早稲田実業の1年生荒木大輔投手のフィーバーで盛り上がった昭和55年第62回選手権大会の決勝戦。横浜高校の愛甲猛投手との東京、神奈川決戦では横浜高校が初優勝を果たしますが、1年生荒木投手の今後の活躍が期待されました。
現に荒木投手は以降2年春夏、3年春夏と5季連続で甲子園に出場します。甲子園では常に優勝候補、アイドル級の人気を博した荒木投手が3年生最後の夏、昭和57年第64回選手権大会に対戦したのが池田高校です。攻めだるまの異名を持つ蔦監督率いる池田高校は、荒木投手から大量得点で圧勝します。
金属バットの威力を武器にした強力打線は打てば響くいう「やまびこ打線」とも呼ばれ、3年生エースで4番の畠山、2年生水野、江上選手の活躍で決勝戦の広島商との対戦も圧勝し悲願の初優勝を果たします。
3年生になった水野投手、江上主将の池田高校は翌春の選抜でも優勝、夏春連覇を達成します。そして優勝候補の最右翼と目された昭和58年第65回選手権大会も順調に勝ち上がり、準々決勝では事実上の決勝戦ともいわれた注目の右腕野中投手擁する中京高校(現中京大中京)と対戦。
中京高校も野中投手が2年生エースとして前年の春、夏ともにベスト4、この試合が山と見ていた池田高校はこの中京戦も接戦で勝ち上がります。いよいよ史上初の夏春夏の3連覇が現実味を帯びてきた準決勝の対戦相手は、1年生桑田投手、清原選手がエースと4番という若いチーム。
誰もが池田の勝利を信じて疑わなかったこの準決勝で、池田高校はまさかの敗戦、エース水野投手が1年生桑田投手に本塁打を打たれるなど0-7の完敗。全国高校球児の目標とされてきた池田高校は一時代を築いていましたが、この瞬間に池田から「KKコンビ」のPL学園へと甲子園の主役が入れ替わりました。
そしてKKコンビは翌年2年生として臨んだ甲子園決勝では、茨城県の公立高校、今では名将の木内監督率いる取手二高に敗れ準優勝に終わります。結局、KKコンビは1年生夏の優勝を最後に甲子園では優勝を果たせないまま3年生最後の夏の大会を迎えます。
関連記事:高校野球の名将!甲子園監督通算勝利数ランキングを2023年までまとめました!
KKコンビ3年生の昭和60年第67回大会、PL学園は順調に勝ち進みます。準々決勝の中山投手擁する高知商戦では清原選手の本塁打も飛び出し、準決勝甲西戦も圧勝、そして決勝戦では宇部商との接戦をサヨナラ勝ちで制します。
最終的に1大会甲子園最多本塁打5本を記録する清原選手ですが、対戦相手の宇部商藤井選手は1大会4本塁打ですでに記録を更新しており、清原選手は準決勝まで3本塁打と追随します。
そして決勝戦で2本塁打を放ち記録を更新。2本塁打目にはあの名実況「甲子園は清原のためにあるのか!」も飛び出します。
荒木投手が3年生で池田高校に敗戦した昭和57年第64回大会から3年生KKコンビが優勝した昭和60年第67回大会まで4大会分の熱闘甲子園のダイジェスト版が、このDVD「熱闘甲子園 最強伝説やまびこ打線から最強コンビへVol.1」に収録されています。
当時の熱闘甲子園は男性のキャスターが1日の試合のダイジェストを選手やチームのエピソードを交えながら放映する番組でした。大輔フィーバーからやまびこ打線の池田高校、KKコンビのPL学園へと勢力図が塗り替えられていく、甲子園が最も面白かったともいわれる時代のダイジェストが一気に見られます。
試合前、後の選手、監督のインタビュー、宿舎の選手のリラックス風景といった熱闘甲子園ならではの映像も盛りだくさん。
2枚組で総収録時間は306分と5時間分もの映像が詰まっています。当時を知る高校野球ファンにはたまらない永久保存版の1枚となるでしょう。
3年生KKコンビの優勝、PL学園の最強時代の翌年となる昭和61年第68回選手権大会は、PL学園が大阪府大会で敗れるという波乱の大会となりました。しかし甲子園出場した全国の高校から後にプロ野球、メジャーで活躍する選手を多数輩出しました。
大会ナンバー1左腕享栄高校の近藤真一投手、大会屈指の尽誠学園伊良部秀樹投手、沖縄水産上原晃投手の2年生右腕を筆頭に東洋大姫路の長谷川滋利投手、高知商岡林洋一投手などの豪華投手陣が出場。
打者でも浦和学園の2年生スラッガー鈴木健選手、個人最多安打記録の松山商水口栄二選手、天理中村良二選手、熊本工緒形耕一選手、東海大四大村巌選手と実に多彩な顔ぶれが登場します。
前年のPL学園のような絶対王者がいない中、甲子園を制したのは天理高校でした。エース本橋投手、4番中村選手、「ぼちぼち行こか」でお馴染みの橋本監督による初優勝は、池田高校、PL学園が君臨していた時代からの新たな幕開けを感じさせます。
しかし翌年昭和62年第69回大会は、またもやPL学園の天下が訪れます。主将立浪和義選手とクリーンナップを組む片岡篤史、深瀬猛の強力打線に、野村弘樹、橋本清、岩崎充宏の超高校級投手の3本柱で選抜に続き夏も制覇、史上4校目の春夏連覇を達成します。
しかも最後の決勝の相手は、3年前にPL学園が決勝で敗戦した取手二高木内監督が率いる茨城常総学院。のちにプロ入りする3年生エース島田直也投手、1年生野手仁志敏久選手を擁して決勝まで勝ち上がってきた相手です。
決勝戦はPL学園が制しますが、常総学院は上原投手の沖縄水産、伊良部投手の尽誠学園、4番後藤、2年生エース木村龍治投手の中京、川島堅投手の東亜学園と後にプロ入りする大会注目選手のいる高校を次々と撃破しての決勝進出でした。
昭和63年第70回記念大会は、前年のPL学園のような本命不在の大会でもありました。津久見高校川崎憲次郎投手、高知商岡幸俊投手と同年ヤクルトドラフト1位、2位の両右腕、大垣商篠田淳投手、福岡第一前田幸長投手のドラフト1位両左腕が注目されていました。
また横浜、中日で捕手、監督として活躍、プロ野球最多試合出場記録を持つ谷繁元信捕手も江の川高校の主将として出場しています。これらの選手がいる津久見高校と大垣商、福岡第一と江の川の対戦もダイジェストで収録されています。
大会は浦和市立高校という埼玉の公立高校が大躍進、ベスト4まで進出します。決勝戦は、準決勝でその浦和市立を破った古豪広島商と初出場ながら前田投手、九州のバース山之内健一選手擁する福岡第一との決戦になります。
昭和57年第64回大会の決勝戦で池田高校に大敗して以来の決勝進出となる広島商が史上6回目の選手権制覇を果たしますが、本命不在の中で伝統校が着実に勝ち進んでの優勝でした。
DVD「熱闘甲子園 最強伝説史上最強メンバーの全国制覇Vol.5」には、これら第68回大会から第70回大会までの全43試合が収録。のちにプロ入りする多くの選手も登場します。
これら選手のインタビュー、アルプスで応援する谷繁選手のお父さんの映像など貴重映像も満載、2枚組で総収録時間は248分の4時間以上と見ごたえのあるもので、懐かし映像を楽しむには十分のボリュームです。
時代が昭和から平成に移った平成元年第71回大会は、春の選抜大会決勝で激闘を演じた愛知東邦、西の横綱大阪上宮がいきなり初日から登場する幕開けとなりました。
選抜優勝投手の山田喜久夫投手擁する東邦は第2試合で岡山の倉敷商と対戦、元木大介、種田仁など強力打線の上宮は第3試合で長野丸子実と対戦、対照的な結果となります。
この大会には熊本工前田智徳選手、仙台育英大越基投手、帝京吉岡雄二投手、尽誠学園宮地克彦投手といった後のプロ入り選手が出場しました。
仙台育英は準々決勝で上宮と激突、準決勝では尽誠学園を下し宮城県勢として初の決勝進出を果たします。また1年生左腕中川投手がエースの秋田経法大は準決勝まで進出し東北勢の台頭、活躍ぶりが際立ちました。
決勝戦はこの大会東の横綱帝京と仙台育英の好投手対決となります。試合は0-0の均衡のまま延長10回表に帝京が2点を先制して初優勝、名将前田三夫監督も悲願の初優勝となりました。
平成2年第72回大会は、日本球界が生んだスーパースターイチロー選手、松井秀喜選手が出場します。イチロー選手は2年生ながら愛工大名電の3番打者、松井選手は1年生で星稜の4番打者として初の甲子園の土を踏みました。
さらに大阪渋谷高校の2年生中村紀洋選手、鹿児島実の内之倉隆志選手など好打者も出場、投手では秋田経法大の2年生左腕中川投手、天理の南竜次投手が活躍。
そして決勝戦は沖縄県勢初の決勝進出となる沖縄水産高校と3年ぶりの2回目の優勝を狙う天理との対戦となります。南投手、神谷投手の投げ合いとなる投手戦は4回に1点を先制した天理高校が逃げ切り、1-0の僅差で優勝を決めました。
平成3年第73回大会は、あの大阪桐蔭が初出場初優勝をやってのけます。大阪と言えば当時はPL学園、上宮、近大付といった強豪が並み居る激戦区ですが、大阪から初出場して初優勝という大阪のレベルの高さを見せつけた大会にもなりました。
関連記事:甲子園高校野球大阪代表過去の優勝回数と勝利数!大阪桐蔭、履正社、PL学園、浪商、つ、強すぎる!
そんな初出場の大阪桐蔭を決勝で迎え撃つのが2年連続で決勝まで来た沖縄水産。前回大会で沖縄県勢初の決勝進出を果たして準優勝に終わった雪辱に燃えている沖縄水産との決勝は乱打戦の末、大阪桐蔭が初優勝を果たします。
沖縄水産は2年連続の準優勝に終わりますが、以降の沖縄県勢の甲子園での躍進のきっかけとなる大会でした。3回戦では松商学園上田投手と四日市工井手元投手の投げ合いによる延長16回の攻防は、サヨナラ四球という激戦が繰り広げられました。
また2年生松井秀喜選手の星稜はベスト4まで進出、準決勝で大阪桐蔭に敗退しますが、松井選手は3回戦に甲子園初本塁打を記録しています。
その翌年になる平成4年第74回大会は、甲子園史上前代未聞の出来事が世間をにぎわせます。3年生の松井秀喜選手は大会注目ナンバー1のスラッガーとして甲子園に戻ってきますが、2回戦の明徳義塾戦でその出来事が起きます。
いまや伝説となったあの「5打席連続敬遠」です。明徳義塾の馬淵監督は「高校生の中に一人だけプロ野球選手がいる」と評し、全打席で敬遠を指示。結局この作戦が功を奏して明徳義塾は星稜戦を制します。
しかし松井選手の打席を楽しみにしていた甲子園ファンからは大ブーイング、その後も社会問題にまで発展するほどの出来事となりました。
関連記事:2019神宮大会、星稜と明徳因縁の再戦と監督コメント!試合結果はどうなった?
大会は福岡の西日本短大付森尾和貴投手が、5試合すべて完投、失点1という離れ業で初優勝を達成。福岡県勢も昭和40年第47回大会の三池工以来の優勝となりました。
平成元年から4年までの大会は、東北勢の躍進や沖縄水産の2年連続準優勝といった昭和の時代から甲子園大会の様相が変わってきた時代となりました。
DVD「熱闘甲子園 最強伝説『平成のスラッガー』その原点、そして台頭する新戦力Vol.4」には全59試合、総収録時間327分と実に5時間以上に及ぶ収録本数となっています。
平成初頭の熱戦をもれなく楽しめる2枚セットとなっています。
2024年第105回全国高校野球選手権大会、夏の甲子園大会は慶応高校の107年ぶり2回目の優勝で幕を閉じました。約2か月間の地方大会から甲子園までの熱い戦いも終わり、甲子園ロスになってしまう方も多いでしょう。
こんな時は甲子園の懐かしい昔の映像を楽しんでみてはいかがでしょうか?朝日放送テレビが昭和56年から夏の甲子園期間中に放送を開始した「熱闘甲子園」のダイジェスト版DVD最強伝説シリーズを紹介しました。
の3点は、昭和57年の第64回大会から時系列にそって平成4年第74回大会までのダイジェストがそれぞれ収録されています。少し懐かしい映像ですが、それぞれ収録時間は2枚セットで5時間前後と見ごたえ十分です。
甲子園の伝説の試合が多数収録されているこの映像を見たら、甲子園がもっと楽しくなるのは間違いありません。是非ご覧ください!