高校野球の長い甲子園大会の歴史においてまだ全国制覇していない未優勝の都道府県があります。
参加校数の少ない都道府県は野球留学が増えたことによりかつて言われたような弱小県はなくなりつつありますが、惜しくも優勝に一歩届かなかった県や各県の最高成績についてまとめてみました。
優勝未経験の県には意外な県もあります。早速見てみましょう!
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全国制覇のない甲子園未優勝の県は?
2023年の選抜大会終了時点で47都道府県のうち都道府の東京都、大阪府、京都府、北海道は優勝経験があります。残りの43県のうち全国制覇してない甲子園で優勝経験のない県は
- 青森県
- 岩手県
- 秋田県
- 山形県
- 福島県
- 新潟県
- 富山県
- 石川県
- 滋賀県
- 鳥取県
- 島根県
- 宮崎県
の12県あります。東北6県は最近でも甲子園の活躍が目覚ましいですが、意外にも2021年まで優勝経験がなく東北を超えて北海道の駒大苫小牧に2004年に先を越されてしまいました。しかも駒大苫小は2005年に夏連覇、2006年には夏準優勝と3連覇直前まで行くほどの活躍ぶりでした。
北海道に先を越されてしまったものの白河の関をいつ超えるかということが長年話題になることもありましたが、2022年夏の甲子園、選手権大会で宮城県の仙台育英高校が東北勢悲願の初優勝を成し遂げました。
強豪都府県のイメージがある関東と近畿では山梨県と滋賀県が唯一優勝がありませんでした。しかしこちらも2023年春の選抜大会で山梨学院が悲願の山梨県勢初優勝を果たしています。激戦地区ということで選抜大会に出場するのが困難なことも影響しているのか、単純に出場回数が少ない分確率が下がる側面もあったのでしょう。
北陸は福井県以外の3県、中国は鳥取県、島根県、九州では宮崎県が未優勝です。石川県には全国屈指の強豪校星稜高校があり、最近も決勝進出しているのですが意外にも優勝経験はありません。
それではこれらの県の春夏の甲子園での最高成績について見てみましょう。
甲子園未優勝県の最高成績
優勝経験がない12県ですが、多くの県は準優勝は経験しています。北から順に県別に見ていきましょう。
県 | 最高成績 | 校名 | 大会 | 年 | 対戦結果 |
青森 | 準優勝 | 八戸学院光星 | 第94回選手権 | 2011 | 0-11日大三 |
第84回選抜 | 2012 | 3-7大阪桐蔭 | |||
第94回選手権 | 2012 | 0-3大阪桐蔭 | |||
三沢 | 第51回選手権 | 1969 | 2-4松山商 | ||
岩手 | 準優勝 | 花巻東 | 第81回選抜 | 2009 | 0-1清峰 |
秋田 | 準優勝 | 金足農 | 第100回選手権 | 2018 | 2-13大阪桐蔭 |
秋田中 | 第1回選手権 | 1915 | 1-2京都二中 | ||
山形 | ベスト4 | 日大山形 | 第95回選手権 | 2013 | 1-4前橋育英 |
羽黒 | 第77回選抜 | 2005 | 0-4神村学園 | ||
福島 | 準優勝 | 磐城 | 第53回選手権 | 1971 | 0-1桐蔭学園 |
新潟 | 準優勝 | 日本文理 | 第96回選手権 | 2009 | 9-10中京大中京 |
富山 | ベスト4 | 新湊 | 第58回選抜 | 1986 | 3-8宇都宮南 |
石川 | 準優勝 | 星稜 | 第101回選手権 | 2019 | 3-5履正社 |
第77回選手権 | 1995 | 1-3帝京 | |||
滋賀 | 準優勝 | 近江 | 第94回選手権 | 2022 | 1-18大阪桐蔭 |
第83回選手権 | 2001 | 2-5日大三 | |||
鳥取 | 準優勝 | 米子東 | 第32回選抜 | 1960 | 1-2高松商 |
島根 | ベスト4 | 江の川 | 第85回選手権 | 2003 | 1-6東北 |
松江中 | 第9回選手権 | 1923 | 3-7和歌山中 | ||
杵築中 | 第3回選手権 | 1917 | 2-3愛知一中 | ||
宮崎 | 準優勝 | 延岡学園 | 第95回選手権 | 2013 | 3-4前橋育英 |
春夏の甲子園大会の最高成績が準優勝の県は9県でした。特に青森県は決勝進出は4度ありますが、全て敗退。青森は八戸学院光星が3度の決勝進出を果たしていますが、いずれもあと1歩のところで優勝を逃しています。
八戸学院光星は2011年の選手権から3季連続で決勝戦に進出、2011年は日大三、2012年は1回目の春夏連覇を達成した大阪桐蔭に春夏連続で敗退しましたが、3季連続で決勝進出すること自体偉業と言えるでしょう。
青森は三沢も1969年に決勝戦に進出しましたが、延長18回で決着つかず引き分け後、翌日再試合の末松山商に敗退。青森県勢が最も優勝に近づいた瞬間でしたが、県勢初優勝がかないませんでした。
青森県に次いで準優勝を2回しているのが、秋田県、石川県、滋賀県です。秋田県は第1回選手権大会の秋田中、第100回選手権大会の金足農が準優勝、石川県は星稜高校が2回決勝に進出しています。
滋賀県も近江高校が第83回選手権、第94回選抜の2回決勝に進出しました。第94回選抜は大阪桐蔭に優勝を阻まれましたが、ちなみに決勝戦で当時の県勢初優勝を阻んだ高校は大阪桐蔭が4回あり、八戸学院光星の2回、金足農業、近江がそれぞれ1回づつ壁となって立ちはだかりました。
なお日大三、帝京は選手権の優勝回数2回のうち決勝戦の相手が、日大三は八戸学院光星、近江、帝京は仙台育英、星稜といずれも当時の県勢初優勝を阻んでの優勝というのも奇遇です。
春夏の甲子園大会で決勝戦に進出していない県は山形県、富山県、島根県の3県あります。山形県勢は2000年以降に2回のベスト4があり、近年でも日大山形、鶴岡東といった強豪校が3回戦まで進むなど近い将来ベスト4の壁を破る日が来るかもしれません。
島根県も2003年にベスト4進出していますが、これ以外は戦前の旧制中学時代のものでした。2000年以降には立正大淞南、石見智翠館、大社がそれぞれ2009年、2021年、2024年にベスト8まで進んでいます。
富山県は1986年の新湊旋風による唯一のベスト4が最高成績、以降30年以上ベスト4の進出がありません。高岡商、富山商と強豪校もあり近年は3回戦の進出もありますが、そこから先になかなか進めないのが現状です。
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未優勝県でも最高成績はいずれもベスト4以上は経験しています。特に東北勢は春夏合わせて13回の決勝進出経験がありますが、2022年夏の仙台育英の初優勝まで12回連続で決勝で敗れ続け長らく栄冠をつかむことができていませんでした。
2022年夏、2023年春に優勝した宮城県、山梨県のそれまでの最高成績
2022年夏、2023年春は夏春連続でそれまでの甲子園未優勝県が初優勝を果たすという特徴のある大会でした。参考までに宮城県、山梨県のそれまでの甲子園最高成績を紹介しましょう。
県 | 最高成績 | 校名 | 大会 | 年 | 対戦結果 |
宮城 | 準優勝 | 仙台育英 | 第97回選手権 | 2015 | 6-10東海大相模 |
第73回選抜 | 2001 | 6-7常総学院 | |||
第71回選手権 | 1989 | 0-2帝京 | |||
東北 | 第85回選手権 | 2003 | 2-4常総学院 | ||
山梨 | ベスト4 | 東海大甲府 | 第94回選手権 | 2012 | 3-9光星学院 |
第86回選手権 | 2004 | 8-10駒大苫小牧 | |||
第62回選抜 | 1990 | 4-5近大付 | |||
第59回選抜 | 1987 | 5-8PL学園 | |||
第67回選手権 | 1985 | 6-7宇部商 | |||
市川 | 第63回選抜 | 1991 | 1-4広陵 | ||
甲府商 | 第39回選抜 | 1967 | 1-11高知 |
宮城県勢は仙台育英が2022年夏の選手権大会で県勢初優勝しましたが、それまでは選抜1回、選手権2回の計3回決勝進出もいずれも敗退。なお優勝した翌年の2023年も仙台育英は慶応に決勝戦で敗退し、準優勝に終わりました。
東北高校も2年生ダルビッシュ投手がエースの時に常総学院に敗退しましたが、宮城県勢は常総学院に決勝戦で2敗を喫しています。
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山梨県勢は山梨学院が2023年春の選抜大会で県勢初優勝しましたが、それまでの県勢はベスト4に7回進出して全て敗退、県勢8回目のベスト4となった2023年春の山梨学院は学校として初のベスト4進出を果たすと決勝まで一気に勝ち進み、県勢初優勝を勝ち取るという快挙でした。
なお山梨県勢では東海大甲府が5回準決勝に挑んでいますが、いずれも敗退、決勝戦への壁が立ちはだかっています。
まとめ
長い高校野球の歴史において甲子園で全国制覇していない県は12県ありました。これらの未優勝県のうち、最高成績は
- 準優勝
青森県、岩手県、秋田県、福島県、新潟県、石川県、滋賀県、鳥取県、宮崎県の9県
- ベスト4
山形県、富山県、島根県の3県
青森県、石川県は近年でも決勝進出していますが、残念ながら優勝はいまだありません。
なお近年まで長らく甲子園未優勝だった宮城県、山梨県はそれぞれ2022年夏の選手権で仙台育英、2023年春の選抜で山梨学院が県勢初優勝を果たしました。上記の未優勝県12県から次に抜け出すのはどこの県になるでしょうか?次回以降の甲子園大会に期待したところですね。