例年、高校野球の甲子園出場校が決まると大手スポーツ紙が出場校の評価や優勝候補予想、展望を紙面化しています。今回も大手スポーツ紙が恒例のABC評価をしていますが、そもそも大手スポーツ紙とは?各紙の特徴について紹介します!
一般的に大手スポーツ紙、あるいはスポーツ6紙という呼ばれ方もしますが、どんなスポーツ紙があって各紙どんな特徴があるのでしょうか?
スポーツ紙 | 部数 | 通称 | 特徴 |
スポーツニッポン | 約170万部 | スポニチ | 毎日新聞系、春の選抜大会の主催社系列、東京、大阪を中心に全国で発行 |
日刊スポーツ | 約160万部 | ニッカン | 朝日新聞系、夏の選手権大会の主催社系列、東京、大阪を中心に全国で発行 |
スポーツ報知 | 約140万部 | 報知 | 読売新聞系、系列の巨人の報道がメイン、東京、大阪を中心に全国で発行 |
サンケイスポーツ | 約120万部 | サンスポ | 産経新聞系、資本関係にあるヤクルトの記事が充実、東京、大阪を中心に全国で発行 |
デイリースポーツ | 約60万部 | デイリー | 神戸新聞系、地元阪神の報道がメイン、関西地区を中心に関東、西日本でも発行 |
中日スポーツ 東京中日スポーツ | 約30万部 | 中スポ トーチュウ | 中日新聞系、系列の中日の報道がメイン、中部地区を中心にトーチュウは関東で発行 |
部数はおおよその数字ですが、部数規模で100万部を超えるのが全国紙と呼ばれるスポニチ、ニッカン、報知、サンスポの4紙、100万部未満のデイリー、中スポは系列の日刊紙同様、ブロック紙と位置づけられます。
基本的には、都内で販売されている上記6紙がスポーツ6紙として呼ばれますが、これらの特徴から発行エリア内でも発行部数の多い地区の高校への評価はやや高めになる傾向はあります。
第106回全国高校野球選手権大会の各都道府県代表校が決定、デイリーを除くスポーツ5紙が各校のABC評価を掲載しました。が、その評価はどのような結果となっているでしょうか?
都道府県 | 学校 | スポニチ | ニッカン | 報知 | サンスポ | デイリー | 東京中日 |
北北海道 | 白樺学園 | C | C | C | C | C | |
南北海道 | 札幌日大 | B | C | B | C | B | |
青森 | 青森山田 | A | A | B | B | B | |
岩手 | 花巻東 | B | B | C | B | B | |
秋田 | 金足農業 | B | C | C | B | B | |
山形 | 鶴岡東 | B | B | C | B | B | |
宮城 | 聖和学園 | B | C | C | C | B | |
福島 | 聖光学院 | B | B | C | B | B | |
茨城 | 霞ヶ浦 | C | B | C | C | B | |
栃木 | 石橋 | C | C | C | C | C | |
群馬 | 健大高崎 | S | A | A | A | A | |
埼玉 | 花咲徳栄 | B | B | A | B | B | |
千葉 | 木更津総合 | B | B | B | B | B | |
東東京 | 関東第一 | B | B | B | B | B | |
西東京 | 早稲田実業 | B | B | B | B | B | |
神奈川 | 東海大相模 | A | A | A | A | A | |
山梨 | 日本航空 | B | B | B | B | B | |
新潟 | 新潟産大付 | C | C | C | C | C | |
長野 | 長野日大 | B | C | C | C | B | |
石川 | 小松大谷 | B | B | B | C | B | |
福井 | 北陸 | B | B | B | B | C | |
富山 | 富山商業 | B | C | C | C | C | |
静岡 | 掛川西 | B | C | C | B | C | |
愛知 | 中京大中京 | B | B | A | B | B | |
岐阜 | 岐阜城北 | B | C | C | B | C | |
三重 | 菰野 | B | B | C | B | B | |
滋賀 | 滋賀学園 | B | B | B | B | B | |
京都 | 京都国際 | B | A | B | A | B | |
大阪 | 大阪桐蔭 | A | A | A | A | A | |
兵庫 | 報徳学園 | S | A | A | A | A | |
奈良 | 智辯学園 | B | B | B | B | B | |
和歌山 | 智辯和歌山 | B | A | A | A | B | |
岡山 | 岡山学芸館 | B | B | B | B | B | |
広島 | 広陵 | A | A | A | A | A | |
鳥取 | 鳥取城北 | B | C | C | C | C | |
島根 | 大社 | C | C | C | C | C | |
山口 | 南陽工業 | C | C | C | C | C | |
香川 | 英明 | B | B | B | B | B | |
徳島 | 鳴門渦潮 | C | B | B | B | C | |
愛媛 | 聖カタリナ | C | C | C | C | C | |
高知 | 明徳義塾 | B | B | B | B | B | |
福岡 | 西日本短大附 | B | B | C | B | B | |
佐賀 | 有田工業 | C | C | C | C | C | |
長崎 | 創成館 | C | C | B | B | B | |
熊本 | 熊本工業 | B | B | B | B | B | |
大分 | 明豊 | A | B | B | A | B | |
宮崎 | 宮崎商業 | B | B | C | C | C | |
鹿児島 | 神村学園 | B | B | A | B | B | |
沖縄 | 興南 | B | B | B | B | B |
各校の評価は以上のようになりました。まだ掲載のないデイリースポーツを除くスポーツ紙5紙ごとにそれぞれABC評価数はいくつあるか集計してみました。
スポーツ紙 | S | A | B | C |
スポーツニッポン | 2 | 5 | 32 | 10 |
日刊スポーツ | 0 | 8 | 25 | 16 |
スポーツ報知 | 0 | 9 | 19 | 21 |
サンケイスポーツ | 0 | 8 | 26 | 15 |
デイリースポーツ | ||||
東京中日スポーツ | 0 | 5 | 30 | 14 |
各紙の評価結果のうち、A評価の最多はスポーツ報知の9ですが,B評価19、C評価21は最少とメリハリのついた評価となりました。B評価が多くなる傾向においてバランスよく評価したともいえます。
B評価が最多のスポニチは32と最少の報知19と13もの差がつきました。ただしスポニチは2校をS評価とし、さらにA評価5校、C評価10校はいずれも最少とA、C評価を絞った印象を受けます。
A評価の最少はスポニチ以外に東京中日の5となりましたが、スポニチがS評価2校あるのに対して東京中日はA評価は厳しめとなっています。東京中日はB評価30、C評価14ともにスポニチに次ぐ少なさでやや無難な評価とも言えるでしょう。
ニッカンとスポニチはA評価はともにB、C評価がそれぞれ25と26,16と15と似たような評価となりました。
全体の特徴としては、報知を除く4紙が無難なB評価が多く、Ā、C以外はとりあえずB評価となる傾向はほぼ例年通りでした。
それでは各紙の評価のランキングについて見ていきましょう。
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今回、スポニチのみがS評価を採用していますが、S評価となったのは健大高崎、報徳学園の2校でした。春の選抜大会の優勝校、準優勝校で、選抜は系列の毎日新聞社主催の大会でもあることも影響しているかもしれません。
いずれにしても選抜で優勝、準優勝校がそのまま夏に甲子園に戻ってくるのもなかなか大変ですが、実力があることの証左と言えます。
スポニチのS評価2校は未掲載のデイリー以外の4紙でも全てA評価となりました。さらにスポニチを含む4紙がĀ評価だったのは東海大相模、大阪桐蔭、広陵の3校となります。このS評価を含む5校が優勝候補の筆頭でしょう。
大阪桐蔭、広陵は昨秋の地区大会でも優勝、神宮大会、選抜大会に出場するなど安定した実力通り、夏の予選も勝ち抜いてきたことも高評価につながっていると思います。
唯一、選抜出場していないのが東海大相模ですが、大型左腕藤田投手を軸に夏の予選決勝では宿命のライバル横浜高校に逆転勝ち、春の県大会でも準優勝と力はあります。甲子園常連校ということも加味されてのĀ評価ではないでしょうか。
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4紙がĀ評価でB評価が1紙のみの高校はありませんでしたが、3紙がĀ評価、2紙がB評価だった高校は智辯和歌山のみでした。
ニッカン、報知、サンスポの3紙がĀ評価としましたが、選抜出場こそなかったものの、春季和歌山大会優勝、近畿大会準優勝の実力がĀ評価となったのではないでしょうか?
青森山田はスポニチ、ニッカン、京都国際はニッカン、サンスポ、明豊はスポニチ、サンスポがそれぞれA評価、残り3紙がB評価となりました。
3校とも選抜出場校ですが、青森山田は選抜ベスト8、春季青森大会も優勝、京都国際も選抜では青森山田に接戦で敗退しますが、春季近畿大会は優勝、明豊も選抜では優勝した健大高崎に2回戦で敗退しましたが、春季九州大会は優勝といずれの高校も実力、実績ともに十分あります。
A評価が1紙の高校が花咲徳栄、中京大中京、神村学園でいずれもスポーツ報知がĀ評価としました。花咲徳栄、中京大中京は選抜は不出場ですが、神村学園は選抜出場、2回戦で大阪桐蔭に惜敗しています。
花咲徳栄は春季埼玉県大会で優勝、関東大会ベスト8、中京大中京は春季愛知県大会は準優勝ながら春季東海大会で優勝、神村学園は春季九州大会準優勝と春季大会での結果も評価されたのでしょう。
白樺学園、石橋、新潟産大付、大社、南陽工、聖カタリナ、有田工の7校がオールC評価となりました。夏初出場の4校のうち石橋、新潟産大付、聖カタリナの3校(残り1校は聖和学園)がオールCとなりました。
さらに大社、南陽工、有田工は公立校という点も低評価につながったのではないでしょうか?A評価が1つ以上ある高校はいずれも私立校ですが、オールB評価の熊本工業以外の公立校はいずれもC評価が1つ以上ありました。
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注目選手の有無、都道府県大会や予選、地区大会での実績や選抜大会出場の有無、過去の甲子園での実績などを中心に評価されがちですが、ふたを開けたらこれらの高校が大躍進することもあるのが甲子園です。番狂わせに期待したいですね!
2024年第106回全国高校野球選手権大会、夏の甲子園大会の全出場校が決定、デイリーを除くスポーツ5紙による恒例のABC評価のランキングと優勝予想をまとめました。
スポーツ5紙のランキングは
となりました。スポーツ紙の予想は軒並み強豪校、甲子園常連校に高めの評価がつく傾向もあり、特に選抜の優勝、準優勝の2校はスポニチはS評価、他紙もオールA評価となっています。
スポーツ紙では低評価だった高校が勝ち進み、オールAの評価の高校でも敗退してしまうのが高校野球の面白さでもあり、一発勝負のトーナメントの怖さでもあります。
今春の第96回選抜大会から低反発の飛ばないバットに変更となり、打撃戦も減少傾向になることも予想されます。評価の低い高校が接戦に持ち込んで終盤にひっくり返すといった展開もみられるかもしれませんね。