イチロー選手の草野球チームは、チーム名が「KOBE CHIBEN」とすでに「智辯」が使用されています。名前の由来は後述しますが、智辯に和歌山ではなく神戸を組み合わせた名前をアルファベットで教職員チーム「和歌山智辯」と同じように智辯と神戸の順番も逆にしたところにイチロー選手のユーモアも感じてしまいます。
さてこの「KOBE CHIBEN」ですが、イチロー選手が実質オーナー兼エース投手を務め、メンバーには現役時代に神戸市内での自主トレをサポートしていた友人らと結成されたとのことです。
基本的に野球未経験者で結成され、経験者はイチロー選手の専属バッティングピッチャーを務めてきた元オリックスの藤本博史氏だけという素人中心のチームです。
イチロー選手ほどの実績のある人が今さら草野球チームで野球をするというのも驚きですが、あえて草野球というところに野球を愛するイチロー選手の野球選手としての矜持(大袈裟ですが)があるのかもしれません。
実際に草野球のリーグ構想を抱いているというイチロー選手。草野球のリーグ戦という形で野球人口が増えれば野球界への恩返しにもつながるという思いもあるのではないでしょうか?
そんなイチロー選手の草野球チームが記念すべき初戦に智辯和歌山高校を選んだのはどんな理由があるのでしょうか?
イチロー選手はご存知のように愛知県の愛工大名電高校出身です。さらにプロに入団した時のオリックスブルーウェーブの本拠地神戸を故郷以上に愛しているイチロー選手が愛知でも神戸でもない和歌山の高校を選んだ理由となはんでしょうか?
時はさかのぼって2018年の11月、ほっともっと神戸球場で開催されていた秋季高校野球近畿大会の準決勝がきっかけとなります。日頃同球場で自主トレを行うイチロー選手は時間を持て余してこの準決勝の試合を見に行ったそうです。
その試合が智辯和歌山と明石商の対戦でした。甲子園でも有名なあの智辯和歌山の応援、ブラスバンドとチアと応援団が一緒になって応援するスタイルを見て感銘を受けたそうです。
その感動をイチロー選手が神戸の友人たちに話をしたところたちまち智辯和歌山の関係者に伝わります。その話を聞いた学校の関係者が同校の名物だるあの魔曲「ジョックロック」の動画や応援曲をイチロー選手に贈ったところ、大喜びしたイチロー選手が早速同校を訪問し理事長に挨拶とお礼を述べます。
さらに話は続き、12月の自主トレ時には同校の応援団一行がほっともっと球場に駆け付けイチロー選手の自主トレを応援し、ジョックロックを演奏しました。これですっかりイチロー選手と同校の藤田理事長は意気投合します。
そして藤田理事長が同校の教職員を中心にした「和歌山智辯」という草野球チームを結成したところ、イチロー選手が「KOBE CHIBEN」の最初の試合を是非「和歌山智辯」とやらせてほしいと伝えて今回の話が実現しました。
この「KOBE CHIBEN」については、のれん分けをしていただいたという思いとあえて漢字を使わないことで敬意を表しているとのことです。これもイチロー選手らしい相手へのリスペクトのような気がします。
いずれにしても夢のような草野球対決が実現しましたが、イチロー選手は試合に出るのでしょうか?
試合に出るのは当然と言わんばかりにイチロー選手は現在もトレーニングを続けていて、このデビュー戦に向けてシアトルで連日300球の投げ込みをしていたそうです。
また試合当日は吹奏楽部やチアリーダーなど卒業生ら計120人が集結、一三塁側にわかれて一塁側は赤色のTシャツで教員チームを応援、三塁側は青色のTシャツで「KOBE CHIBEN」を応援しました。数々の応援を球場で受けてきたあの超一流メジャーリーガーのイチロー選手でもジョックロックをバックに打席に立ちたいという思いがあったのではないでしょうか?
イチロー選手本人も野球の素晴らしさを味わってもらうためにも一緒にプレーすると表明しているようです。もしイチロー選手が本気で投げたら草野球では試合にならないような気もしますが、本気のイチロー選手と対戦できるのは光栄なことでしょう。
相手にも敬意を表すイチロー選手は先発投手としてマウンドに上がり9回を一人で投げ抜きました。131球の完投、6安打16奪三振の完封、打っても4打数3安打1打点と現役さながらの活躍でした。
慣れ親しんだライトの守備につくことも予想されましたが、投手として投げ抜くことにこだわりを見せたこととなりました。
元メジャーリーガーのイチロー選手が草野球チームを結成し、その初戦の相手に智辯和歌山高校の教職員を中心とした草野球チーム「和歌山智辯」を選んだことが話題となりました。イチロー選手の憂さ野球チームや初戦に和歌山智辯を選んだ理由とは
といったことからこの夢の対決に至りました。イチロー選手のこういった粋な計らいは大選手だからといっておごらず、純粋に野球を愛する気持ちから生まれたのかもしれません。また野球への恩返しという気持ちも常にあるのではないでしょうか?
そして何回にどこのポジションで試合に出るのかという疑問ですが、
と予想しましたが、終わってみれば先発投手として9回を完封、打っても4打数3安打1打点の活躍ぶりでした。
グラウンドでのプレーで多くのファンや同業の野球選手を魅了してきたイチロー選手の今後のグラウンド外での活動にもますます注目したくなります。引退後も野球ファンを楽しませてくれる姿に敬意を表したいですね。