2020年12月7日に神宮球場で行われた「12球団合同トライアウト 2020」、阪神、日ハムでも活躍した元メジャーリーガーの新庄剛志氏も参加したことで注目を浴びました。
新庄氏は48歳でトライアウトに参加しましたが、トライアウトを受ける条件や年齢制限などどんな規定があるのでしょうか?また打者は何打席立つのか?投手なら何人まで投げるのか?トライアウトから他球団の支配下契約を勝ち取る難しさについても紹介します!
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12球団合同トライアウトとは?受ける条件は?
12球団合同トライアウトとは、自由契約選手を対象に日本野球機構に属する12球団が合同で行う入団テストです。トライアウトを受ける条件はこの12球団のいずれかに所属していて自由契約となった元プロ野球選手であることです。
自由契約選手とは、各球団が支配下契約している選手と翌年以降は契約を結ばないといういわゆる戦力外通告を受けた選手のことを一般的には指します。通常、翌年も契約する場合は契約保留選手として11月30日までにコミッショナーにその名簿を提出する必要がありますが、自由契約選手となればこの名簿には記載されません。
自由契約となった選手はコミッショナーにより自由契約選手として公示され、いずれの球団とも自由に契約ができる状態になります。この公示は12月の最初の平日になされます。
なお任意引退選手の場合、自分の意思で引退することになるため所属球団に理由を付した申請書を提出、その提出をコミッショナーが正当と判断したときに任意引退選手として選手契約が解除されます。
しかし任意引退選手は引退時点の所属球団が保留権を有するため、再度NPBに復帰する場合にはこの所属球団としか契約できません。これにより他球団に移籍したい選手が任意引退して他球団と交渉することができなくなります。
48歳でトライアウトに参加した新庄選手がこのケースにあてはまりましたが、現役復帰の意向を受けて日本ハムは新庄選手を任意引退から自由契約選手へと扱いを変更する手続きをとっています。
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このように12球団合同トライアウトを受ける条件は、どこの球団とも契約が自由にできる戦力外通告を受けた自由契約選手に限られることとなります。
自由契約選手であること以外には規定はありません、このため年齢制限もなく外国人選手も参加可能です。また自由契約後に独立リーグや社会人野球でプレーした選手も参加できます。ただし1人の選手が参加できるのは2回までとなっています。
トライアウトの形式は?
12球団合同トライアウトの形式は、実戦形式で行われます。攻守ともにトライアウトに参加した選手がそれぞれポジションにつく試合形式で投手がマウンドに立って打者に対して対戦します。
打者は打った後も走塁をし、そのまま塁に残るまさしく試合と同じ形となり、脚に自身がある選手は盗塁を試みてアピールすることも可能です。
ただしこのトライアウト形式には厳密な決まりがあるわけではなく、時間の制約があるためカウントも1ボール1ストライクから行われたり、3アウト制でないこともあります。
投手は何人まで対戦できるのか、打者は何打席まで立てるのかという点ですが、こちらも規定があるわけではなく投手は3人の打者と対戦、打者は相手投手の人数次第になるので選手によっては4打席もしくは5打席となるケースが慣例となっています。
限られた投球機会、打席数で結果を出すことが求められますが、結果を出してもNPBの支配下契約まで至るケースはごく稀という狭き門です。多くのケースは育成契約からの再スタートでそれも例年数人程度です。
トライアウトから他球団の支配下契約は難しい?
トライアウトを受けた選手が他球団の支配下選手契約に至ることはごく稀で、多くは独立リーグや社会人、クラブチームや海外のクラブチームから勧誘を受けるケースになります。
若い選手ならばいったんNPBから離れて独立リーグやアマチュアから再出発してNPB復帰という道もありますが、ハードルはかなり高いでしょう。
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なおトライアウトに参加した選手と契約を結ぶ意思がある球団は、トライアウト以降5日以内に選手に通知するのが慣例となっています。2020年の新庄選手も5日以内に通知がなく球界復帰を断念しています。
毎年12月にTBSで放映される特別番組、トライアウトから通知が来るまでの期間の戦力外通告を受けた選手たちの5日間を追ったドキュメンタリー「プロ野球戦力外通告・クビを宣告された男達」でも放送されていますが、支配下契約を勝ち取るのはかなり厳しい世界です。
現実的には他球団と支配下契約できる選手はトライアウトを受ける前に移籍先と契約するケースが多いので、トライアウトで各球団のスカウトの目に留まることは少ないのでしょう。
ドラフト会議も終了しているので翌年の戦力構想はほぼ固まっているということもあり、契約するにも枠のない育成契約からというパターンにならざるを得ないことからもトライアウトから他球団の支配下契約を勝ち取るのは相当ハードです。
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まとめ
毎年12月に行われる12球団合同トライアウトではNPBの12球団との再契約を目指して数十人の選手が夢を追って参加します。このトライアウトでは、細かい規定があるわけではなく新庄剛志選手が48歳で挑戦したように年齢制限はありません。
トライアウトでは投手は3人の打者と対戦、打者は4~5打席程度のチャンスが与えられますが、この運営も投手は何人と対戦、打者は何打席までという規定があるわけではありません。
このトライアウトを受ける条件は、NPBと契約していた選手が戦力外通告を受けて自由契約になった場合に参加が認められます。しかしトライアウトから他球団の支配下登録を勝ち取るのはかなりの狭き門、毎年50人前後が参加して2~3人程度が合格するレベルです。
プロ野球界には毎年ドラフト会議で新人が入団してきます。各球団ともに翌年の戦力構想がほぼ固まっている時期でもあり、プロ野球の1軍で実績があった選手でさえトライアウトから支配下契約に至るのはかなりハードルが高いようです。
トライアウトに合格する多くの選手は育成契約からの再出発、その後も結果をすぐに出さないと戦力外通告を受けてしまうというまさにプロ野球の厳しさがこのトライアウトに現れています。
毎年12月にTBSで放映される特別番組「プロ野球戦力外通告・クビを宣告された男達」からはその厳しさが良く伝わりますが、是非再契約を勝ち取ってほしいものだといつも観て思います。
この厳しさがあるからプロ野球が夢のある世界ということでもあるのでしょう。誰もが成れるわけではないプロ野球選手には後悔のないプロ野球生活を送ってほしいものです。