2020年、令和2年の大相撲初場所で4場所ぶりに幕内へ復帰した西前頭17枚目の徳勝龍が初優勝を飾りました。幕尻力士では20年ぶり、幕内最下位からの史上最大の下克上と言われる優勝、さらに33歳5か月での初優勝は史上3番目の高齢初優勝でもありました。
さらに奈良県出身力士として98年ぶり、木瀬部屋からも初となる優勝と記録ずくめの歴史的優勝を果たした徳勝龍とはどんな力士?血液型、誕生日や経歴など気になる力士情報から、「幕尻力士ってなに?」という大相撲の番付制度について紹介します。見ていきましょう!
Table of Contents
徳勝龍関ってどんな力士?
徳勝龍関の力士情報
四股名 | 徳勝龍 誠(とくしょうりゅう まこと) |
本名 | 青木 誠 |
最高位 | 前頭4 |
生年月日 | 1986年(昭和61年)8月22日 |
出身地 | 奈良県奈良市 |
身長体重 | 182㎝、174㎏ |
出身大学、高校 | 近畿大学、明徳義塾高校 |
所属部屋 | 木瀬部屋 |
血液型 | O型 |
初土俵 | 2009年(平成21年) |
持ち給金 | 254,000円 |
小学生の頃は、柔道と野球もやりながら小学4年生の時に相撲を始めます。中学時にも相撲道場へ通いながら高校は相撲界の名門高知県の明徳義塾高校に進学します。インターハイ団体優勝や国体16強の成績をおさめ、さらに相撲界の名門大学である近畿大学に進学します。
大学時代には学生横綱にはなれなかったものの西日本学生相撲選手権大会、全国大学選抜相撲高知大会で優勝し、4年生時に木瀬部屋へ入門します。2009年1月場所で初土俵を踏みました。
2011年1月場所からは四股名を本名の青木誠から徳勝龍誠に変えます。徳勝龍の「徳」は明徳義塾の校名から、「勝」は近畿大学相撲部の監督伊東勝人さんの名前からつけられています。
以降は十両と幕内(前頭)を行ったり来たりしますが、2020年1月の初場所は4場所ぶりに幕内の前頭17枚目と幕尻で迎えます。2日目に魁聖関に1敗目を喫したものの以降は連勝街道をひた走り、14日目には同じ1敗同士の正代関との大一番に勝利します。
千秋楽では幕尻力士として史上初の千秋楽結びの一番に登場、大関貴景勝関と対戦し勝利、見事初優勝を決めました。記録ずくめの歴史的優勝となりましたが、何がすごいのか?続いて見ていきましょう。
記録ずくめの歴史的優勝!
2020年1月初場所での徳勝龍関の初優勝は記録ずくめのものでした。どんな記録があるのか見ていきましょう。
- 幕尻力士としては20年ぶり、歴代史上最低地位の優勝は史上最大の下克上
幕尻による優勝は2000年春場所の貴闘力が東前頭14枚目での優勝以来20年ぶりとなりました。ただしこの場所では西前頭14枚目に若の里がいたため幕内最下位の番付ではありませんでした。徳勝龍の西前頭17枚目という史上最低地位からの優勝はまさしく史上最大の下克上となりました。
- 史上3位の高齢初優勝
徳勝龍は初土俵から12年で33歳5か月での初優勝と史上3位の高齢優勝となりました。年間6場所制となった1958年以降では、旭天鵬37歳8か月、玉鷲34歳2か月に次ぐ高齢です。
- 奈良県出身力士は98年ぶりの優勝
奈良県出身力士としての最後の優勝は、1922年(大正11年)1月場所の鶴ヶ濱で以来98年ぶりの奈良県出身力士の優勝となりました。
- 三役経験の経験のない力士の優勝は史上4人目
年間6場所制となって以降、三役経験のない力士の優勝は、1960年(昭和35年)5月場所の若三杉、1961年(昭和36年)5月場所の佐田の山、2019年(令和元年)5月場所の朝乃山の3人がいましたが、徳勝龍は4人目の優勝となりました。
幕尻力士って?三役とは?
記録ずくめの優勝となった徳勝龍関ですが、そもそも幕尻力士ってなに?三役って何を指すの?といった基本知識を知らないとこの歴史的優勝の価値もよくわからないのではないでしょうか?
大相撲の基礎知識について紹介します。早速見ていきましょう!
幕尻力士ってなに?大相撲の番付とは?
幕尻力士の意味を理解するには大相撲の番付を知る必要があります。大相撲の番付とは、本場所の成績によって序列づけられている地位のことを指します。この地位は毎場所後に行われる番付編成会議で上下します。
地位 | 定員 | |||
関取 | 幕内 | 横綱 | なし | 42名 |
大関 | なし(下限2名) | |||
関脇 | なし(下限2名) | |||
小結 | なし(下限2名) | |||
前頭 | なし | |||
十両 | 28名 | |||
力士養成員 | 幕下 | 120名 | ||
三段目 | 200名 | |||
序二段 | 不定 | |||
序ノ口 | 不定 | |||
番付外 | 不定 |
上記のように十両以上が関取と呼ばれ、幕下以下は力士養成員とされます。
横綱への昇進基準は、大関で2場所連続優勝またはそれに準ずる成績をあげることが基準となっていますが、大関以下の関取への昇進には明確な基準はありませんが、大関への昇進については直近3場所で三役(関脇、小結)で、その合計の白星数が33勝以上というのが目安となっています。
大関への陥落は2場所連続の負け越しで関脇に陥落するという規定が存在しますが、横綱は陥落はないので不振が続けば引退を迫られることになります。力士養成員の昇進、陥落には規定が存在しますが、基本的には勝ちを続けることで昇進していきます。
さて幕尻というのは上記にあるように幕内の中でも最下位の前頭の末尾の地位となります。2020年の初場所では西前頭17枚目の徳勝龍が西の17枚目という最下位番付でした。幕内の史上最低地位からの優勝が最大の下克上と言われるゆえんです。
三役とは?
大相撲でよく耳にする三役ですが、正式には大相撲の幕内力士のうち番付上の大関、関脇、小結を指します。一方で取組における「これより三役」とは、千秋楽最後の3番の取り組みを指します。
通常取組編成では、番付上位の力士を終盤に順番に充てるように編成されるため「これより三役」には横綱が含まれることが多く、番付の東西上位6人が入ることが通常です。したがって「これより三役」では関脇が二人揃うことや小結が含まれるケースの方が少なくなります。
さらに下位の力士でも優勝争いに絡むようになると、終盤には上位力士との取り組みが組まれます。今回の徳勝龍のように下位の平幕力士が、優勝争いをしているため「これより三役」に入ることもあり、徳勝龍は幕尻力士ながら千秋楽の結びの一番に登場、史上初の出来事となりました。
当然、史上初の出来事、さらに優勝のかかった大一番でしたので徳勝龍にとっては相当な重圧がかかったことでしょう。そんななかで大関貴景勝を相手に白星を挙げたのはかなりタフな精神力を持っていると言えるでしょう。
まとめ
2020年1月の初場所で記録ずくめの歴史的優勝をはたした徳勝龍関の誕生日、血液型、身長体重などの基本的な力士情報からどんな記録ずくめだったのかまとめてきました。
- 幕尻力士としては20年ぶり、歴代史上最低地位の優勝は史上最大の下克上
- 史上3位の高齢初優勝
- 奈良県出身力士は98年ぶりの優勝
- 三役経験の経験のない力士の優勝は史上4人目
など数々の記録ずくめの優勝でした。
さらに大相撲の基本知識として
- 幕尻力士とは大相撲の番付で幕内の最下位の番付、徳勝龍は西の前頭17枚目と史上最低地位幕尻力士の優勝
- 三役とは大関、関脇、小結を指すが、千秋楽最後の3番「これより三役」には関脇が二人そろうことや小結が入るケースが少ない
といった点をおさえることで今回の徳勝龍関の優勝がいかにすごいのかが理解できるといえます。33歳と関取としては大ベテランの域に入る徳勝龍の初優勝は偉業でしたが、本人も「まだ33歳」といっているように今後の活躍も期待したいところです。