日本シリーズの正式名称は「日本選手権シリーズ」で、毎年プロ野球の日本一の球団を決める短期決戦のことを指します。2リーグ分裂後の1950年にセリーグとパリーグの優勝球団で対戦するようになったのが始まりです。
7戦4勝制でどちらかのチームが先に4勝した時点で日本一が決定、以降の試合は行われません。引き分けの試合があった場合は、第8戦が行われ以降どちらかが4勝するまで試合を行います。
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2024年シーズン終了時点での1950年以降の歴代優勝回数は以下の通りです。
順位 | 優勝回数 | 出場回数 | 球団(前身球団含む) |
1位 | 22回 | 36回 | 読売ジャイアンツ |
2位 | 13回 | 21回 | 西武ラインズ(西鉄時代含む) |
3位 | 11回 | 21回 | 福岡ソフトバンクホークス(南海、ダイエー時代含む) |
4位 | 6回 | 9回 | 東京ヤクルトスワローズ |
5位 | 5回 | 15回 | オリックスバッファローズ(阪急時代含む) |
6位 | 4回 | 6回 | 千葉ロッテマリーンズ(毎日、大毎時代含む) |
7位タイ | 3回 | 8回 | 広島東洋カープ |
3回 | 7回 | 北海道日本ハムファイターズ(東映時代含む) | |
3回 | 4回 | 横浜DeNAベイスターズ(大洋時代含む) | |
10位タイ | 2回 | 10回 | 中日ドラゴンズ |
2回 | 7回 | 阪神タイガース | |
12位 | 1回 | 1回 | 東北楽天ゴールデンイーグルス |
松竹は大洋(現横浜)、近鉄はオリックスに吸収合併されたため出場は松竹1回、近鉄4回(両球団とも日本一はなし)がありますが、既に現存しない球団としてこの表には含まれません。
2024年までの通算優勝回数はセリーグ38回、パリーグ36回とわずかながらセリーグが上回りましたが、最多回数のジャイアンツ22回が大きく、V9時代の1965年から1973年の9年連続日本一など断トツの優勝回数を誇ります。
2位のライオンズは13回ですが、やはり1982年から1992年までの11年間で8回の日本一という黄金時代が大きく貢献しています。
3位のソフトバンクも11回で西武に肉薄していますが、ソフトバンクは2011年から2020年までの10年間で7回と集中して日本一となっています。
現存の球団で日本一がない球団はありませんが、日本一から一番遠ざかっているのが1984年に日本一となった広島で以降38年間2023年まで日本一がありません。
広島は2016年からリーグ3連覇を達成し、2016年、2018年は日本シリーズにも出場しましたが、日本ハム、ソフトバンクにそれぞれ敗れました。
さらに出場が一番遠ざかっているのは西武ライオンズで2008年に出場(この時は日本一)以降15年間2023年まで出場していません。西武は2018年、2019年にリーグ優勝を果たしましたが、いずれもリーグ2位のソフトバンクにクライマックスシリーズで敗戦しました。
クライマックスシリーズが導入されて以降、リーグ優勝しなくても短期決戦のクライマックスシリーズを勝ち抜けば日本シリーズに出場できるという点では、どこの球団も満遍なく日本シリーズに出場していると言えそうです。
2004年にパリーグでプレーオフ制度が導入され、2007年からはクライマックスシリーズへと名称変更され現在に至ります。この2004年以降に導入された制度ではリーグ3位チームと2位チームが対戦し、勝ち抜いたチームが日本シリーズ進出をかけリーグ優勝チームと対戦します。
それまではリーグ優勝チーム同士で行われた日本シリーズですが、この制度によりリーグ3位チームが日本一になることも起こりうるようになりました。リーグ優勝チーム以外のチームが日本シリーズに進出することを「下克上」と呼んでいます。
それでは過去の下克上が何回あったのか見ていきましょう。
セリーグの下克上は過去4回あります。
この年はリーグ優勝が巨人、2位が中日、3位が阪神でした。クライマックスシリーズで巨人を破った2位中日が日本シリーズへ進出。日本シリーズで日本ハムを退け日本一となりました。
この年はリーグ優勝が巨人、2位が阪神、3位が広島でした。クライマックスシリーズで巨人を破った2位阪神が日本シリーズへ進出。日本シリーズではソフトバンクに敗戦し、日本一とはなりませんでした。
この年はリーグ優勝が広島、2位が阪神、3位がDeNAでした。クライマックスシリーズで3位DeNAが2位阪神を撃破、続いてリーグ優勝の広島も破り日本シリーズへ進出。日本シリーズではソフトバンクに敗戦し、日本一とはなりませんでした。
この年はリーグ優勝が巨人、2位が阪神、3位がDeNAとなりました。クライマックスシリーズで3位DeNAが2位阪神を撃破、続いてリーグ優勝の巨人も破り日本シリーズへ進出。日本シリーズではソフトバンクに開幕2連敗を喫するもその後4連勝でソフトバンクを退け日本一を達成、2017年のリベンジを果たすこととなりました。
リーグ3位からの下剋上は2010年のロッテ以来史上2回目、セリーグとしては初の快挙となりました。
パリーグの下克上は、クライマックスシリーズの前身のプレーオフ制度で2回、クライマックスシリーズで1回あります。プレーオフ制度ではプレーオフ制度の勝者がリーグ1位という扱いで、リーグ戦終了後時点の1位から3位チームがプレーオフでリーグ順位を決定しています。
この年のリーグ終了時点の順位は、1位ダイエー、2位西武、3位日本ハムでした。2位の西武がダイエーを破りリーグ覇者として日本シリーズに進出。日本シリーズでは中日を退け日本一となりました。
この年のリーグ終了時点の順位は、1位ソフトバンク、2位ロッテ、3位西武でした。2位のロッテがソフトバンクを破りリーグ覇者として日本シリーズに進出。日本シリーズでは阪神を退け日本一となりました。
この年はリーグ優勝がソフトバンク、2位西武、3位ロッテでした。クライマックスシリーズで3位ロッテが2位西武、1位ソフトバンクを撃破し日本シリーズへ進出。日本シリーズでも中日を破り日本一を達成、リーグ3位からの史上最大の下克上となりました。
この年は西武がリーグ優勝、2位ソフトバンク、3位日本ハムでした。クライマックスシリーズでソフトバンクは3位日ハムを2勝1敗、続くファイナルステージで西武を4勝2敗で撃破し日本シリーズに出場しました。日本シリーズでもセリーグ覇者広島を4勝1敗1分で下して2年連続日本一となりました。
この年も優勝は西武、2位がソフトバンク、3位楽天でした。ソフトバンクは楽天に2勝1敗、西武に4連勝で2年連続の下克上を達成。さらに日本シリーズでもジャイアンツに4連勝で3年連続日本一を勝ち取りました。
西武はリーグ2連覇しながらソフトバンクに日本シリーズ出場をさらわれ、ソフトバンクは2年連続の下克上を果たします。さらに楽天との初戦に負けて以降2連勝、対西武4連勝、対巨人4連勝と破竹の10連勝で日本一まで駆け上がりました。また2010年代の日本シリーズでセリーグ6球団すべてに勝利しています。
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このように下克上とよばれるリーグ下位チームが日本シリーズに進出したのは2024年シーズン終了時点で両リーグで過去9回ありました。しかもパリーグの下克上チームは過去5回とも日本シリーズでセリーグ覇者を退けて日本一を勝ち取っています。
セリーグは4回のうち下克上チームが日本一になったのは2回で2007年の中日、2024年の横浜DeNAが達成しています。阪神、中日は老舗球団でありながら日本一が多くありませんが、パリーグの下克上チームに日本一を献上しているの中日2回、阪神が1回あります(広島、巨人も各1回)。
2019年にソフトバンクが下剋上を果たして以降は、セパ両リーグともにリーグ優勝した球団がそのまま日本シリーズに出場していましたが、2024年は横浜DeNAが5年ぶりに下剋上で日本シリーズ進出、日本一を果たしました。
やっぱりリーグ優勝したチームで日本一を競ってほしいという思いもある一方、下克上による日本一も制度としてある以上、たまには悪くないかなという気もしますね。
2024年シーズン終了時点での日本シリーズ勝利回数、日本一の回数ランキングをまとめました。またリーグ優勝していない球団が日本シリーズに出場する下剋上についても調べてみました。
2024年は横浜DeNAがリーグ3位からの下剋上で日本シリーズも4勝2敗でパリーグ優勝チームのソフトバンクを退け、日本一を達成しました。
2019年のソフトバンクの下剋上以来、5年ぶりの下剋上制覇、リーグ3位からは2010年ロッテ以来史上2回目の最大の下剋上で盛り上がりました。
たまの下剋上制覇も盛り上がりますが、リーグ優勝チームにもクライマックスシリーズを勝ち抜いてほしいですね。