1981年にAAA世界選手権として第1回の世界大会が開催され、U18世界選手権、U18ワールドカップと名称を変えて現在に至ります。今回は31回大会ですが、日本代表は過去10回しか参加しておらず、今回が11回目となります。
これはこの世界選手権の開催時期が夏の甲子園大会と重なっていたため長らく高校野球の日本代表として参加することができなかったためです。1982年に開催された第2回は東都大学野球連盟の1、2年選抜選手が参加し準優勝を果たしました。また1999年は沖縄県の選抜選手が参加しています。
同大会に甲子園出場選手を含めた日本代表として出場したのは、2004年の第21回大会が初です。この時は東北高校のダルビッシュ投手を擁して準優勝でしたが、2006年は不参加、2008年、2010年は前年のAAAアジア野球選手権大会で3位以下のため同大会への出場権が得られませんでした。
2008年、2010年はそれぞれ前年のAAA大会に参加したのが、2007年は社会人・専門学校生、2009年は予選敗退校の高校生による代表で、実質フルメンバーの高校日本代表として出場したのは過去7回、今回で8回目となります。
2012年以降は、WBSC(世界野球ソフトボール連盟、当時IBAF)が日本が参加できるよう9月開催に調整したため毎回参加することが可能となりました。しかし2012年以降甲子園出場選手を含む日本代表として参加してからも6回ありまSたが、優勝がありませんでした。
この一番の要因は、同大会のルールにより「木製バット」使用となっていることが挙げられます。ご存じのように高校野球は金属バットを使用するのが主流ですから、不慣れで飛ばない木製バットによる打力の低下は少なからず影響を与えるでしょう。
もっとも現在は普段の練習から木製バットで練習する選手も増えてきているのである程度は対応できつつあるようです。
もう一つは、やはり甲子園の大会が終了して休む間もなく代表選手が召集され、約1週間後には大会が開催されるため調整に困難することもあるでしょう。選手個々も予選敗退したチームと直前まで甲子園でプレイした選手とでは仕上がりも異なるでしょう。
また代表として壮行試合も行いますが、日程的に1~2試合がやっとの状況ですのでチームとしての戦い方を見極める時間もありません。春先の合宿などである程度は把握しているとは思いますが、ぶっつけ本番に近いので予選を戦いながら見極めていくことになります。
優勝するためにはやや条件が不利な側面もありますが、歴代の大会の成績はどうだったのでしょうか?
U18高校日本代表としてフルメンバーで参加したのは2004年が最初ですが、その後は2012年、2013年、2015年、2017年、2019年、2022年、2023年の過去8回です。2008年、2010年は前年のAAAアジア選手権にフルメンバーで参加していないため出場権を得られませんでした。
では過去の8回の成績はどうだったのでしょうか?
【過去8回の成績】
大会名 | 開催年 | 日本代表の成績 | 優勝国 | 開催国 |
AAA | 2004年 | 準優勝 | キューバ | 台湾 |
2012年 | 6位 | アメリカ | 韓国 | |
18U W杯 | 2013年 | 準優勝 | アメリカ | 台湾 |
U-18 W杯 | 2015年 | 準優勝 | アメリカ | 日本 |
2017年 | 3位 | アメリカ | カナダ | |
2019年 | 5位 | 台湾 | 韓国 | |
2022年 | 3位 | アメリカ | アメリカ | |
2023年 | 優勝 | 日本 | 台湾 |
投手陣はダルビッシュ有投手(東北)、涌井秀章投手(横浜)、福井優也投手(済美)、野手陣は石川雄洋内野手(横浜)、鵜久森淳志外野手(済美)など。
予選リーグは日本はアメリカ、台湾などを抑え1位通過。決勝トーナメントでは、雨天による順延の影響で予選各組上位による決勝となり、日本は決勝戦でキューバに4-0で敗戦し準優勝となりました。
投手陣は藤浪晋太郎投手(大阪桐蔭)、大谷翔平投手(花巻東)、濱田達郎投手(愛工大名電)、野手陣は田村龍弘捕手、北条史也内野手(いずれも光星学院)、森友哉捕手(大阪桐蔭)など。
予選リーグは日本はカナダに敗戦し2位通過。第2ラウンドでもアメリカ、カナダに敗戦の5位、順位決定戦では韓国に敗戦し最終順位は6位でした。
投手陣は高橋光成投手(前橋育英)、安楽智大投手(済美)、松井裕樹投手(桐光学園)、野手陣は森友哉捕手(大阪桐蔭)、上林誠知外野手(仙台育英)、園部聡内野手(聖光学院)など。
第1ラウンドでは日本は台湾、ベネズエラを抑え全勝の1位通過。第2ラウンドではアメリカに敗戦し2位で通過、決勝戦でもアメリカに2-3で敗退し準優勝となりました。
投手陣は小笠原慎之介投手(東海大相模)、佐藤世那投手(仙台育英)、高橋純平投手(県岐阜商)、野手陣はオコエ瑠偉外野手(関東一)、平沢大河内野手(仙台育英)、清宮幸太郎内野手(早稲田実)など。
ファーストラウンドでは日本はアメリカ、オーストラリアなどを抑え全勝の1位通過。スーパーラウンドでもアメリカ、韓国、キューバなど5チームを相手に全勝、しかしファイナルラウンドの決勝戦ではアメリカに1-2と惜敗し準優勝に終わりました。
投手陣は清水達也投手(花咲徳栄)、徳山壮磨投手(大阪桐蔭)、櫻井周斗投手(日大三)、野手陣は中村奨成捕手(広陵)、清宮幸太郎内野手(早稲田実)、安田尚憲内野手(履正社)、藤原恭大外野手(大阪桐蔭)、小園海斗内野手(報徳学園)など。
オープニングラウンドでは日本はアメリカに敗戦し、キューバには勝つものの2位通過。スーパーラウンドではアメリカ、韓国、カナダに敗戦し4位通過、3位決定戦でカナダに8-1で勝利し3位となりました。
投手陣は佐々木朗希投手(大船渡)、奥川恭伸投手(星稜)の2大エースを擁し、野手陣は石川昴弥内野手(東邦)、遠藤成内野手(東海大相模)、武岡龍世(八戸学院光星)など。
オープニングラウンドでアメリカに大勝するも台湾戦は5回雨天コールドで敗退しました。スーパーラウンドでも韓国にタイブレークでサヨナラ負け、結局5位に終わりました。
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投手陣は川原嗣貴投手(大阪桐蔭)、山田陽翔投手(近江)、吉村優聖歩投手(明徳義塾)らに野手陣は松尾汐恩捕手(大阪桐蔭)、内海優太内野手(広陵)、浅野翔吾外野手(高松商業)など。
オープニングラウンドはイタリア、メキシコ、パナマ、オーストラリアに4連勝するもチャイニーズタイペイに敗退し4勝1敗で2位通過。スーパーラウンドでは2勝3敗で4位通過し、3位決定戦で韓国に勝って3位となりました。
投手陣は前田悠伍投手(大阪桐蔭)高橋煌稀投手(仙台育英)、東恩納投手(沖縄尚学)らに野手陣は尾形樹人捕手(仙台育英)、緒方漣内野手(横浜)、丸田湊斗外野手(慶応義塾)など。
オープニングラウンドはグループBに振り分けられ、アメリカ、ベネズエラ、オランダ、パナマ、スペインと対戦、4連勝後にオランダに敗戦するもスーパーラウンドに進出します。
スーパーラウンドでは2勝1敗で台湾に敗戦するもそのまま2位通過の決勝戦で台湾にリベンジ、見事初優勝を果たしました。
ここまで過去の8大会を見てきましたが、2012年は大谷翔平投手をはじめ豪華なメンバーだったにもかかわらず6位だったというのが意外です。2012年以外の代表メンバーもそうそうたる顔ぶれです。
やはり最後にはアメリカが立ちふさがり、予選で勝っても決勝戦では敗退することもありました。アメリカは2012年から2017年まで4連覇を果たしています。
2019年はオープニングラウンドでアメリカ相手に16-7と大勝しましたが、台湾、韓国のアジア勢に接戦負けしました。
なお歴代の優勝回数はキューバが最多の11回、アメリカが10回、韓国が5回と続きます。フルメンバーの日本代表としての出場が実質8回とはいえ、優勝が1回しかないのは意外でもありますが、悔しいですね。
高校野球日本代表U18が出場する第31回U18ワールドカップが開催され、悲願の初優勝を果たしました。それまで日本代表の優勝がなかったのは意外ですが、その理由はこの世界大会が長らく夏の甲子園大会と重複していたため、フルメンバーでの高校日本代表が参加できなかったことが大きな理由です。
ほかの理由としても木製バットへの対応や甲子園大会が終了してすぐの大会開催による調整の難しさが挙げられるでしょう。歴代成績や試合結果を見ても過去7回のうち準優勝が3回と優勝する実力は十分にあるはずです。
2023年は初優勝を果たしましたが、基幹的に調整が厳しい時期での開催となりますが今後も優勝を続けてほしいですね!