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2019高校野球日本代表U18スーパーラウンドで敗退、敗因の3つのポイント

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2019年高校野球日本代表U18のベースボールワールドカップは、残念ながら日本代表がスーパーラウンドで敗退してしまうという結果に終わりました。オープニングラウンドは、グループBから日本、アメリカ、台湾がそれぞれ4勝1敗で突破、グループAの韓国、豪州、カナダと決勝進出をかけスーパーラウンドを争いました。

スーパーラウンドでは別グループの上位3チームと対戦しますが、オープニングラウンドでのスーパーラウンド進出チーム同士の直接対決の勝敗を持ち越して最終的な勝敗で決勝進出を決めます。

つまりグループAは韓国が1勝1敗(カナダ〇、豪州●)、豪州が2勝0敗(韓国〇、カナダ〇)、カナダ0勝2敗(韓国●、豪州●)、グループBは日本が1勝1敗(アメリカ〇、台湾●)、アメリカ1勝1敗(日本●、台湾〇)、台湾1勝1敗(日本〇、アメリカ●)の状況から各グループとの3試合を行います。

日本は、スーパーラウンドでカナダに勝つものの韓国、豪州に敗退し通算2勝3敗で5位に終わりました。決勝進出はアメリカ、台湾、3位決定戦は韓国、豪州に決まっています。

アメリカに勝った日本がなぜ5位に終わってしまったのか、敗退の原因について3つのポイントを挙げてみました。大会を振り返ってみましょう。

オープニングラウンド台湾戦5回雨天コールドに泣く

オープニングラウンドの第4戦、それまでアメリカからの1勝を含む3勝0敗で臨んだ台湾戦でしたが、悪天候の中序盤は同点のまま5回の攻防を迎えます。5回の裏台湾は日本の失策をきっかけに2点を勝ち越し、この後6回の日本の攻撃を控えて雨天により試合が中断します。

1時間以上の中断の結果、大会規定により5回雨天コールドで試合が終了、台湾に敗戦しました。打線も1回に1点を先制するも2安打にとどまり2回以降は0行進とここまで好調だった打線が沈黙してしまいました。

大会規定では5回終了時点で試合が成立するため早めの仕掛けで序盤をリードできればよかったのですが、不運にも5回裏に2失点しそのまま終了となってしまいました。

あらかじめわかっていたルールですので仕方ないことですが、5回での試合成立はやや酷な気がします。過密日程なので試合成立を優先させるルールは理解できますが、2年に1回の国際大会ですのでできるだけ長く試合をさせてあげられないものでしょうか?

いずれにしても条件は相手も同じことですので勝った台湾が強かったということになりますが、スーパーラウンドへ勝敗を持ち越すうえでこの敗戦はかなり大きなダメージとなりました。

残り4イニングで試合をひっくり返せたかどうかは神のみぞ知るですし、勝負の世界で「たられば」は禁物ですがもし勝っていればと考えてしまいます。このためスーパーラウンドでは1敗もできない状況で試合をせざるをならなくなりました。

スーパーラウンドでは韓国にタイブレークでサヨナラ負け、いよいよ崖っぷちの豪州戦も完敗となりましたが、この台湾戦の敗戦が大きなポイントだったのは間違いありません。

悪天候での守備の乱れ

オープニングラウンド、スーパーラウンドを通じて高校日本代表U18は台湾、韓国、豪州と3敗を喫しますが、この三試合いずれも守備の乱れから決定的な失点をしてしまいました。

台湾戦では5回裏にエラー2つでランナーを出してから決勝2点タイムリーを浴びてしまい、直後に雨天コールドで敗戦しました。

挟殺プレーでの微妙な判定もありましたが、守備面に課題があることが浮き彫りとなった試合でもありました。

スーパーラウンドの韓国戦では2点リードしていた8回裏にタイムリーエラーで2点を献上、勝利まであと少しのところで追いつかれました。

タイブレークの延長10回でも表に2点を勝ち越すも、裏の守りでエラーをきっかけに失点、最後はサヨナラ犠飛で敗戦しました。

そして自力での決勝進出が消えた崖っぷちの豪州戦も、初回1点を先制した後の2回にエラーによる2失点を含む4失点を喫しそのまま反撃もなく敗戦しました。

今回の大会では投手陣が奮闘していたのでこれらのエラーが投手陣に与えたダメージも大きかったかもしれません。

悪天候によるグラウンド状態が不良だったことや球が滑りやすかったことも影響していたかとは思います。特に内野は全面的には人工芝で覆われていますが、ベース付近は土になっておりこの土の状態が守りにくかったという面もあるでしょう。

しかし相手も同じ条件でプレーしているので厳しいですが、グラウンドコンディションや悪天候がエラーの理由にはなりません。

これは夏の甲子園大会を通じて感じたことでもありますが、内野手の1塁への悪送球が非常に目立ちました。それに輪をかけてショートバウンドの送球を1塁手が後ろにそらすケースも多いように感じました。

今回の代表の内野陣は各高校でショートを守る選手を多数そろえました。投手も兼任できる選手もいたので選考理由の一つになったかもしれません。

通常、高校野球の強豪校でショートを守る選手は相当守備が上手くセンスにあふれる選手が多いので、他のポジションも無難にこなせるという考えもあるでしょう。

1塁は主に花咲徳栄の韮澤選手が守りましたが、韮澤選手もショートが本職です。しかし慣れない1塁は守りにくかったかもしれません。

ショートの選手が多かったことはあまり問題ではないと思いますが、短期間でなかなか調整できなかった点も原因としてあるのかもしれません。

木製バットの対応と短期間での調整

甲子園大会を含め日本の高校野球は金属バットが主流です。バットの違いは主に打撃面で大きく影響します。

日本以外のチームは木製バットを使用しています。アメリカなど金属バットを使用する国もありますが、反発係数の低いバットを使用しています。

このため日本以外の海外のチームは国際大会での木製バットの使用には違和感なく臨めます。しかし日本代表は多くの選手がつい1~2週間前まで甲子園で金属バットを使用していました。

金属バットと木製バットでは反発係数も異なり、木製バットでミートするにはより正確に球を捉えなければなりません。

さらに打撃面ではフライボール革命という考え方が浸透しています。フライを打ち上げる意識でスイングした方が角度、球速的に安打になりやすいという大リーグを中心に発生した考え方です。

金属バットの高校野球でもこういった考え方が増えてきているのでしょうか、甲子園を観ていてもフライアウトが多いようにも思えますが、今大会でも早いカウントから打ち上げるシーンが多く感じられました。

木製バットではより正確に捉えるべきですが、この金属バットでのフライボール革命の弊害もあると思います。フライボール革命はパワーのある大リーガーならまだしも、日本の高校球児が木製バットで対応するのは困難です。

反発力があり芯も広い金属バットなら可能でも、同じスイングでは木製バットで早い打球を打つことはできません。しかし体に染みついた金属バットでのスイングを木製バットに対応するのは至難の業です。

木製バットへの対応は打撃だけではなく守備にも影響を与えます。金属バットに比べ打球の勢いがないため守備位置もやや前で守り、打球によっては前進して捕球するケースも増えます。

一方日本の投手にとっては打球の飛距離、球速がない分抑えやすいとは思います。実際連打を浴びるケースも失点も多くはありませんでした。

打撃だけではなく守備や投球といった点でもバットの素材の違いはいろんな影響を与えます。

しかし甲子園が終わってからワールドカップ開催までの準備期間はあまりありません。まして日ごろから対応していないと1か月くらいの練習ではなかなか改善されないのではないでしょうか?

ただし日本では甲子園大会が主流である以上、バットの素材と対応期間、調整期間の問題は仕方ないでしょう。最終的には甲子園大会と国際大会どちらを優先するのかという議論にならざるをえないと思います。

そういった点では、高校野球の国際大会でももちろん勝ってほしいところですが、過去には甲子園の日程と重なるため参加していなかった時期もあることを考慮すれば国際大会は勝つことよりも経験を積む場としてとらえても良いような気がします。

関連記事:2020年センバツ高校野球から球数制限導入と飛ばないバットの検討へ!高校野球はどう変わる?

まとめ

高校野球の日本代表U18は残念ながらワールドカップベースボールではスーパーラウンドで敗退、5位となり今回の悲願の初優勝はなりませんでした。

日本のプロ野球が参加するWBCでは安定した強さも発揮し優勝もしています。しかし高校日本代表がなぜ今回勝てなかったのか3つのポイントをあげました。

  • オープニングラウンド台湾戦5回雨天コールドに泣く
  • 悪天候での守備の乱れ
  • 木製バットの対応と短期間での調整

3つ目のポイントは今後も課題とはなりますが、国際大会に何を求めるのか?ということも重要ではないでしょうか?

日韓戦では韓国の打者の頭部にデッドボールを与えた宮城投手が相手打者のリー選手に対して帽子を脱いで謝罪したところ、リー選手もヘルメットを脱いで一礼して応えたというシーンがありました。

外交問題で揺れる日韓関係ではありますが、スポーツの世界では政治の世界とは一線を画したこういったスポーツマンシップにあふれたシーンもあります。

もちろん勝敗にこだわることは重要ですが、まだ未成年である選手が参加する大会でこういう経験ができることも国際大会の素晴らしさです。今大会に参加したすべての選手を応援したいと思います。

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