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阪神園芸の神業!高校野球甲子園のグラウンド整備も観戦の楽しみの一つ

ライン引きをする阪神園芸の神技

高校野球を甲子園で観戦する際に必ず目にする光景の一つに「グラウンド整備」があります。各試合前と5回裏終了後、また延長に突入する直前に行われます。

このグラウンド整備中に多くの観客の方が席を離れ、トイレ休憩や飲食物の買いもの、あるいはスタンドの裏通路へ涼みに行きます。

試合が行われていない時間帯ですので誰もが同じ行動をするのは当たり前ですが、この時のスタンド裏通路は非常に混雑します。トイレや各物販店舗には長い行列ができますし、裏通路にあるクーラーの前にも人だかりができます。

あえてこの時間帯に席を離れずに試合中のちょっとした合間にこれらの用事をすますことで、不要な混雑に巻き込まれないことも快適な観戦法の一つです。

しかし試合終了後から次の試合までの時間は30分ほどありますし、試合中のグラウンド整備も5~10分くらいあります。

この時にグラウンド整備の様子を是非一度はご覧ください。甲子園球場のグラウンド整備を運営する阪神園芸の神業を楽しむのも甲子園球場の高校野球観戦の醍醐味です。

阪神園芸とは

甲子園球場のグラウンド整備は、専門の会社である阪神園芸という企業が請け負っています。阪神園芸とは、名前の通り阪神電鉄の100%子会社で、阪神タイガースと同じグループ企業です。

阪神甲子園球場の阪神タイガース主催試合、高校野球の選抜、選手権両大会のグラウンド整備を請け負っており、阪神鳴尾浜球場、甲子園コートといったスポーツ施設の芝生管理なども行っています。

いわばグラウンド整備に関するプロ中のプロであり、高校野球のみならずプロ野球ファンの間でもその名前を知らない人はいないと言えるくらいの名門です。

東北楽天ゴールデンイーグルスの本拠地楽天生命パーク宮城に2016年内外野グラウンドに天然芝を敷設した際には、その整備、管理運営のノウハウを伝授するためにスタッフを1年間常駐させたほどです。

では阪神園芸のグラウンド整備の何がすごいのか、どこが神業なのか見ていきましょう。

阪神園芸のグラウンド整備のここがすごい!

グラウンド整備カーの操作技術

試合終了と同時に1塁側のグラウンド入場ゲートから颯爽と飛び出てくるグラウンド整備カー。三輪車の後部に取り付けられたブラシでグラウンドの土を均(なら)します。

3台で内野とファウルゾーンの土のエリアを均していくのですが、ファウルラインとマウンドの周辺から内野エリアまで整備します。

この時の運転操作が非常に正確で、他の整備カーと重複しない動きをしながらラインぎりぎりのところを移動していきます。さらにトンボ(グラウンド整備用のT字型の木製の用具)をかける人の邪魔にならないよう滑らかに移動していきます。

かなり熟練された運転であまりの滑らかさぶりに見とれてしまいます。高校野球観戦者ならば一度は運転してみたいと思った方も多いのではないでしょうか?

なお整備カーの体験もできるそうなので、是非チャレンジしてみてください。

トンボのかけ方

グラウンド整備に欠かせないのが、上記にも説明したトンボと言われる用具です。これは一般的に土のグラウンドを整備するときに用いられるもので、小中高の各学校や地方球場などいろんなところで使用されています。

ですので野球経験のある方のみならず運動部出身の方ならば使用したことがあるかもしれません。そんなに難しい作業ではないのですが、スパイクや打球などででこぼこに荒れてしまったグラウンドをきれいに整備するのにはそれなりのテクニックがいります。

甲子園球場ともなれば当然見栄えも重視されますので、ただ単にグラウンドを均すのではなく、いかに均一に均されるかが重要です。試合の合間の限られた時間で行う必要があるのでスピードも要求されます。

甲子園球場では、整備カーでは整備できないエリア、塁間や各塁の周辺、ファウルラインのフェアゾーン側、バッターボックスなどでトンボをかけます。

この時、一般の人がトンボをかけた後にはトンボの両端に線ができてトンボ幅の跡が残りますが、甲子園球場では見事に均一に均されます。地方球場では、各校の野球部員がトンボをかけますが、ここまできれいに均されることはありません。

滑らかに均されたグラウンドを見るだけで甲子園のすごさ、阪神園芸の神業を感じてしまう人も珍しいかもしれませんが、地方球場と是非比較していただきたいものです。

水のまき方

グラウンドを均し終わった後には、散水、つまり水を撒く作業があります。グラウンドに水を撒くのは、乾いた状態では砂ぼこりが舞ってしまうのでしまうので散水することでそれを防ぐためです。

夏場は散水することでグラウンドからの熱を冷ますことにも役立っています。これは実際にプレイしてみて、若干暑さが和らいだ記憶もあります。

土のグラウンドでは試合前に水を撒くことは慣例ですが、この水まきこそが阪神園芸の神業の見せどころではないかと感じます。

グラウンドの一部だけが湿りすぎたり、まして水たまりができてしまってはプレイに支障をきたしますので、この水まきも均一に撒かないといけません。

さらに甲子園球場は観客者だけではなく全国のファンが見ていますので見栄えも重視されます。土のグラウンド一面がきれいな黒土になってこそ甲子園球場らしさでもあります。

この水まき作業は、投手プレートのすぐ後方にある蛇口(プレイ時は蓋がしてあります)にホースをつなげて行われます。このホースをスタッフ数人が手で持ち支えながら散水が行われます。

ホーム付近から3塁側エリア、内野エリア、1塁側へと徐々にきれいに散水されていきます。この時の乾いた茶色の土がきれいに黒に染まっていく様はまさに芸術的です(ちょっと言いすぎですが)。

黒に染まっていくと同時に「いよいよ試合がはじまるんだな」という緊張感やワクワク感を同時に感じます。均一に染まった黒のグラウンドをみてまさに「甲子園」を感じるものです。

ラインの美しさ

水まきと同時に進められるのが、ファウルライン、バッターボックス、ダートサークル(キャッチャーズサークル)、スリーフットライン、コーチャーズボックス等グラウンドに定められたラインを引く作業です。

特にバッターボックス周辺のキャッチャーズボックスは円形になってますので、きれいな弧を描くのは相当な熟練技が必要です。

さらにファウルラインは1,3塁後方まで真っすぐに引かなければなりません。見栄えもありますが、このファウルラインが曲折していてはプレイに大きな影響が出ます。

バントで打球がファウルラインぎりぎりに転がった場合、そのボールを捕球するのかファウルラインまで転がるのかを見極める場面があります。このラインが曲がっていてはフェアな判断ができません。

これらのラインをそれこそ綺麗にスピーディーに引く様はこちらも芸術的です。しかも試合開始予定時刻直前に引き始めるのですが、いざ引き始めるといつの間にか終わっているという手際の良さが際立ちます。

僕も学生の時にこのライン引きをやったことがありますが、マジでデコボコにしかなりません。相当うまい人が引いても甲子園のようにあんなにきれいにしかも短時間で引くのは神業です。

これは経験者にしかわからないかもしれませんが、いとも簡単にきれいに引く作業は圧巻です。このライン引きを見ているだけでも十分な楽しみと感じてしまいます。

まとめ

甲子園での高校野球観戦の楽しみ方の一つとしてグラウンド整備をあげました。甲子園でのグラウンド整備、管理を運営する阪神園芸の神業は

  • グラウンド整備カーの操作技術
  • トンボをかける技術
  • 均一な水まき
  • 芸術的なライン引き

を見れば一目瞭然です。試合の合間のわずかな時間でも、甲子園球場ならではのこの技術を見て、甲子園球場のすばらしさを体感してください!

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