正式名称は「日本プロフェッショナル野球協約」と呼ばれるもので、日本のプロ野球に関する様々なルールを定めたもので、第1章の総則から第24章の日本シリーズ出場球団決定試合まであります。
なおドラフト会議(第15章新人選手の採用)、フリーエージェント(第22章)については協約に章立てはあるものの個別の規約として別に定められています。
それではどんな制度が定められているのか見てみましょう!
協約の第6章に参加資格が定められています。
などが決められています。ざっくり行ってしまえば外国人の出資は49%未満の会社で資本金1億円以上、専用球場があって、オーナー会議と合議議決機関である実行委員会の承認を得られれば参加することができます。
現在は12球団で日本のプロ野球は構成されていますから、16球団構想もありますが、現時点で新規球団が参加して13球団以上になることは考えにくいでしょう。球団の身売りがある場合にこの条項が適用されることになります。
さらなるハードルが保証金をはじめとした加入に際して発生する加入費用です。内容は
の計30億円が必要となります。保証料に関しては10年以上球団を保有して入れば最終的に返還されますが、10年未満で脱退した場合は全額返還されません。なお野球振興協力金と加入手数料は返還されずに機構の収入となります。
最終的にオーナー会議の承認を得ることが最大のハードルになるので、親会社が安定した社会的に信頼されている企業が対象になると思います。日本で12球団しかありませんから新規参入のハードルは高いのは仕方ないですね。
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プロ野球のフランチャイズって言葉を耳にする機会もあると思いますが、フランチャイズって一体どういう意味でしょう。こちらも協約に定めがあります。第7章にある地域権というものです。
それぞれの球団が地域権により保護される地域と専用球場は以下の通りです。
球団 | 専用球場 | 保護地域 |
読売ジャイアンツ | 東京ドーム | 東京都 |
東京ヤクルトスワローズ | 神宮球場 | 東京都 |
横浜DeNAベイスターズ | 横浜スタジアム | 神奈川県 |
中日ドラゴンズ | バンテリンドームナゴヤ | 愛知県 |
阪神タイガース | 阪神甲子園球場 | 兵庫県 |
広島東洋カープ | MAZDAzoom-zoomスタジアム広島 | 広島県 |
北海道日本ハムファイターズ | エスコンフィールドHOKKAIDO | 北海道 |
東北楽天ゴールデンイーグルス | 楽天モバイルパーク宮城 | 宮城県 |
埼玉西武ライオンズ | ベルーナドーム | 埼玉県 |
千葉ロッテマリーンズ | ZOZOマリンスタジアム | 千葉県 |
オリックス・バファローズ | 京セラドーム大阪 | 大阪府 |
福岡ソフトバンクホークス | みずほPayPayドーム福岡 | 福岡県 |
とこのように各球団には保護地域が決められていて、この保護地域において他球団が主催試合やイベントを行うことは地域権を有する球団の同意なしにはできません。タイガースが京セラドーム大阪、オリックスがほっともっとフィールド神戸で試合をする際には事前に同意を得て行っていることになります。
放映権についても定められており、ホームゲームの放映権はすべてフランチャイズ球団の収入となり、どの試合を放映するのか自由に決定できることになっています。
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フランチャイズという保護地域を定めることで地元のファンに愛される球団として球団経営が成り立っていると言えるでしょう。
球団が支配下登録できる選手数、試合に出場できる選手数、いわゆる助っ人と呼ばれる外国人選手の人数にも規定があり、第11章に選手数の制限として定められています。
支配下選手登録は70名までで球団の合併や解散があった場合は80名まで支配下登録できます。育成選手は支配下選手に含まれません。出場選手登録とは1軍の試合に出場できる人数のことで2019年から29名に1名増となりました。
このうちベンチ入りできるメンバーは25名までと決められています。外国人選手の1軍登録人数は4名以内ですが、投手4人あるいは野手4人と登録することは認められません。
ただし2020年は新型コロナ感染拡大防止のため29名から31名、ベンチ入りも25名から26名にそれぞれ増員されました。外国人選手についても4名から5名に増員されましたが、ベンチ入りは4名まで、また投手、野手の内訳はどちらかを4人、もう一方を1人とした場合は以降の変更は認められません。
育成選手の人数については定めがなく2020年のドラフト会議でもジャイアンツが12名、ソフトバンクが8名指名して話題となりました。資金力のあるチームは自前で育成するという選択もできます。この2球団の育成選手は活躍している選手も多いのもうなずけます。
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選手に支払われる年俸は協約上では参稼報酬と定義されています。この参稼報酬についても第12章に参稼報酬の限界という規定があります。
といった制約があります。支配下選手は最低でも年俸440万円を保証、1軍出場登録選手は年俸1,600万円との差額分の150分の1を登録日数1日につき追加参稼報酬として受け取ることができます。150日以上1軍登録されれば最低1,600万円が保証されることになります。
さらに契約更改でよく話題になる減額制限は1億円以上の選手は40%、1億円未満の選手は25%までしか減額できませんが、選手との同意があればこれを超えて契約することはできます。ただし同意しなければ自由契約となり他球団との契約を模索することとなります。
減額制限が設けられても結局それを超える金額を提示されれば受け入れるしかないという面もありますが、他球団から評価されれば減俸は仕方なくてもそこまで下げられないような契約も可能でしょう。
例年は143試合行われるプロ野球レギュラーシーズンですが、2020年には新型コロナ感染拡大により開幕が3か月延期され、年間120試合に短縮されました。この試合数についても協約第17章に試合に関する規定があります。
実は試合数に関する規定はこの1文のみです。この条文によりホームとビジターが同数の60試合となることから最低試合数は120試合が規定としてあるのみです。このため2020年のコロナ禍による試合数は最低試合数120試合で開催されました。
毎年の試合数はセリーグ、パリーグでそれぞれ試合数を決めています。試合数を大幅に増やす場合は体調面での負担が増える選手会と協議することもありますが、ここ数年は交流戦18試合、リーグ戦125試合の143試合が採用されています。
シーズン中ならば選手は毎日の試合を中心に、本拠地球場で練習をしますが、シーズン終了後やシーズンイン前には秋季キャンプ、あるいは春季キャンプといった集中的な練習を行います。
この間の練習は球団所有の球場で監督、コーチの指導の下厳しい練習が行われますが、年中球団主導の練習ができるわけではありません。協約に定められた第7章に173条ポスト・シーズンの規定があるためです。
とあります。12~1月の2か月はポストシーズンということで選手は球団の指示に従って練習や試合をすることができないと決められています。ただし球団の命令に基づかない自由意志による基礎練習はできるので、いわゆるこの期間の練習のことを自主トレと呼んでいます。
プロ野球選手だから全ての練習が自主的、自由意志に基づいているのでは?と思いますが、この期間に自由意志で行うから自主トレと特別な呼び方になっています。球団が関与できない期間があるというのは意外ですね。
この期間が終わる翌日2月1日から12球団一斉に春季キャンプに入るのもこの規定があるからと言えます。
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減俸の限度額を指す減額制限やフランチャイズ、試合数、支配下登録、自主トレといったプロ野球の運営に関するルールは「日本プロフェッショナル野球協約」(野球協約)に定められています。
といった点について、協約にどのような決まりがあるのか紹介しました。日ごろ耳にするプロ野球に関する用語もこのように協約に基づいたものであることを知れば、プロ野球観戦もさらに楽しくなるのではないでしょうか?