都道府県別の優勝回数では、2023年第105回選手権大会終了時点で春夏合計15回、大阪、愛知に次ぐ3位となっています。春の選抜7回、夏の選手権8回をほこりますが、中でも平成の優勝回数6回はトップ大阪10回に次いで東京と並ぶ2位タイです。
令和に入って間もないですが、早々と優勝回数2回を達成、堂々の全国トップです。それでは春と夏の歴代優勝校を見ていきましょう。
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年 | 回 | 学校 |
1961年(昭和36年) | 第33回 | 法政二 |
1973年(昭和48年) | 第45回 | 横浜 |
1998年(平成10年) | 第70回 | 横浜 |
2000年(平成12年) | 第72回 | 東海大相模 |
2006年(平成18年) | 第78回 | 横浜 |
2011年(平成23年) | 第83回 | 東海大相模 |
2021年(令和3年) | 第93回 | 東海大相模 |
神奈川県勢の選抜初優勝は第33回の1961年(昭和36年)と意外と遅く、この時は後に巨人軍で活躍する柴田勲選手が投打に活躍した法政二高が初優勝を果たしました。
第45回1973年(昭和48年)には若かりし頃の名将渡辺元智監督率いる横浜高校がエース永川英植を擁して初優勝、就任5年目での偉業でした。しかしこの優勝から選抜では25年間優勝できず、1998年あの松坂大輔投手を擁して2回目の優勝を達成します。
なお第70回1998年(平成10年)はベスト4に同じ神奈川県の日大藤沢もベスト4に残りました。この時のベスト4は大阪勢のPL学園、関大一と神奈川勢の横浜、日大藤沢で占めました。決勝は横浜対関大一となりましたが、大阪勢、神奈川勢の強さが際立った大会でもありました。
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その2年後には東海大相模が初優勝、東海大相模はそれまで1975年、1992年と準優勝は2回ありましたが、3度目の正直で初優勝しました。
第78回2006年(平成18年)、第83回2011年(平成23年)はそれぞれ横浜、東海大相模が優勝しましたが、両大会ともこの2校がアベック出場しています。2006年は東海大相模が2回戦敗退、2011年は横浜が1回戦敗退しています。
第83回2011年(平成23年)に東海大相模が2回目の優勝、第92回2020年(令和2年)は中止となりましたが、2年ぶり開催の第93回2021年(令和3年)の大会で東海大相模は横浜高校と並ぶ神奈川県勢最多タイとなる選抜3回目の優勝を果たしました。
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年 | 回 | 学校 |
1949年(昭和24年) | 第31回 | 湘南 |
1960年(昭和35年) | 第42回 | 法政二 |
1970年(昭和45年) | 第52回 | 東海大相模 |
1971年(昭和46年) | 第53回 | 桐蔭学園 |
1980年(昭和55年) | 第62回 | 横浜 |
1998年(平成10年) | 第80回 | 横浜 |
2015年(平成27年) | 第97回 | 東海大相模 |
2023年(令和5年) | 第105回 | 慶應義塾 |
夏の甲子園制覇も神奈川県勢は大会開始30年以上経った第31回、1949年(昭和24年)と遅く県立湘南高校が初出場初優勝を飾りました。意外にも神奈川県勢の初優勝は県内有数の進学校が果たしたものでした。
第42回1960年(昭和35年)の法政二は、2年生柴田勲投手の活躍で夏初優勝、先述したように翌年の選抜でも初優勝し夏春連覇を達成しています。この頃の法政二高は、大阪の怪童尾崎行雄投手擁する浪商を倒しての夏春連覇でした。
翌年夏には3年生柴田投手の法政二高が2年生尾崎投手の浪商に敗れ、夏春夏の3連覇を絶たれましたが、法政二高と浪商の対戦は名勝負として今も語り継がれています。
第52回1970年(昭和45年)は東海大相模が初優勝、前年の第51回に初出場を果たした東海大相模が2回目の出場で偉業を達成しました。この時の監督が巨人の原辰徳現監督の父、名将原貢監督でした。
さらにその翌年には神奈川勢の桐蔭学園が初出場初優勝を果たしました。同一都道府県の別の高校による連覇は、1919年(大正8年)神戸一中、1920年(大正9年)関西学院の兵庫県勢以来50年ぶりの快挙でした。
第62回1980年(昭和55年)は横浜高校が初優勝、この大会は横浜のエース愛甲猛投手と1年生荒木大輔投手擁する早稲田実業との東京神奈川決戦でした。甲子園の人気投手の対決でもあり、荒木投手は大会新記録の45イニング1/3無失点がかかっていましたが、横浜は初回に先制してこの記録を阻止しました。
第80回1998年(平成10年)は横浜高校が松坂投手世代の春夏連覇で2回目の優勝、史上5校目の偉業を達成します。1980年生まれの松坂投手の大輔名のきっかけとなった荒木大輔投手との決勝以来の優勝を成し遂げました。
第97回2015年(平成27年)は東海大相模がエース左腕小笠原慎之介投手の投打にわたる活躍で2回目の優勝を果たしました。仙台育英との決勝戦では6-6同点の9回表に小笠原選手の本塁打で勝ち越し、10対6で優勝を決めました。
そして第105回2023年(令和5年)は慶應義塾が神奈川県勢としては初、同校としては107年ぶり、東京代表時代以来2回目の優勝を成し遂げました。大会前から優勝候補の一角に挙げられていましたが、3回戦では同じく優勝候補の広陵を10回タイブレークで降し、決勝戦は夏の連覇を狙う優勝候補筆頭、さらに2015夏年の神奈川県勢の決勝の相手仙台育英を8-2で圧勝、優勝まで一気に駆け上がりました。
神奈川県勢の春夏合わせての優勝は計6校が達成しています。ともに春夏計5回の横浜、東海大相模はいずれもベスト10にはいります。この2校以外にも優勝している高校が4校あるというのは神奈川県のレベルの高さを表しているといえるでしょう。
なお慶應義塾は大正5年の第2回大会で前身の慶應普通部として優勝していますが、この時は東京代表としての出場でしたので神奈川県勢としてカウントされていません。今後の慶應義塾の優勝で神奈川県はさらに激戦区となるのではないでしょうか?
順位 | 学校名 | 通算(出場数) | 春(出場数) | 夏(出場数) |
1 | 横浜 | 60(36) | 23(16) | 37(20) |
2 | 東海大相模 | 47(23) | 28(12) | 19(11) |
3 | 横浜商 | 25(16) | 10(9) | 15(7) |
4 | 法政二 | 19(11) | 5(2) | 14(9) |
5 | 桐蔭学園 | 16(12) | 4(6) | 12(6) |
2023年第105回選手権終了時点での神奈川県代表校の上位5校までの勝利数ランキングです。上位5校のうち横浜商業は唯一優勝経験がありませんが、1983年にはエース三浦投手を擁して春夏連続準優勝に輝いています。春は夏春連覇を達成した池田高校、夏は1年生KKコンビのPL学園に敗れています。
横浜商は昭和の戦後から平成初頭にかけてユニフォームの「Y」のマークに象徴されるように「Y校」の愛称で甲子園でもお馴染みでした。1997年を最後に甲子園から遠ざかっていますが、甲子園の成績は立派な戦績をおさめて存在感を示しています。
上位5校をみても横浜、東海大相模の全国での成績は突出しています。甲子園に出場が決まれば毎回優勝候補に挙げられるほど実力、人気ともに全国区です。
2020年までは選抜の勝利数では23勝ずつで並んでいた両校ですが、2021年春の選抜で優勝した東海大相模が選抜勝利数で神奈川県内単独首位の28勝となりました。しかし夏の勝利数では横浜が断トツの37勝で春夏通算勝利数でも東海大相模を13勝引き離しての1位です。
夏は10周年ごとの記念大会では北神奈川の東海大相模と南神奈川の横浜で両校出場する可能性があります。選抜なら両校揃っての出場も十分にあり得ます。この両校が選抜あるいは夏の記念大会の決勝戦で戦う日が来るかもしれないですね。
なお2023年第15回選手権で優勝した慶應義塾ですが、先にも述べましたように1951年に神奈川県内に移転するまでは東京代表として選手権大会に出場していましたので、神奈川県代表としての勝利数は春4勝、夏10勝の通算14勝で6位となっています。東京代表時代は春1勝、夏8勝していますので、学校としては通算23勝あげています。
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高校野球甲子園大会において全国トップクラスの参加校数から地方予選を勝ち抜かなければならない激戦区の神奈川県。歴代の神奈川出場校の戦績も目を見張るもので、数々の名勝負も演じてきました。
そんな神奈川県代表校の慶應義塾が2023年第105回選手権大会で優勝、神奈川県勢が優勝回数を更新、ここまでの甲子園での過去の成績をまとめてみました。
横浜高校、東海大相模のような全国トップクラスの強豪校にけん引されて全国3位の優勝回数を誇る神奈川県。2023年第105回選手権大会では慶應義塾が優勝して神奈川県のレベルの高さを全国に示しました。
かつては法政二の柴田投手対浪商尾崎投手、横浜愛甲投手対早実荒木投手、横浜商業三浦投手対池田高校やKKコンビのPL学園、さらに横浜高校松坂投手対PL学園の17回の死闘、明徳との大逆転劇、決勝のノーヒットノーランなど数々の名勝負、エピソードを残してきた神奈川県代表校の今後の活躍に期待したいですね。