高校野球秋季大会、大学野球の秋季リーグが終わるといよいよ年内最後の全国大会、明治神宮野球大会が開催されます。毎年11月に開催されるこの大会は大学の部、高校の部の二部構成で日程が組まれます。
この秋の神宮野球大会は、大学の部は6月に開催される春の全日本大学野球選手権と並ぶ二大全国大会の一つ、高校の部は春、夏の甲子園大会と並ぶ三大全国大会の一つです。
それぞれトーナメント方式で争われますが、大学の部、高校の部ともに11月の中旬の6日間程度で大会が進行します。このため日本大学野球選手権や高校野球の甲子園大会に比べて出場校が少ないのが特徴です。
それではこの明治神宮野球大会とはどんな大会なのでしょうか?出場条件や歴代の優勝校、さらに2023年大会の日程やチケット情報などについて見ていきましょう!
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明治神宮野球大会の出場条件とは?
明治神宮野球大会は、1970年に大学野球大会として始まり、第4回から高校の部も加わりました。そして2020年第51回大会の新型コロナによる中止を経て、2023年は第54回大会となります。
1952年に始まった全日本大学野球選手権や100回を超える夏の甲子園、90回を超える春の甲子園に比べればまだ歴史は浅いですが、それでも50年を迎える歴史ある大会です。
ただし、各地区の大学野球リーグを勝ち抜いた27の代表校が出場する全日本大学野球選手権大会や49の代表校が出場する夏の甲子園、32の代表校が出場する春の甲子園に比べて、明治神宮野球大会の出場校数は大学の部が11校、高校の部は10校しか出場できません。
ではどういう学校が明治神宮野球大会へ出場できるのでしょうか?大学、高校各部の出場条件について見ていきましょう。
大学の部
明治神宮野球大会の大学の部への出場条件として、まず全日本大学野球連盟傘下の全国26大学野球リーグの秋季リーグ戦で優勝しないといけません。優勝チームはさらに日本全国の9ブロックごとに行われる地区代表戦に進出、そこで勝ち抜いた11チームが代表校として出場します。
各ブロックの参加リーグと代表校数は以下となります。
ブロック | 代表校数 | 参加リーグ |
北海道二連盟 | 1 | 北海道学生、札幌学生 |
東北三連盟 | 1 | 北東北大学、仙台六大学、南東北大学 |
東京六大学野球連盟 | 1 | 東京六大学 |
東都大学野球連盟 | 1 | 東都大学 |
関東五連盟 | 2 | 千葉県大学、関甲新学生、東京新大学、首都大学、神奈川大学 |
北陸・東海三連盟 | 1 | 愛知大学、東海地区大学、北陸大学 |
関西五連盟 | 2 | 関西学生、関西六大学、阪神大学、近畿学生、京滋大学 |
中国・四国三連盟 | 1 | 広島六大学、中国地区大学、四国地区大学 |
九州三連盟 | 1 | 九州六大学、福岡六大学、九州地区大学 |
上記参加の大学野球リーグはそれぞれ1部、2部から多いリーグでは4部まで複数あるリーグもありますが、それぞれ最上位の1部リーグの優勝校がブロック代表戦に進出します。なおこれらの参加リーグの1部加盟大学の主な大学は以下の通りです。
リーグ名 | 主な1部加盟大学 |
北海道学生 | 室蘭工業大、函館大、旭川大、北洋大、東京農業大北海道オホーツク、北海道教育大旭川校 |
札幌学生 | 星槎道都大、東海大札幌、札幌大、北海学園大、札幌大谷大、北海道大 |
北東北大学 | 青森大、青森中央学院大、岩手大、八戸学院大、富士大、ノースアジア大 |
仙台六大学 | 仙台大、東北学院大、東北福祉大、東北大、東北工大、宮城教育大 |
南東北大学 | 石巻専修大、東北公益文科大、日本大学工学部、東日本国際大、福島大、山形大 |
東京六大学 | 東京大、早稲田大、慶応大、法政大、明治大、立教大 |
東都大学 | 青山学院大、日本大、亜細亜大、国学院大、中央大、東洋大 |
千葉県大学 | 国際武道大、東京情報大、中央学院大、城西国際大、敬愛大、千葉経済大 |
関甲新学生 | 新潟医療福祉大、山梨学院大、常盤大、平成国際大、白鴎大、上武大、松本大、関東学園大 |
東京新大学 | 創価大、流通経済大、共栄大、東京国際大、杏林大、東京学芸大 |
首都大学 | 東海大、桜美林大、筑波大、城西大、日体大、明治学院大 |
神奈川大学 | 神奈川大、神奈川工科大、関東学院、桐蔭横浜大、横浜国立大、横浜商大 |
愛知大学 | 愛知学院大、愛知工大、中京大、中部大、東邦大、名城大 |
東海地区大学 | ※静岡、岐阜、三重の各県リーグ戦の優勝校による代表決定戦 |
北陸大学 | 福井工大、金沢学院大、金沢星稜大、北陸大、富山大、金沢大 |
関西学生 | 関西大、関西学院大、京都大、近畿大、同志社大、立命館大 |
関西六大学 | 大阪学院大、龍谷大、神戸学院大、京都産業大、大阪経済大、大阪商業大 |
阪神大学 | 大阪体育大、天理大、大阪産業大、甲南大、関西国際大、関西外国語大 |
近畿学生 | 大阪観光大、和歌山大、大阪公立大、奈良学園大、阪南大、神戸大 |
京滋大学 | 佛教大、京都先端科学大、びわこ成蹊スポーツ大、滋賀大、花園大、大谷大 |
広島六大学 | 広島修道大、広島工大、広島国際学院大、広島経済大、広島大、近畿大工学部 |
中国地区大学 | 広島文化学園大、環太平洋大、周南公立大、東亜大、吉備国際大、岡山商大 |
四国地区大学 | 松山大、四国学院大、聖カタリナ大、愛媛大、香川大、高知工大 |
九州六大学 | 福岡大、西南学院大、九州大、久留米大、九州国際大、北九州市立大 |
福岡六大学 | 日本経済大、九州産業大、九州工業大、九州共立大、福岡工大、福岡教育大 |
九州地区大学 | ※北部九州ブロック、南部九州ブロックのリーグ戦優勝校による代表決定戦 |
以上の各大学リーグの秋季リーグが8月下旬から10月中旬くらいまで各地域で土日を中心に開催されます。この各リーグで優勝した学校が、10月下旬に各ブロックで開催される代表決定戦に挑み、明治神宮野球大会へ出場することになります。
関連記事:大学野球リーグの仕組みや大会の種類は?全国大会っていくつあるの?
高校の部
高校の部は、各県で行われるトーナメント方式の秋季大会を勝ち上がった各県の代表校が地区大会へ進みます。地区大会は早いところで8月中旬から予選が開催され、県大会が9月上旬から10月中旬くらいまで行われます。
地区大会は10地区で行われますが、この地区大会へ出場できるのは地区ごとに決まっており、各県から上位2校ないし3校、地区大会の開催県も3校ないし4校になります。
地区別の出場校数は以下の通りとなります。
地区 | 出場校数 | 参加都道府県 |
北海道 | 20 | 北海道 |
東北 | 18(各県3) | 青森、岩手、秋田、山形、宮城、福島 |
関東 | 15(各県2、開催県3) | 茨城、栃木、群馬、山梨、埼玉、千葉、神奈川 |
東京 | 64 | 東京 |
北信越 | 16(各県3、開催県4) | 新潟、富山、石川、福井、長野 |
東海 | 12(各県3) | 静岡、愛知、岐阜、三重 |
近畿 | 16(各府県3、滋賀、奈良2) | 京都、奈良、滋賀、和歌山、大阪、兵庫 |
中国 | 16(各県3、開催県4) | 岡山、広島、鳥取、島根、山口 |
四国 | 12(各県3) | 香川、徳島、愛媛、高知 |
九州 | 16(各県2) | 福岡、佐賀、長崎、大分、熊本、宮崎、鹿児島、沖縄 |
これらの地区大会は持ち回りで開催され、年によって開催都道府県が変わります。このため開催都道府県のみ1校多く出場できる地区もあり、上記表にあるように関東、北信越、中国地区が該当します。
この地区大会は、翌春の選抜大会への選考基準になる要素が大きいのが特徴でもありますが、各地区大会の優勝校が明治神宮野球大会に代表校として出場します。かつては明治神宮野球大会の出場校はこの地区大会優勝校ではなく、また全国すべてからの出場でもなかった時代もありました。
1982年から1998年は、8代表制として縮小され北海道・東北、中国・四国地区は隔年で代表権が交代制でした。しかし2000年から代表校が地区大会優勝校に規定され三大全国大会として定着するようになります。
それではかつての歴代優勝校、優勝回数について見てみましょう。
歴代の優勝校や優勝回数は?
大学の部、高校の部の歴代優勝校、優勝回数は大学、高校の部でそれぞれ特徴があります。大学の部は東京六大学、東都大学の2大学リーグが大学野球の名門リーグとして突出しており、この2リーグからの優勝校に集中しています。
一方で高校の部は、出場校が8代表制の時期や各地区の優勝校ではなかった時期もあり、また大学リーグに比べて参加校数も多く地区代表校も毎年のように変わるため、大学の部のように一部の学校が多く優勝するというよりは優勝校の顔触れが毎回変わるのが特徴的です。
大学の部の歴代優勝回数
大学の部の歴代の優勝校を見ても東都大学リーグと東京六大学が圧倒的に多く、優勝回数も東都大学が16回(準優勝9回)、東京六大学が14回(準優勝15回)と群を抜いています。2019年までの優勝回数別では、
優勝回数 | 優勝校(準優勝回数) |
7 | 明治大(2) |
5 | 駒澤大(3)、亜細亜大(2) |
4 | 慶応大(2) |
3 | 東海大(5)、法政大(5)、東亜大(0) |
2 | 東洋大(1)、同志社大(1)、近畿大(0)、日体大(0)、立正大(0) |
1 | 早稲田大(5)、愛知工大(1)、愛知学院大(1)、関西大(0)、日本大(0)、中央大(0)、筑波大(0)、九州共立大(0)、九州産業大(0)、桐蔭横浜大(0)、中央学院大(0) |
となっており、東京六大学では明治大学が2022年に優勝して通算回数を7回と最多回数を更新、東都大学の駒澤大、亜細亜大の5回と続きます。いずれにしてもこの2リーグの覇者が明治神宮野球大会を制するという傾向が強いのが特徴的です。
関連記事:大学野球関東、関西の強豪、名門校と最強リーグは?東京六大学か東都大学か?
高校の部の歴代優勝校
高校の部は、大学の部ほど優勝校が偏っていません。神宮大会で複数回優勝している高校は、東北高校が最多の4回、続いて2回が大阪桐蔭、帝京、星稜、仙台育英、明徳義塾の5校となります。
甲子園常連校が名を連ねており、大阪桐蔭、仙台育英、帝京、明徳義塾は春もしくは夏の甲子園の優勝経験校、東北、星稜は甲子園での優勝はありませんが、準優勝の経験はあります。
これらの高校以外では優勝1回の高校が多数あるので都道府県別で優勝回数を見ると東京代表が10回と最多で、帝京、早実、岩倉、国学院久我山、堀越、国士館、世田谷学園、創価、日大三高と計9校が優勝しています。神宮球場の地元ということもあるかもしれませんが断トツの回数です。
続いて宮城県(東北4、仙台育英2)の6回、大阪府が2021年、2022年の大阪桐蔭の連覇で4回(大阪桐蔭2,上宮、履正社)と続き、高知県(明徳義塾2、高知1)の3回が3位です。
神奈川(横浜、慶応)、愛知(愛工大名電、中京大中京)は各2回、兵庫(報徳学園)は1回、広島は0回と甲子園の優勝回数の上位にランキングされる府県とは若干勢力が異なります。
それでも最近では明治神宮大会で好成績を収めたチームが翌春の選抜でも上位進出するケースは多く、選抜出場が当確のチームの翌春の戦いぶりを占う大会となっています。
2023年第54回明治神宮野球大会の日程
2023年の第54回明治神宮野球大会の日程は、11月14日(火)に開会式、15日(水)から20日(月)にかけて6日間開催され、雨天の場合は順延です。
チケットの発売期間は前売券はチケットぴあ、ローチケ、セブンチケット、EPLUSなどのチケット販売サイトで、10月20日10:00から11月20日13:00まで購入可能です。一般席のみで1日1回限り有効で2,000円となっています。
また当日券は、一般席2,000円、学生席800円(学生証提示)に加え、ファミリーシート、ペアシートの販売もあります。
http://www.jingu-stadium.com/about_kyujo/jingu_tournament/
まとめ
明治神宮野球大会への大学の部、高校の部それぞれの出場条件は
- 大学の部は、東京六大学、東都大学の秋季リーグ優勝校、それ以外は各地区の大学野球連盟で開催される秋季リーグ戦の優勝校がさらに上位の地区代表戦で出場権を競う
- 高校の部は、秋季都道府県大会を勝ち抜いた上位校で地区大会を競い、優勝校が出場。北海道、東京都はそれぞれ道大会、都大会の優勝校が出場。
となります。また歴代優勝校は
- 大学の部は、東京六大学の明治大学が7回、東都大学の駒澤大学、亜細亜大学が5回と東京六大学、東都大学の優勝校が上位を占める
- 高校の部は、東北高校が4回と最多、大阪桐蔭、帝京、星稜、仙台育英、明徳義塾の5校が2回と続く
と大学、高校の各部で優勝校の顔触れに特徴があります。
2023年の日程は14日(火)に開会式、15日(水)から20日(月)の6日間にかけて開催される予定です。チケットは販売サイトで前売券の購入も可能、当日券は学生料金、ファミリーシート、ペアシートの販売もあります。
高校の部は、優勝すれば2023年第96回選抜甲子園大会の神宮枠として優勝校の地区から1校選抜されるだけでなく、選抜の優勝候補を占ううえでも重要な大会で、神宮で全国レベルの高校と対戦することでどれくらいのレベルかをはかることになります。
年内最後の公式戦となる明治神宮野球大会、季節的にも日中は寒い日がありますので寒さ対策をしたうえで目いっぱい楽しみましょう!