都道府県別の甲子園の優勝回数は、愛知は春11回、夏8回の計19回と1位の大阪春11回、夏14回の計25回に次ぐ2位です。まずは春と夏の甲子園の優勝校を見てみましょう。
年 | 回 | 学校 |
1934年(昭和9年) | 第11回 | 東邦商業(現東邦) |
1936年(昭和11年) | 第13回 | 愛知商業 |
1938年(昭和13年) | 第15回 | 中京商業(現中京大中京) |
1939年(昭和14年) | 第16回 | 東邦商業 |
1941年(昭和16年) | 第18回 | 東邦商業 |
1956年(昭和31年) | 第28回 | 中京商業 |
1959年(昭和34年) | 第31回 | 中京商業 |
1966年(昭和41年) | 第38回 | 中京商業 |
1989年(平成元年) | 第61回 | 東邦 |
2005年(平成17年) | 第77回 | 愛工大名電 |
2019年(平成30年) | 第91回 | 東邦 |
春の選抜は、東邦5回、中京大中京4回、愛工大名電1回、愛知商業1回と4校が優勝を達成しています。11回は都道府県別のランキングでは大阪と並んで1位タイです。また学校別では東邦が単独1位、中京大中京は単独2位と愛知県勢が上位2位を占めています。
愛知県代表の初優勝は第11回1934年(昭和9年)の東邦商業が初ですが、2年後には愛知商業、さらに2年後には中京商業がそれぞれ初優勝を達成しています。さらに翌年には東邦商業が2回目の優勝、愛知県勢による連覇を果たしました。
戦前最後の大会となる第18回1941年(昭和16年)は東邦商業が3回目の優勝を達成します。ちなみに第10回1934年(昭和8年)は岐阜県の岐阜商業(現県立岐阜商)が優勝して以降、第12回、第17回も優勝、第14回に優勝した浪商以外東海勢が優勝を独占していた時期でした。
さらにこの第14回の浪商の決勝の相手が中京商業、第15回は中京商業と東邦商業、第16回は東邦商業と岐阜商、第18回は東邦商業と一宮中学とそれぞれの決勝戦に全て東海勢が絡んでいます。まさに東海を制するチームが全国を制すると言われた時代でした。
第18回大会を最後に戦争による中断がありましたが、戦後初の優勝は第28回1956年(昭和31年)の中京商が10大会ぶりに優勝します。これ以降第28回、第31回、第38回と中京商が優勝を達成、この時点で中京商業が通算優勝回数4回で単独トップとなります。
第38回1966年(昭和41年)の中京商の優勝を最後に愛知県勢は選抜優勝から23年間遠ざかります。この間には三重高校や浜松商業といった東海勢の優勝もありましたが、東海勢とりわけ愛知県勢の低迷が続きました。
第60回1988年(昭和63年)には東邦が戦後初の決勝まで躍進しますが、準優勝に終わります。しかしこの時の2年生バッテリー山田投手、原捕手が3年生になると翌年の第61回大会で戦後初、実に約半世紀となる48年ぶりの優勝を果たします。この時点で東邦は通算優勝回数4回と中京大中京と並んでトップタイに返り咲きます。
第77回2005年(平成17年)は愛工大名電が初優勝を成し遂げます。長らく東邦、中京大中京が愛知県勢として優勝を達成してきましたが、この両校以外による優勝は第13回の愛知商業以来のことでした。
この時の愛工大名電も前年の2004年には決勝まで進みましたが惜しくも準優勝、平成元年の東邦と同じく前年準優勝の雪辱を果たしての達成です。
そして第91回2019年(平成30年)には東邦が最多単独トップとなる5回目の優勝を果たします。30年ぶりの優勝でしたが、平成最初の優勝と最後の優勝を成し遂げました。
第93回大会2021年(令和3年)は中京大中京がベスト4に進出、愛知県勢の連続優勝まで目前に迫りましたが、大分県明豊高校に敗戦、甲子園での大分県勢との県勢対決で初の黒星となりました。
年 | 回 | 学校 |
1917年(大正6年) | 第3回 | 愛知一中(現旭丘) |
1931年(昭和6年) | 第17回 | 中京商業(現中京大中京) |
1932年(昭和7年) | 第18回 | 中京商業 |
1933年(昭和8年) | 第19回 | 中京商業 |
1937年(昭和12年) | 第23回 | 中京商業 |
1954年(昭和29年) | 第36回 | 中京商業 |
1966年(昭和41年) | 第48回 | 中京商業 |
2009年(平成21年) | 第91回 | 中京大中京 |
夏の選手権は、中京大中京7回、旭丘1回の計8回と2校が達成しています。8回は都道府県別のランキングでは1位大阪の14回に次いで2位です。しかし学校別では中京大中京の7回は1位の最多優勝校、2位には広島商業6回、3位は松山商業、大阪桐蔭の5回が続きます。
愛知県代表の初優勝は第3回1917年(大正6年)と早く、県内トップの公立進学校愛知一中(現旭丘)が達成しました。しかし愛知一中は敗者復活戦からの優勝だったため、この回を最後に敗者復活戦はなくなりました。
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その14年後、第17回1931年(昭和6年)に中京商業(現中京大中京)が初出場初優勝を達成します。そしてこの大会から伝説の甲子園3連覇を成し遂げます。3連覇を達成した第19回の後は、第23回1937年(昭和12年)に4大会ぶりに出場してまたもや優勝します。なおこの翌年春の第15回選抜大会でも優勝し、この時点で史上2校目の夏春連覇も達成します。
結局中京商業が第17回に初出場して以来、第23回まで計4回の出場で4回優勝し、夏の選手権では甲子園無敗、第35回1953年(昭和28年)に12大会ぶり5回目の出場で準決勝に負けるまで前人未到の22連勝を成し遂げました。
さらに翌年第36回1954年(昭和29年)には5回目の優勝を果たします。6回出場のうち5回優勝、この間27勝1敗という驚異の勝率を残しました。これ以降は2年連続初戦敗退も経験するもののベスト4、ベスト8を2回ずつと勝ち星を重ねました。
第48回1966年には12大会ぶり6回目の優勝、この時点で史上2校目の春夏連覇の偉業を達成しました。中京商業は、夏の3連覇、夏春連覇に続いて春夏連覇と連覇記録も次々と打ち立てました。
この春夏連覇の翌年に中京商業は中京高校と校名を変え、これ以降準決勝、準々決勝まで進むことはありましたが、夏の選手権は第91回2009年まで長らく優勝から遠ざかります。
第91回は43年ぶりの優勝、史上最多単独トップとなる7回目の優勝を果たしました。校名は中京大中京に変わっての初の優勝でしたが、中京高校としては結局1度も優勝を果たせませんでした。
夏の全国制覇は中京大中京と旭丘しか達成しておらず、春の最多の優勝回数を誇る東邦は1977年の準優勝が最高成績と夏は優勝がありません。中京大中京の強さぶりがひと際目立ちますね。
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順位 | 学校名 | 通算(出場数) | 春(出場数) | 夏(出場数) |
1 | 中京大中京 | 136(60) | 58(32) | 78(28) |
2 | 東邦 | 75(48) | 56(30) | 19(17) |
3 | 愛工大名電 | 21(21) | 16(9) | 5(12) |
4 | 享栄 | 18(19) | 12(11) | 6(8) |
5 | 愛知商業 | 17(18) | 10(10) | 7(8) |
2021年第93回選抜大会までの愛知県代表校の上位5校までの勝利数ランキングです。2020年第92回選抜大会は中止となりましたが、すでに出場校として選抜されていた中京大中京は出場回数1回が加算されています。
中京大中京の通算136勝は2位の龍谷大平安の103勝を大きく上回り断トツの全国1位です。東邦の75勝はこれら上位2校のほか3位のPL学園96勝、4位県岐阜商87勝、5位松山商80勝、6位天理78勝に次ぐ7位です。
なお全国ベスト10に同一都道府県から2校ランキングされているのは愛知県のみです。この2校に続くのは私学4強の愛工大名電、享栄と上位4位は私学4強が占めました。これに続くのが戦前に活躍した愛知商です。上位5校のうち優勝経験がないのは享栄のみとなりました。
なお春夏の愛知県勢通算勝利数は、1位の大阪381勝、2位兵庫の312勝、3位東京の308勝に次ぐ4位304勝です。東京は夏の選手権は東西から2校ずつ、春の選抜も1校は選出されるため東京を追い抜くのはかなり厳しいですが、5位和歌山が226勝ですので当面は4位をキープすることになりそうです。
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戦前から強豪校名門校が甲子園で実績を上げてきた愛知代表の歴代の優勝校、優勝回数、勝利数を見てきました。
選抜の優勝回数、通算勝利数は中京大中京の4回、58勝は1位で、2位東邦の5回、56勝を2021年第93回選抜大会ですぐに追い抜きました。優勝すれば優勝回数は5回で並び勝利数は60勝に到達するところでした。
甲子園の長い歴史の中で大阪とはライバル関係でもあった愛知県勢が、大阪の優勝回数、勝利数の差を縮めることができるのか2021年選抜大会に注目していましたが、大阪桐蔭が智辯学園に初戦敗退、中京大中京が3勝をあげてわずかに差を縮めました。
中止になった2020年の夏の選手権大会を挟んで2021年第102回選手権大会ではどこの高校が愛知代表になるのかも見ものですね。
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