日本シリーズ、正式名称はプロ野球日本選手権シリーズと言いますが、この日本シリーズはプロ野球が1950年にセントラルリーグ、パシフィックリーグの2リーグ制となった年からスタートし、2020年で第71回となります。
70年にも及ぶ長い日本シリーズでノーヒットノーランもしくは完全試合を達成した投手は一人もいません。レギュラーシーズンでの達成者は延べ93人、そのうち完全試合達成者は15人いますが、日本シリーズとなると以外にもまだ誰も達成していません。
しかし複数人の投手により完全試合が達成されたことは1試合だけあります。見てみましょう!
2007年ナゴヤドームで行われた中日ドラゴンズ対日本ハムファイターズの第5戦で、先発の山井大介投手とリリーフエースの岩瀬仁紀投手の2人による投手リレーで達成されました。
この試合では先発の山井大介投手が伸びのあるストレートと切れ味鋭いスライダーで日本ハム打線をきりきり舞いにさせ、8回終了時点まで一人もランナーを出さない完全試合ペースでした。
中日は2回に先制した1点を守り切って9回裏最後の守りでいよいよ史上初の安全試合が達成されるのか、ナゴヤドームの観客、テレビの前の多くのプロ野球ファンが固唾を飲んで見守っているところでした。
すると9回裏が始まる直前に当時の中日落合博満監督がアンパイアに選手の交代を告げました。その後まもなく場内アナウンスで「ピッチャー山井に代わりまして岩瀬」と流れます。
球場も騒然とするファン、あるいは最後は岩瀬でしょ!といったいろんな反応がありましたが、8回まで完全試合の投手を交代させるとはかなりの驚きがありました。結局リリーフエースの岩瀬投手が9回裏をパーフェクトリリーフで締めくくり1-0で勝利、中日が4勝1敗で53年ぶりの日本一を決めます。
この交代劇にはかなり世論も揺れました。史上誰も達成したことのない記録を前に投手交代はないんじゃないか?という声とは反対にこの試合を落とせば第6戦は日ハムの本拠地札幌ドームに戻ることになるので残り試合を勝てるかはわからない、取れる試合を確実にとるならリリーフエースの岩瀬しかないといった反応でした。
さらにこの時は山井投手が右手の血豆をつぶしていたという情報もあり、元々8回が限界だった、山井本人が代えてくれと言ってきたという噂も上がり世論は見事二つに分かれます。
結局真相はわからないまま時は過ぎましたが、53年ぶりの日本一を勝ち取ったという事実を見れば交代も仕方なかったかもしれません。それよりも9回から投げた岩瀬投手のプレッシャーも相当なものだったでしょう。名球会入りするほどの大投手とはいえ、完全試合をリリーフするのは先にも後にもこの試合だけでした。
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ということで日本シリーズ唯一の完全試合、ノーヒットノーラン達成者はいませんが、2人の投手によって達成された試合はこの試合のみです。従って日本シリーズのゲーム最多連続無走者、先発投手によるゲーム先発連続無走者、最多投球回無走者の記録は中日ドラゴンズ山井大介投手の8回となります。
過去のポストシーズン、プレーオフと言われるレギュラーシーズン後に日本シリーズの進出をかけて戦う試合で唯一ノーヒットノーランを達成した投手がいます。2018年のクライマックスシリーズ、神宮球場で行われたファーストステージ第2戦巨人対ヤクルト戦で先発したジャイアンツの菅野智之投手です。
この試合は1四球のみの準完全試合といわれる完ぺきなピッチングでヤクルト打線を全く寄せ付けず4-0で勝利、菅野投手自身もプロで初のノーヒットノーランを達成。平成最後のノーヒットノーランでもありました。
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日本シリーズやクライマックスシリーズなどのポストシーズンともなれば対戦相手もそれなりの戦力があります。まして短期決戦ならば次の登板機会も考えて、信頼できるリリーバーにスパッと投手交代することも多くなるのでしょうか。ノーヒットノーラン達成者がほとんどいないのは意外でした。
2020年読売ジャイアンツ対福岡ソフトバンクの日本シリーズ第3戦でソフトバンクのムーア投手が7イニングをノーヒットピッチング、あわやノーヒットノーランなるかという快投でしたが、8回にモイネロ投手に交代。
モイネロ投手は無安打に抑えましたが、9回クローザーの森投手が2死から安打を許し、結局複数投手によるノーヒットノーラン達成もなりませんでしたが、過去の日本シリーズあるいはクライマックスシリーズといったポストシーズンでの達成者はいるのか?まとめました。
長い日本シリーズの歴史、クライマックスシリーズでの達成者は菅野投手一人のみでした。複数投手による完全試合も1試合、ノーヒットノーランも1試合と実力のあるチーム同士によるポストシーズンの試合とはいえノーヒットノーラン、完全試合が少ないのも意外ではありました。