第106回全国高等学校野球選手権大会愛知県大会、県予選は6月29日(土)に開幕。県予選の抽選会は6月15日(土)に刈谷市総合文化センターで行われ、試合日程が順調に消化されれば7月28日(日)の決勝戦まで約1か月間、熱い闘いが繰り広げられます。
春季愛知大会は3月下旬に県内の各地区で地区大会を開催、地区大会を勝ち上がった高校による県大会が4月13日から5月6日の決勝戦まで行われました。愛知県の春季大会は夏の県予選のシードを獲得するために重要な大会となります。
さらに県大会の上位2校は東海大会に進んで他県の強豪校と対戦します。このため控えの投手や野手に経験させる場にもなり、チーム力を挙げる絶好の機会となります。
一方で選抜出場校は夏に向けてエースの休養期間にあてたり、県内や他都県のライバル校にはエースを温存して対策を立てづらくするという戦略をとるチームもあるので、春季大会の結果がそのままチームの実力に直結しないとも言えますが、いずれにしても各校とも実力を測るには貴重な大会です。
夏の県予選は173校が参加する激戦区の愛知県大会では、シードが獲得できないと最大8試合を勝ち抜く必要があり、さらに他のシード校といきなり序盤で当たるリスクもあります。
予選の代表校を占う上でもこのシードを獲得できたか否かで準々決勝以降の予想も変わってきます。まずは24年の春季県大会の結果を見てみましょう!
春季県大会の8強がそのまま夏の県予選のシード8校となります。県大会のブロックは8つに分けられシード校が各ブロックに振り分けられ、3回戦から登場するのが愛知県大会の方式です。
シードの8校は準々決勝まで対戦しません。5回戦を勝ち抜いた高校による再抽選で準々決勝の組み合わせが決まります。シード校は3回戦から登場するので優勝するまで6試合で済みます。
シード校が予選の序盤で敗戦することもありますが、シード校になれば準々決勝までは比較的勝ち上がりやすい組み合わせになります。このためシード校から優勝校が出やすい傾向にあるということが言えるでしょう。
シード校は、春季大会のベスト8の高校享栄、中京大中京、豊川、中部大春日丘、西尾東、日本福祉大付、至学館、東邦の8校です。直前に行われた第96回センバツ大会に出場した愛工大名電はノーシードで2回戦からの登場となりました。
春季県大会は愛工大名電は3回戦で東邦に敗退、一方豊川は準決勝で享栄に敗退と、豊川はシード権を獲得しましたが、ベスト8に残れなかった愛工大名電はシード権を逃すという選抜出場組で明暗が分かれました。
春季県大会は享栄が優勝、準優勝は中京大中京と私学4強の2強による決勝となりました。春季大会のベスト16以降の試合結果を見てみましょう。
試合 | 勝利校 | スコア | 敗戦校 | 備考 |
決勝戦 | 享栄 | 3-2 | 中京大中京 | |
準決勝 | 享栄 | 6-0 | 豊川 | |
中京大中京 | 2-1 | 中部大春日丘 | ||
準々決勝 | 享栄 | 3-0 | 西尾東 | |
中京大中京 | 4-0 | 日本福祉大付 | ||
豊川 | 3-2 | 至学館 | ||
中部大春日丘 | 5-4 | 東邦 | ||
3回戦 | 享栄 | 4-0 | 誉 | |
中京大中京 | 6-3 | 誠信 | ||
豊川 | 9-2 | 安城 | 7回コールド | |
中部大春日丘 | 6-1 | 豊橋中央 | ||
西尾東 | 13-2 | 三好 | 7回コールド | |
日本福祉大付 | 7-5 | 中部大第一 | ||
至学館 | 4-1 | 大府 | ||
東邦 | 5-3 | 愛工大名電 |
私学4強のうちの2校の対戦となった享栄対中京大中京の決勝戦は3-2で享栄が勝ち、8年ぶり8回目の優勝を果たしました。ベスト4はこの2校に選抜出場組の豊川、中部大春日丘が残り、豊川は享栄に0-6,中部大春日丘は中京大中京に1-2とそれぞれ敗戦しました。
準々決勝の4試合は、享栄、中京大中京が完封勝ち、豊川、中部大春日丘は1点差勝ちとベスト4の4校は安定した試合ぶりでした。強豪校中部大春日丘は私学4強の東邦に競り勝ち、例年通り拮抗した実力を示しました。
3回戦はベスト4の4校は危なげない試合運びで勝利、私学4強対決となった東邦は愛工大名電に2点差勝利をおさめました。
私学4強の2校が決勝まで残りましたが、準々決勝の結果を見る限りベスト8の8校に大きな実力差はないように思いいます。
春季東海大会には優勝校享栄、準優勝校中京大中京が出場、東海大会は愛知、岐阜、三重、静岡の4県から各2校の計8校が参加しました。両校の戦績を見てみましょう。
高校 | 回戦 | スコア | 対戦相手 |
享栄 | 1回戦 | 7-9 | 菰野(三重2位) |
中京大中京 | 決勝 | 4-3 | 菰野(三重2位) |
準決勝 | 7-0 | 津田学園(三重1位) | |
1回戦 | 1-0 | 加藤学園(静岡1位) |
愛知2位の中京大中京が決勝まで進み、三重1位の菰野に競り勝って20年ぶり7回目の東海大会優勝を果たしました。準決勝の津田学園、初戦の加藤学園と三重、静岡の各1位校に完封勝ちと安定した勝ち上がりでした。
一方の享栄は初戦で三重2位の菰野に打ち負けましたが、序盤に8点リードを許すも中盤以降追い上げる粘り強さも見せました。菰野高校は準決勝でも岐阜1位の県岐阜商に競り勝つなど勝負強さを発揮しています。
しかし昨秋は東海大会に出場追出来なかった享栄、中京大中京の両校が春季東海大会に勝ち進んだのは夏に向けて順調にチーム力が向上していると言えるでしょう。
ここまで春季大会の県大会、東海大会の試合結果を見てきました。春季東海大会では享栄、中京大中京の2校が出場、中京大中京は東海大会優勝、享栄は初戦敗退となりました。
春季県大会では享栄が優勝、中京大中京が準優勝、選抜出場組の豊川と中部大春日丘がベスト4まで進みました。
昨秋の秋季東海大会では愛工大名電、豊川、豊橋中央が出場し、豊川は優勝、愛工大名電は準優勝しました。秋季県大会では愛工大名電が優勝、豊川が準優勝と私学4強のうち3校が優勝ないし準優勝しています。
対して豊川高校は神宮大会でも初戦の高知高校戦に勝ち1勝をあげ、選抜大会は初戦敗退したもののこの春季県大会でもベスト4と安定した強さを発揮しています。
今大会は享栄、中京大中京、愛工大名電の私学4強の3校と豊川の4校が優勝候補の筆頭となりそうです。
この4校のうち愛工大名電以外はシード権を獲得しましたが、愛工大名電は享栄のブロックに入り、この両校のどちらかがベスト8までに消えることとなります。
享栄は春季県大会は優勝、一方の愛工大名電も選抜の初戦で準優勝した報徳学園と投手戦の末、延長タイブレークで敗退と投手力は安定しています。
現在愛工大名電は夏の愛知大会3連覇中と夏の愛知大会での勝負強さはありますが、4連覇は容易ではないでしょう。それでも大泉、伊東の左右のエースに石見、宍戸選手を中心とした打線が活発になれば一気に優勝まで駆け上がることも十分考えられます。
対抗として挙げられるのが中京大中京と豊川です。中京大中京は春季東海大会、春季愛知大会を全試合3失点以内と投手力は安定、左腕エース中井投手と昨夏の愛知大会決勝で2本塁打の山田選手と投打の軸が機能すれば春季大会に続いての優勝も見えてきます。
豊川高校は選抜でも本塁打を放ったモイセエフ・ニキータ選手を中心に得点力はありますが、課題の投手力をどう克服するかがカギでしょう。
これら4校を追うのがシード権を獲得した東邦です。春季大会、秋季大会の両大会でベスト8に残ったのは私学4強では東邦のみともう1段階チーム力が上がれば優勝も大いにあり得るでしょう。
これらの高校以外では至学館や豊橋中央も上位進出を十分狙えますが、やや力の差がありそうです。いずれにしてもこの愛知大会は大いに混戦が予想されます。
シード校のうちどれだけベスト8に進めるか?大いに盛り上がる大会となるでしょう。
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8月7日に開催予定の2024年(令和6年)第106回全国高校野球選手権大会の各都道府県地区予選が6月下旬から7月上旬にかけて開幕する予定です。
春の第96回選抜甲子園では豊川、愛工大名電が出場するも両校とも初戦敗退となりましたが、秋季大会では豊川が優勝、愛工大名電が準優勝しました。
一方、春季東海大会では中京大中京が優勝、享栄は春季愛知大会で優勝しています。このように今夏は絶対的王者不在の愛知大会となりますが、全国屈指の激戦区、愛知県を制する高校はどこか?優勝候補予想をしてみました。
と予想しました。今年の愛知県予選は愛工大名電を本命としましたが、享栄のブロックに入ったこと、4連覇が容易ではないことから、途中で敗退する可能性もあるでしょう。。
絶対手王者が不在なのでこれらの高校以外にも大いに優勝のチャンスがあります。5年前の誉高校のように初優勝校がでてくるかもしれません。
全国一の激戦区愛知の夏は予想がかなり困難ですが、かなり熱い大会となりそうです。