
地方球場での試合前ノック
2019年の夏の高校野球甲子園大会も全日程を終え、大阪代表の履正社高校が初優勝、昨年の大阪桐蔭に続く大阪勢の連覇となりました。2週間に及ぶいわばお祭り期間が終了し、まだ甲子園の熱闘冷めやらぬ8月の下旬以降は甲子園ロスになる方も多いはず。小中高生ならばあとは夏休みが終わるまでのカウントダウンが始まる時期です。
この時期はすでに翌春のセンバツ選考基準となる各地区の秋季大会にむけた予選が始まっています。まずは都道府県の代表を決める都道府県大会出場校を決めるための1次、2次予選が開催されいている時期です。
とりあえずこの甲子園ロスを埋めるために、各地方で開催されている秋季地方大会にぼちぼち足を運ぶ方も多いのではないでしょうか?来春のセンバツ出場への思いを馳せながらのんびり観戦するのも悪くはないものです。
しかし夏の地方大会、甲子園に比べると、どうしても1、2年生を主体とした新チームであるこの大会はまだまだ盛り上がりに欠ける感は否めません。高校野球ファンからすれば、1年のピークである夏の甲子園の余韻の中で観戦するには物足りなさを感じてしまうのではないでしょうか?
そんな甲子園ロスを抱える高校野球ファンにとっても最後の最後に3年生最後の全国大会を楽しめる機会があります。毎年9月下旬から10月上旬にかけた秋に開催される秋季国体です。組み合わせ、日程はこちら
国体は全国大会といっても各都道府県から1校ずつ出場するのではなく、一定の出場条件を満たした12校で争われます。ではどんな高校が選考されるのか?国体とはどんな大会か?2019年の国体出場校や出場条件など国体の面白さについて是非見ていきましょう!
国体とは?
高校野球における国体とは、正式名称は「国民体育大会高等学校野球競技」で、毎年日本の各都道府県で持ち回りで開催される国民体育大会、通称国体における高等学校野球大会のことを指します。
各都道府県持ち回りで開催されるというのは、2019年は茨城県、昨年の2018年は福井県、来年の2020年は鹿児島県など毎年開催される都道府県が変わるということです。このため開催年によっては地元、あるいは近隣の都道府県で開催されることもあり、全国大会を身近に観戦できることもできます。
なお2019年の国体は「第74回国民大会 いきいき茨城ゆめ国体」と称されるように、毎年開催都道府県にキャッチフレーズのような名称と組み合わせて命名されています。
高校野球の場合は、硬式の部と軟式の部があります。硬式の部については、冒頭にも触れたように1、2年生主体の新チームで秋季地区大会が開催されているので、これとは別に国体は3年生主体で参加することになります。
3年生にとっても最後の引退試合という位置づけで、甲子園出場校の最後のご褒美的な大会な意味合いが強いのも特徴です。
硬式の部については、なんと1946年の第1回国体から開催されています。当初は都道府県対抗の得点対象となる正式競技として開催されていました。
現在は都道府県代表が全て参加するわけではないため、都道県対抗の得点対象とはならない特別競技として高校野球のみが特別な位置づけとなっています。
第1回は大阪の浪華商業が優勝を飾り、歴代の優勝回数でも12回と2位の神奈川の6回を大きく引き離しており、ここでも大阪の高校野球のレベルの高さが如実に表れています。
2019年の茨城国体の野球大会は、9月29日(日)から10月2日(水)までの4日間、茨城県のノーブルホームスタジアム水戸(総合運動公園市民球場)で開催されます。組み合わせ抽選は、9月9日(月)午後2時より日本高野連の各委員立ち合いのもと代理抽選で決定されます。
では国体に出場するのはどんな高校が選考されるのでしょうか?続いて今回の出場校や出場条件について見ていきましょう。
どんな高校が選考されるのか?出場条件は?
2019年の出場校は、北から八戸学院光星(青森)、仙台育英(宮城)、作新学院(栃木)、霞ケ浦(茨城)、関東第一(東京)、星稜(石川)、中京学院大中京(岐阜)、履正社(大阪)、明石商業(兵庫)、智辯和歌山(和歌山)、宇部鴻城(山口)、海星(長崎)の12校に、補欠校が高岡商業(富山)、鶴岡東(山形)の2校となります。
これらの出場校を見てもわかるように、直前の夏の甲子園のベスト8校が出場します。出場条件は、このベスト8校に開催県茨城県の代表である霞ケ浦と3回戦進出校のうち地域性を考慮した3校、今回でいえば智弁和歌山、宇部鴻城、海星の3校が選出されています。
しかし出場条件というのは明確なものがあるわけではありません。慣例ではベスト8校がすんなりと出場することが多いのですが、ここに地域性が考慮されることがあります。例えば2015年の場合は、早稲田実業、関東一の東京勢2校がベスト8(両校ともベスト4まで進出)になったにも関わらず関東一が選考されませんでした。
国体の選考では1県1校という地域性が優先されるようです。さらにベスト8以外では3回戦で敗退したチームのうち、好ゲームを演じたチームに地域性を加味して選考される傾向にあります。
今回で言えば、星稜とのタイブレークの末敗退した智辯和歌山やともに3回戦で接戦だった中国勢の宇部鴻城、九州勢の海星が選出されました。このあたりは上記の好ゲーム、地域性という点からすんなりと決まったのではないでしょうか?
国民大会という性質上、チームの成績、実力もさることながら、全国からなるべくバランスよく参加することも重視されるようです。夏の甲子園の戦績を考慮しながら各地区の代表的な高校を選出するというのが選考基準に優先されるのでしょう。
国体高校野球の面白さとは?
3年生にとっては最後の大会となる国体ですが、実際は夏の甲子園で選手も燃えつくしている感はあります。真剣勝負という点ではどうしても甲子園に見劣りしてしまいます。
しかし選考基準からもわかるように夏の甲子園で活躍した高校が出場しますので、優勝校はもちろんのこと甲子園で何回も勝ち続けたチームが集います。そのため有名校、有名選手が出場することになりなかなか豪華な顔ぶれとなるのが特徴です。
さらに甲子園で対戦したチーム同士が国体で再戦し、甲子園で敗退したチームがリベンジを果たすこともあります。1か月以上前に閉幕した夏の甲子園をほんの少しだけ思い出させてくれるシーンがちりばめられているのが国体の面白さではないでしょうか?
まして持ち回りの開催ですので、地元に名門校が集う年もあります。遠隔地での開催となると現地に出向いて直接観戦するのはハードルが高いですが、ちょっと足を延ばせば甲子園で激闘を繰り広げたチームを生で観戦できるのも魅力的です。
こちらの記事でも紹介「高校野球国体観戦のおススメ!引退前の日本代表メンバーに会える最後のチャンス!」
遠隔地の開催でも今やインターネットによるライブ配信もありますので、生観戦と行かないまでもライブ中継を楽しむこともできます。夏の甲子園が終わってぽっかりと穴の開いた甲子園ロス状態を紛らすにも国体観戦を是非おススメします!
まとめ
夏の甲子園が終わり甲子園ロスの状態に陥っている方には国体観戦がおススメです。国体の高校野球の特徴は
- 国体の高校野球とは「国民体育大会高等学校野球競技」の一競技ですが、都道府県代表でないため特別競技として開催されます。
- 2019年の出場校と出場条件については、例年通り開催都道府県1校と夏の甲子園ベスト8チームを中心に地域性を加味して3回戦進出校などから12校が選出されます。
- 国体高校野球の面白さは、夏の甲子園の再戦や上位進出校ならではの有名校、有名選手が出場するところにあります。
といった点が挙げられます。
夏の甲子園が終了して1か月後にその甲子園で活躍したチームの再戦を見られるのが国体の醍醐味です。少し頭髪の伸びた高校球児に再会してまだまだ終わらない夏を堪能してみてはいかがでしょうか?