した以上、1軍登録するという強制力がありますが、NPBの場合最低1人指名しなければいけないというだけで起用する強制力はありません。結果として獲得したはいいものの獲得選手を「飼い殺し」にする可能性があります。

  • MLBはシーズンオフの12月に実施するのに対してNPBは7~8月に実施

時期的に戦力外候補の選手の戦力外通告が早まるだけということが考えられます。翌年も戦力として見ている選手を対象にするならば、戦力として支配下登録されているシーズンオフの12月や開幕前の3月の時期に行う方がよいのではないでしょうか?

この制度の主旨はあくまでも各球団に埋もれている選手を移籍することで出場機会を増やすことにあります。少なくとも他球団からほしいと思われる選手にもかかわらず、現在の球団ではチーム事情で試合に出られないような選手を救済するシステムであるべきでしょう。

新天地で出場機会が増えれば活躍できる選手も多いはずです。トレードなら交換条件で話がまとまらないケースもこういったドラフト制度ならハードルは下がるでしょう。

選手会も交渉を続けていくと思いますが、まずは制度の導入を優先する意向です。せっかくの救済制度ですので対象の選手にとっても球団にとっても良い制度になるとよいですね。

今後の見通し

早ければ2020年7月にも実施されるとみられていた日本プロ野球版現役ドラフト制度(仮称ブレークスルードラフト)ですが、2020年3月9日に選手関係委員長の阪神谷本球団副社長が、当初12日に予定されていた同制度導入に関する選手会との折衝を「選手会とは期限を設けず延期することとなった」と語っています。

各球団の意見を集約して素案を固めていたものの、先延ばしすることとなりました。これにより2020年7月の導入にも影響を及ぼすことになりそうです。

新型コロナウィルスの影響でプロ野球の開幕延期も決定したことが影響しているかもしれません。延期によりプロ野球の日程も変更せざるを得ないことを考えると、オリンピック直前の現役ドラフトの実施も困難になるでしょうし、優先順位も下がってしまうのは仕方ないかもしれません。

今後、折衝が再開するめどははっきりしませんが、注視していきたいと思います。

まとめ

日本プロ野球界でも導入が検討されている「現役ドラフト」制度。まだ素案を検討している段階ですが、おおよそどのようなシステムでどのような問題点があるのか?対象となる選手はどんな選手なのか?を見てきました。

元々はメジャーリーグ(MLB)のルールファイブドラフトを参考に骨子がまとめられましたが、日本版現役ドラフト制度(仮称ブレークスルードラフト)は

  • 各球団が選んだ8選手が指名対象
  • 全12球団から必ず1名以上が指名される

といった点が特徴です。導入の目的は、出場機会の少ない選手が他球団に移籍することで試合に出られる機会を増やすことにあります。

その点MLBの制度に比べると、対象となる選手が球団が選ぶ点や対象選手を獲得した後の強制力という点でまだまだ課題がありそうです。他球団が欲しいと思うような選手を指名対象にできるのか?移籍することで他球団でプレーできるのか?移籍先でも飼い殺しにならないか?といった点を解決していく必要があります。

また2020年7月末から8月の導入を目指してきましたが、NPBと選手会との事務折衝は延期となることが決まりました。新型コロナウィルスによるプロ野球の開幕延期が影響している可能性がありますが、交渉再開はいつになるのかも今後注視していきたいと思います。

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