「都市対抗野球」という言葉は野球ファンなら誰もが耳にしたことがあるのではないでしょうか?実は日本国内にプロ野球が誕生する前の1927年(昭和2年)に第1回が開催された歴史のあるトーナメント大会です。
毎日新聞社が第1回に主催したのが始まりですが、開催の経緯に毎日新聞社の前身である当時の東京日日新聞の新聞記者橋戸信氏が、日本の各都市を代表するチームを競わせる大会を提案したのがきっかけです。
現在は日本野球連盟が主催、毎日新聞社が共催となっていますが、2013年の第84回大会からは地域振興がはかられているという理由で総務省が後援に名を連ねています。
全国大会は毎年7月に東京ドームで開催されており、予選は1次予選が4~5月、2次予選が5~6月に各地区で行われます。全国大会は7月中旬から下旬にかけて1日3試合ほどを消化し、決勝戦まで12日間前後毎日開催されます。
トーナメント方式による全国大会ですので、当然地区予選があります。地区予選の地区割と代表チーム数、2次予選出場チーム数は以下の通りです。
地区 | 代表数 | 都道府県 | 出場数 | 予選形式 |
北海道 | 1 | 4 | トーナメント2勝チームと敗者復活戦の勝者で代表決定戦 | |
東北 | 2 | 青森、秋田、岩手、山形、宮城、福島 | 12 | 敗者復活併用トーナメント |
北信越 | 1 | 新潟、富山、石川、福井、長野 | 8 | トーナメント |
北関東 | 2 | 茨城、栃木、群馬 | 8 | 初戦勝者4チームによるリーグ戦の上位2チーム |
南関東 | 3 | 埼玉、千葉 | 6 | 敗者復活併用トーナメント |
東京 | 4 | 8 | 1次予選2チームと予選免除6チームによる敗者復活併用トーナメント | |
西関東 | 2 | 神奈川、山梨 | 8 | 1次予選6チームと予選免除2チームによる敗者復活併用トーナメント |
東海 | 6 | 静岡、岐阜、愛知、三重 | 16 | 1次予選2チームと予選免除14チームによる敗者復活併用トーナメント |
近畿 | 5 | 滋賀、京都、奈良、和歌山、大阪、兵庫 | 12 | 1次予選4チームと予選免除8チームによる敗者復活併用トーナメント |
中国 | 2 | 岡山、広島、鳥取、島根、山口 | 8 | 1次予選8チームの2グループによるリーグ戦上位4チームの敗者復活併用トーナメント |
四国 | 1 | 香川、愛媛、徳島、高知 | 4 | 1次予選4チームによるトーナメント |
九州 | 2 | 福岡、長崎、佐賀、大分、熊本、宮崎、鹿児島、沖縄 | 12 | 1次予選12チームによる敗者復活併用トーナメント |
主催者推薦 | 1 | 前年優勝チーム |
1次予選は原則的に各県ないし複数の県で行われ1次予選の上位数チームが上記の2次予選に進出します。各地区の2次予選は地区によっては複雑となっておりますが、多くの地区で敗者復活が併用されています。
都市対抗野球の特徴として
といった伝統的な制度があります。こういった点も権威ある大会として注目されている要素となっています。
都市対抗野球大会と並んで2大大会のもう一つの全国大会の種類として社会人野球日本選手権大会があります。第1回大会は1974年(昭和49年)と都市対抗野球に比べると歴史は比較的浅いですが、それでも40年以上の歴史があります。
主催は毎日新聞社と日本野球連盟となり、大阪市が共催となっています。全国大会はトーナメント方式で32チームで優勝をかけて競います。毎年10月下旬から11月上旬に京セラドーム大阪で開催されます。選手権大会としてその年の社会人野球日本一を決める大会と位置付けられています。
なお2020年は東京オリンピックの開催に伴い都市対抗野球大会と開催時期を入れ替え、京セラドーム大阪、ほっともっとフィールド神戸の2球場で7月に開催される予定です。
都市対抗野球とは予選の形式が異なり、まさしく社会人野球日本一を決めるための予選となっています。出場資格のある各大会の優勝チームと地区予選から参加32チームが出場権を得るシステムとなっています。
対象大会 | 条件 | 出場数 | |
都市対抗野球大会 | 優勝 | 1 | |
全日本クラブ選手権大会 | 優勝 | 1 | |
主要地区連盟主催大会 | JABA東京スポニチ大会 | 優勝 | 1 |
JABA静岡大会 | 優勝 | 1 | |
JABA四国大会 | 優勝 | 1 | |
JABA岡山大会 | 優勝 | 1 | |
JABA長野県知事旗争奪野球大会 | 優勝 | 1 | |
JABA京都大会 | 優勝 | 1 | |
JABA九州大会 | 優勝 | 1 | |
JABA東北大会 | 優勝 | 1 | |
JABA北海道大会 | 優勝 | 1 | |
JABA日立市長杯選抜野球大会 | 優勝 | 1 | |
JABAベースボール杯争奪大会 | 優勝 | 1 | |
地区最終予選 | 北海道 | 優勝 | 1 |
東北 | 優勝 | 1 | |
関東 | ブロック優勝 | 4 | |
北信越 | 優勝 | 1 | |
東海 | ブロック優勝 | 3 | |
近畿 | ブロック優勝 | 4 | |
中国 | ブロック優勝 | 2 | |
四国 | 優勝 | 1 | |
九州 | ブロック優勝 | 2 |
JABAとは日本野球連盟のことを指し日本野球連盟の各地区連盟が主催する社会人野球大会です。地区最終予選は複数出場チームは、地区の出場チームを割り当てられている全国大会への出場チーム数分のブロックに分けてそのブロックの優勝チームが全国大会への出場権を得ます。
社会人野球日本選手権の特徴として
といった点が挙げられます。歴史の長い都市対抗野球大会は応援団コンクールもあり東京ドームで開催されることから華やかなイメージがありますが、日本選手権大会は、都市対抗野球大会の優勝チームが参加することからもその年の真の日本一を決定するという意味合いがあります。
社会人野球の全国大会の種類には大きく2大会があり、夏に開催される都市対抗野球大会と秋に開催される社会人野球日本選手権がこれにあたります。
それぞれの特徴による違いは
などが大きな違いです。いずれも全国大会として注目される大会ですが、応援も楽しめる都市対抗野球、ドラフト指名選手が観られる社会人日本野球選手権といった楽しみ方もできます。是非全国大会に足を運んでみたくなりますね!