長嶋茂雄さんは、1936年2月20日千葉県佐倉市出身です。東京六大学野球、立教大学のスーパースターとして1958年にジャイアンツに入団以降、選手、監督として長きにわたり日本プロ野球のスーパースターとして活躍してこられました。
2013年には松井秀喜さんとともに国民栄誉賞を受賞するなどその実績、人気ぶりはまさしくプロ野球界最高のレジェンド。プロ野球界のみならずスポーツ界全体の発展に尽力してきたミスターは、天才ゆえの独特のキャラクターで多くのプロ野球ファン、国民から愛されています。
ミスターが愛される理由の一つに挙げられるのは、ミスターならではの数々の名言やエピソードです。早速紹介します!
1958年にジャイアンツに入団して「4番サード長嶋」としてプロ野球界を引っ張ってきた長嶋選手もいよいよ引退の時を迎えます。1974年10月12日に現役引退を表明、翌日の13日中日戦のダブルヘッダーが引退試合となりました(実際は雨天順延により14日に行われました)。
この試合後の引退セレモニーのスピーチで飛び出したのが、あの有名な「我が巨人軍は永久に不滅です!」という名言です。正確な文脈では「わたくしは今日引退を致しますが、」に続いて発せられた言葉でした。
この引退は、1974年の読売新聞の十大ニュースでも4位になるほどの社会的ニュースという出来事でした。また引退表明した翌日のスポーツ新聞は、引退表明と同日に優勝を決めた中日の優勝を脇に追いやっての一面の扱いでした。
プロ野球ファンにとって一時代の終わりを告げるほどの衝撃的な出来事の中、この名言はいまだに忘れられることのないものとなっています。
あるミスターが現役時代の試合でミスターがベンチのサインには一切気づいておらず、当時の川上監督がいくら注意しても「いやあ、気づきませんでしたぁ」とのらりくらりと受け答え。
こんな状況が続いたためとあるコーチがミスターに「なあミスター、ベンチのサインくらいは見てもらわんとこまるなあ」と注意しました。するとミスターは真顔で「僕は巨人軍の4番だよ。サインなんて『打て』以外にあるわけないじゃない!」
サインをまともに見ていたのか、見ていなかったのか定かではありませんが、ジャイアンツの4番打者に「打て」以外にサインが出るわけないとミスターは思っていたようです。
仮に「打て」以外のサインが出ていたとしても、打つことが4番の仕事、サインなんて必要ないという4番打者としての矜持を見せた名言だと思います。「待」「バント」「盗塁」「エンドラン」といったサインが出たところで「打って点をとればいいだけ」ということでしょう。
こんなメンタルを持った4番打者がいれば、そりゃV9も達成しますよね。現に天覧試合ではサヨナラ本塁打を含む2本、日本シリーズでは史上最多の4回のMVPとチャンスにめっぽう強いのはこういったメンタルから来ているのでしょう。
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ミスターが1958年に鳴り物入りで入団した年は、前評判以上の活躍をしました。デビュー戦こそ、あの伝説の名投手金田正一投手に対して4打席4三振を喫しますが、全てフルスイングしたことで新人のミスターに対する金田投手も相当高い評価をしたことは有名です。
その評価通り新人イヤーでは、最終成績は本塁打29本、92打点、打率0.305と本塁打王、打点王をいきなり獲得、打率も2位と新人として史上初となる三冠王をあと一歩で逃しています。
さらに圧巻なのは37盗塁とリーグ2位でありながら、新人として初のトリプルスリー(3割、30本塁打、30盗塁)をあと本塁打1本で逃している点です。
しかしこの「トリプルスリー」実際には達成していました。それは28本目の本塁打を放った時に伝説の「1塁ベース踏み忘れ」をしてしまい、この28号本塁打は取り消されてしまったのです(記録はピッチャーゴロ)。
もちろんこの踏み忘れがなくてもその後29号、30号を放ってたかはわかりませんが、ベース踏み忘れにより歴史的快挙を逃してしまうあたりミスターのスケールの大きさを感じてしまいますね。
野村克也捕手ことノムさんと言えば、ミスターと同学年でともに選手、監督として長い間プロ野球界を引っ張ってきた永遠のライバルです。当時、野村捕手は「ささやき戦術」として打席に立つバッターに対して配球やプライベートに関することをささやき動揺を誘い、集中力をそぐという戦術をとっていました。
ノムさんはとある試合でミスターに対しても「ささやき戦術」を試みます。バッティングフォームがおかしいんじゃないかと動揺を誘うようにささやいたところ、ミスターはいったん素振りをしてスウィングを確かめます。
その後打席に戻り、次の投球をミスターはホームランにしてしまいました。さらにダイヤモンドを一周してホームインした際には、ノムさんはミスターに「教えてくれてありがとう!」と言われ唖然としたそうです。
ノムさんに限らす、金田正一、村山実、江夏豊といった大投手も、ミスターだけは「計算できないバッター」でなぜ打たれたのかわからないといった評をしていました。常人には計り知れないスケールの大きさというか天才肌といったところがミスターをミスターたらしめているゆえんでしょう。
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ミスターが現役時代、広島カープはコンピュータによるデータ分析で「王シフト」を敷きました。王選手の打球の7割が右方向に飛んでいくことという分析結果を用いて、フィールドのほぼ右半分に内外野の野手を寄せるという極端なシフトです。
一方でミスターについても同様のデータ分析を試みましたが、特徴的な傾向が全くなく長嶋シフトを敷くことはできませんでした。ミスターの特徴としては「顔の方向と全く関係なく打球が飛ぶ」ということから守っている野手も守りにくかったようです。
さらにノムさんもミスターを「来た球を打てる天才」と評したように、打てそうにないコースの球でもバットを投げ出したり、瞬間的に腕をたたむなどしてヒットにすることができるバッターでした。
どんなに体勢を崩されてもバットのヘッドが残っている(振り出さないため泳がされない)ためどんな投球にでも対応できたようです。このため投球のコースや球種に関係なくあらゆる方向にヒットを放つことができることからデータ分析ができなかったのではないでしょうか?
おそらくここまでの評をされる人は、ミスターとイチロー選手くらいではないかと思います。常識が通じないという点でまさに天才打者というほかありません。
ミスターのインタビューやコメントには英語を絡めた発言が多いのも特徴の一つでしょう。これまでどんな名言、エピソードがあったのかまとめました。
ほかにもまだまだ有名なたくさんのエピソードがありますが、ミスターらしい感覚的、直感的に飛び出てきた言葉ではないでしょうか?言い間違えだとしてもきちんと意味が伝わるところが、ミスターの言葉力のような気がします。
プロ野球界史上最高のレジェンド、ミスターこと長嶋茂雄氏の偉大さを物語る引退時の名言や選手時代のエピソード、英語の絡んだ面白発言などを紹介してきました。天才と言われるが故の名言、エピソードは、ミスターならではのものではないでしょうか?
といった数多くあるミスターの名言、エピソードの中からも選りすぐりのものを紹介しました。こういったエピソードもあってミスターを愛する野球ファンがいまだに多く、その一挙手一投足が話題になるゆえんだと思います。
長きにわたりプロ野球界のスーパースターとして多くのプロ野球ファンや選手を魅了し続けてきた長嶋茂雄さんには、先日逝去した野村監督ことノムさんの分までまだまだご健在で野球界を引っ張って行っていただきたいと思います!