プロ野球の日本シリーズといえばその年の日本一を決めるための短期決戦を指し、正式名称はプロ野球日本選手権シリーズと言います。セリーグ、パリーグごとに優勝チーム、2位、3位チームとで日本シリーズの出場権を争うクライマックスシリーズを勝ち抜いたチーム同士が対決します。
レギュラーシーズンと異なり最大7試合の短期決戦のため1試合1試合でチームの勢いや流れが変わることもあり、様々なドラマが生まれます。それこそ1球で試合の流れが変わればシリーズ全体の流れまで左右することもあります。
短期決戦では調子のよい選手をどんどん起用することが鉄則ともいわれます。それゆえに短期決戦である日本シリーズで活躍する選手をシリーズ男と呼ぶことがあります。また短期決戦にめっぽう強い選手もいます。
歴代の日本シリーズの最多本塁打や打点、最多勝利数、セーブ数など通算成績や記録からセパ、投手、野手でそれぞれシリーズ男と言われる選手にはどんな選手がいるのでしょうか?早速見ていきたいと思います!
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気になる日本シリーズ通算成績は?
70年近い歴史を誇るプロ野球の日本シリーズでは様々な記録があります。出場試合数、MVP、通算本塁打数、通算勝利数などシリーズ男と呼ばれるためにはどんな成績を収めてきたのか見ていきたいと思います。
出場試合数ベスト10は?
日本シリーズに出場するためには、クライマックスシリーズ制度導入前はリーグ優勝、導入後はリーグAクラスとしてクライマックスシリーズを勝ち抜く必要があります。そのため出場試合数は自ずとリーグ優勝チーム、常勝チームにいることが前提となります。
出場回数のベスト10は以下の通りです。
順位 | 試合数 | 選手名 | 所属チーム |
1位 | 77 | 王貞治 | 巨人 |
2位 | 73 | 柴田勲 | 巨人 |
3位 | 70 | 伊東勤 | 西武 |
4位 | 69 | 森祇晶 | 巨人 |
5位 | 68 | 長嶋茂雄 | 巨人 |
6位 | 67 | 石毛宏典 | 西武 |
7位 | 61 | 秋山幸二 | 西武、ダイエー |
8位 | 60 | 清原和博 | 西武、巨人 |
9位 | 58 | 辻発彦 | 西武、ヤクルト |
10位 | 57 | 土井正三 | 巨人 |
当たり前ですが、セパともに巨人のV9時代、西武の黄金時代に主力として活躍していた選手でベスト10を占めました。日本シリーズに50試合以上出場しているのもこの10名です。投手は登板間隔を空ける必要があるため通算試合数ではどうしても野手が上位を占めてしまうのは仕方ないでしょう。
MVP受賞回数のランキングは?
その年の日本シリーズで最も活躍した選手に贈られる賞が「MVP(最高殊勲選手)」です。MVP受賞回数の多い選手ほどシリーズ男と呼ぶのにふさわしいのではないでしょうか?しかしMVPは日本一になったチームで最も貢献した選手ですので複数受賞する選手はかなり限られます。
回数 | 選手名 | 所属チーム |
4回 | 長嶋茂雄 | 巨人 |
2回 | 別所毅彦 | 巨人 |
2回 | 堀内恒夫 | 巨人 |
2回 | 工藤公康 | 西武 |
2回 | 秋山幸二 | 西武、ダイエー |
2回 | 古田敦也 | ヤクルト |
2回 | 今江敏晃 | 千葉ロッテ |
以上、2回以上受賞した選手はたった7名しかいません。こちらも日本一の回数が多い巨人から長嶋氏が4回、別所、堀内の各氏が2回あります。2回受賞は別所、堀内、工藤の各氏が投手、野手は秋山氏、古田氏、今江氏の各氏が野手と半々でした。
王貞治氏の名がないのは意外ですが、長嶋氏や堀内氏などチームメイトが受賞したためで1回もMVP受賞はありませんでした。一方でヤクルトは5回の日本一のうち2回が古田氏、千葉ロッテは3回の日本一のうち2回が今江氏とまさしく日本一に欠かせないシリーズ男と言えるのではないでしょうか?
通算本塁打数のランキングは?
1球で試合の流れを変える可能性が最も高いのが本塁打です。同点弾、逆転弾はたまたサヨナラ弾と本塁打が試合に与える影響は大きいです。日本シリーズでの通算本塁打のランキングを見ていきましょう!
順位 | 本数 | 選手名 | 所属チーム |
1位 | 29本 | 王貞治 | 巨人 |
2位 | 25本 | 長嶋茂雄 | 巨人 |
3位 | 15本 | 秋山幸二 | 西武、ダイエー |
清原和博 | 西武、巨人 | ||
5位 | 11本 | 柴田勲 | 巨人 |
石毛宏典 | 西武 | ||
7位 | 9本 | 長池徳二 | 阪急 |
原辰徳 | 巨人 | ||
城島健司 | ダイエー | ||
10位 | 7本 | 黒江透修 | 巨人 |
山本浩二 | 広島 | ||
O・デストラーデ | 西武 |
こちらも日本シリーズ出場が多いチームからランクインしています。1位の王貞治氏は世界のホームラン王だけあって日本シリーズでも本塁打29本とは驚異的な数字です。
長嶋氏は通算本塁打444本に対して日本シリーズの通算本塁打25本を記録していますが、王氏が通算本塁打868本に対して日本シリーズの通算本塁打29本に比べると日本シリーズの本塁打が異様に多いのが特徴的です。
この2人に10本以上離されながらも15本で3位にランクインされているのが秋山氏、清原氏の西武黄金期のクリーンアップです。西武黄金期の選手ではこのほか5位の石毛氏、10位のデストラーデ氏もランクイン、当時の強さがうかがえます。
一方7位の城島氏は捕手でありしかも日本シリーズ出場3回ながら9本と驚異的な記録を残しています。通算18試合での達成ですので2試合に1本のペースというのはまさしくシリーズ男と言えるかもしれません。
投手の通算勝利数
日本シリーズという短期決戦では、現代では先発投手が先発するのは通常2回です。初戦に登板すれば中6日空けて第6戦、第2戦に登板すれば第7戦となります。短期決戦ということでエースが初戦、第4戦、第7戦の3回先発することもありますが最近はまずありません。
昭和40年代ころまでは先発投手が連投するのが当たり前の時代でしたので、日本シリーズでも毎試合投げるということも珍しくはありませんでした。しかし最大でも7試合しかない日本シリーズで通算の勝利数上位の投手は一体何勝あげているのでしょうか?
順位 | 勝利数 | 選手名 | 所属チーム |
1位 | 11 | 堀内恒夫 | 巨人 |
稲尾和久 | 西鉄 | ||
3位 | 9 | 足立光宏 | 阪急 |
工藤公康 | 西武、ダイエー、巨人 | ||
5位 | 7 | 別所毅彦 | 巨人 |
渡辺久信 | 西武 | ||
7位 | 6 | 金田正一 | 巨人 |
山田久志 | 阪急 |
1位は巨人の堀内恒夫氏と西鉄の稲尾和久氏ですが、堀内氏は通算投球回140回1/3、通算登板27試合でも通算記録の1位です。稲尾氏は通算最多完投9回、シリーズ最多勝利4勝でも1位となっています。
また3位の工藤公康氏は、通算奪三振102、1試合最多奪三振13では1位の記録を保持しています。同じく3位の足立氏は、9勝のうちV9時代の巨人から8勝をあげる巨人キラーぶりでMVPこそありませんが、日本シリーズで負けたチームの最も活躍した選手に贈られる敢闘賞を3回受賞しています。
5位の渡辺久信氏は、工藤氏と同じく西武黄金期の右のエースとして日本シリーズに出場、1986年第6戦から1993年第3戦まで6連勝と通算の最多連勝を記録しています。
7位の400勝投手金田正一氏は国鉄時代は1回も日本シリーズ出場経験がなく、巨人時代に日本シリーズで6勝をあげました。同じく7位の山田久志氏は、通算最多被本塁打23本という不名誉な記録も保持していますが、日本シリーズでの登板機会が多かったことを物語っています。
まとめ
リーグ優勝あるいはクライマックスシリーズを通過した限られた選手にしか出場機会がないプロ野球の日本シリーズは、歴代の通算本塁打数、MVP獲得受賞数、通算勝利数も特定の選手に集中してしまいます。
裏を返せばその年の日本一に数多く貢献した選手が名を連ねることになります。これらの通算成績では
- 日本シリーズ出場回数の1位は巨人の王貞治氏の77試合、2位も同じく巨人の柴田勲氏の73試合、3位には西武の伊東勤氏の70試合が上位3位
- MVP受賞回数は4回で長嶋氏が最多、2位は2回で6選手が受賞していますが王氏は1回もなし
- シリーズの通算最多本塁打は王氏の29本、これに次いで長嶋氏の25本、秋山氏、清原氏が15本で3位タイ
- シリーズの通算最多勝利数は、1位に堀内氏、稲尾氏の11勝、3位タイに工藤氏、足立氏の9勝が続く
と主要な記録では、野手では王氏、長嶋氏のONコンビがやはり存在感を発揮しています。投手は堀内氏、稲尾氏が通算で最も勝利数を重ねていますが、工藤氏は複数球団で勝ち星をあげました。堀内氏と工藤氏はMVPも2回ずつ受賞しています。
日本シリーズに強い歴代最高のセパ、投手、野手のシリーズ男にはセリーグ打者なら長嶋氏、投手なら堀内氏、パリーグ打者なら秋山氏、清原氏、投手なら工藤氏が挙げられるのではないでしょうか?今年のシリーズ男はどの選手になるのでしょうか?
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