新型コロナウィルスの感染拡大により2020年7月に開催予定だった東京五輪の延期が決定しました。これにより衆議院解散、総選挙の見通しも変わりそうです。
衆議院解散については、予定通り東京五輪が開催されていた場合の五輪終了後の年内秋以降の衆議院解散が当初有力視されていました。五輪による祝祭ムードのあるうちに解散総選挙を実施して衆院選勝利へつなげるという見方がありました。
では、衆院解散、総選挙はいつになるのか?を予想するとともにそもそも衆議院解散ってどんな意味があるの?仕組みや決め方ってどうなってるのかについて簡単に解説します。早速見てみましょう!
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衆議院と参議院の違いとは?
日本の国会は衆議院と参議院の2つの議院から構成されています。国会は法律を制定したり、国家予算の議決、条約締結の承認など国の運営に携わる重要な決定事項を決める最高機関で国の唯一の立法機関です。
この国会で議論、議決するための議員を国民が選挙で選びます。そして国民の意見をより広く反映させ、慎重な議論を行うためにこの2つの議院を設置しています。
衆議院 | 参議院 | |
議員定数 | 465人 小選挙区289人 比例代表176人 | 245人 選挙区147人 比例代表98人 |
任期 | 4年 | 6年(3年ごとに半数改選) |
選挙権 | 満18歳以上 | 満18歳以上 |
被選挙権 | 満25歳以上 | 満30歳以上 |
選挙区 | 小選挙区:全国289区 比例:全国11区 | 選挙区:都道府県単位45区 (鳥取・島根、徳島・高知は2県で1区) 比例:全国1区 |
解散 | あり | なし |
衆議院と参議院は上記のようにそれぞれ議員定数、任期、被選挙権、選挙区などが異なりますが、最大の相違点は解散があるかないかです。参議院は任期は6年と長く、解散もありません。
一方、衆議院は任期は4年の上に解散されることがあります。これは参議院では長期的な視点に立って国民の意見を反映させることを目的としていることに対して、衆議院は解散総選挙を行うことで国民の直近の意見を選挙に反映させることを目的としています。
よく「国民の信を問う」という目的で衆議院が解散されますが、こういった特性から解散して国民の意見を反映させようというのが衆議院解散です。このため衆議院には国民の意見が強く反映されているという観点から「衆議院の優越」という権限が与えられています。
衆議院と参議院で意見が対立した場合、衆議院で可決された法案が参議院で否決されても衆議院で再可決すれば法案が通ることになります。
それではどんな時に衆議院が解散されるのでしょうか?
どんな時に衆議院が解散される?仕組みや決め方は?
どんな時に衆議院が解散されるのかについては、大きく3つのタイミングがあります。以下にその仕組みと決め方を説明します。
- 任期満了(4年の任期を終えた時)
4年の任期が満了すれば新たな衆院議員を選ぶための総選挙が行われます。ただし任期満了による解散総選挙が行われるケースは珍しく、戦後では1976年の1回しかありません。
- 内閣不信任決議案が可決あるいは内閣信任決議案が否決された時
これは今の内閣ではだめだ、適切ではないと野党が内閣の退陣を求める不信任決議案を提出し可決された場合、あるいは与党が今の内閣は適切だという内閣信任決議案を提出し否決されるケースにあたります。
いずれのケースでも内閣は総辞職か衆議院解散かを選ばなければなりません。内閣が衆議院解散を選択した時に解散総選挙へと進みます。
- 内閣が解散すべきと判断した時
重要な法案などを可決したいときに国民の意見をきくために解散総選挙を行います。選挙の結果、与党が多数の議席を得られれば信任されたものとみなします。この解散権は憲法7条に基づくもので内閣総理大臣の専権事項となります。
憲法上は衆議院の解散権は内閣に属するため閣議決定されることが前提にあります。しかし内閣総理大臣は国務大臣を任意に罷免することができるため、解散を拒否した国務大臣を罷免することで解散の閣議決定が可能となります。このことから事実上の解散権は内閣総理大臣にあることになります。
衆院の解散で最も多いのがこの内閣による解散です。任期が近づいてくると選挙に有利な時期を見計らって解散総選挙にうって出て政権の延命をはかることもあります。こういった解散権の乱用についてはさまざまな意見がありますが、解散権への制限は現在も設けられていません。
現在の衆議院議員の任期は2021年10月21日です。当初は2020年の夏の東京五輪が閉会した秋以降の祝祭ムードの中で解散総選挙を行うという見方が有力視されていましたが、新型コロナウィルスの感染拡大により東京五輪は延期、感染拡大の終息も見えません。
では衆院解散総選挙はいつになるのでしょうか?
衆議院解散はいつになるのか?
当初有力視されていた2020年の東京五輪後の年内解散は、五輪の1年程度の延期を受け見直される動きがあるようです。衆院解散の時期については、この東京五輪後に行われるという見方がありましたが、安倍首相が五輪後の任期途中に辞任するという見方もあり安倍首相の下で衆院選が行われるかは不透明でした。
しかしこの五輪の延期により首相は現職として2021年の東京五輪を迎えることが濃厚です。となると来年の東京五輪後の解散総選挙では任期までの日数も少ないことから追い込まれた感もあるため、党内には五輪後の解散総選挙には否定的な声もあります
一方で五輪延期に伴い一部では7月の東京都知事選との同日選もささやかれましたが、国内の感染状況が厳しく早期の終息の見通しも困難な状況での2020年7月の総選挙には党幹部も否定的です。
こうした状況をふまえ、感染終息が前提ではあるものの年内解散あるいは来年の年明け解散が現実味を帯びてきそうです。また安倍首相は総裁の4選は否定しています。この4選よりも退陣して党内に強い影響をもつ院政を狙っているという声もあります。
このため長らく維持してきた安倍1強状態を退陣まで続けることが前提となります。ということであれば総選挙で勝つことにより国政選挙7連勝を果たし、東京五輪後に4選の声も出る中で辞任というのが首相にとって最善のシナリオと言えそうです。
新型コロナウィルスの終息がいつになるか見通せませんが、終息の時期によっては自民党が勝てるタイミングで解散総選挙にでることになりそうです。いずれにしても現時点では当面衆院解散はありえなさそうです。
まとめ
新型コロナウィルスの感染拡大により2020年7月に開催予定だった東京五輪の1年程度の延期が決定し、衆議院解散、総選挙の時期にも影響を与える見通しです。衆議院解散時期については、東京五輪が予定通り開催されていた場合に祝祭ムードのある秋以降に解散総選挙を実施するという見方が当初ありました。
しかし五輪が延期されたことにより衆院解散がいつになるのか見通しも立てにくい状況となりました。ではいつの解散が現実的なのか、またそもそも衆議院とは?衆議院解散の仕組みや決め方ってどうなっているの?という点をまとめてみました。
- 日本の国会は衆議院と参議院の2院で構成され衆議院には解散がある
- 重要な法案があるときは衆議院を解散し総選挙をすることで国民の信を問う
- 衆議院解散は内閣総理大臣の専権事項でいつでも解散できる
衆議院の解散についてはこのように内閣総理大臣が決めることができるため、任期が近づいてくると選挙に勝てるタイミングを見計らって解散することも少なくありません。
今回、五輪の延長により考えられる解散の時期は
- 安倍首相は東京五輪を現職として迎えたい
- 首相は総裁選4選には否定的だが首相辞任後も院政を狙っているため、衆院選に勝利して党内の影響力を残したい
- 2021年の東京五輪後では10月の衆議院の任期に近すぎるため避けたい
- 新型コロナの感染終息の見通しが立たないうちは選挙どころではない
といった点から、来年の東京五輪前後は考えにくく、新型コロナの終息次第では年内から年明けという見方が現在は有力のようです。新型コロナの問題で現在は総選挙どころではないのは間違いなさそうですが、新型コロナにより政権も振り回されることになりそうです。