ここ数週間よく耳にするようになった「緊急事態宣言」という言葉ですが、緊急事態宣言とは、改正新型インフルエンザ対策特別措置法に基づく措置法に基づく措置です。この宣言は首相が地域と期間を定めて発令します。
対象地域の都道府県知事は外出自粛の要請やイベントを中止するよう指示することが可能となります。
緊急事態宣言を発令するためには、大きく2つの要件があります。
この2つの事態が発生したと認められる時に、基本的対処方針等諮問委員会の意見を参考に発令されます。
4月初旬の時点では緊急事態宣言は発令されていませんが、日本医師会は4月1日に「医療機器的状況宣言」を発表しました。医師資格を持つ国会議員から成る超党派議員連盟や財界からも緊急事態宣言を求める声や意見が相次いでいます。
これに対して阿部首相や政府内にも慎重な意見が強くあります。宣言発令により自粛ムードが一層高まれば日本経済への打撃は相当大きくなることが予想され、簡単に発令できないとしています。
安倍首相も4月1日の時点では全国的かつ急速な蔓延といった緊急事態宣言を出す状況にはないと考えており、国民の命、健康を守ることを第一に判断していきたいと発言しています。今後の感染状況を見ながら慎重に判断することになるでしょう。
この先地方都市にも感染が拡大するようなことになれば全国的な蔓延にまなりかねません。こうなれば緊急事態宣言が発令されることも大いにあり得るでしょう。
非常事態委宣言とは、災害や疫病などによる国家の危機に対して緊急事態のために政府が特別法を発動することを指します。災害対策基本法に基づく緊急事態の布告や今回の新型インフルエンザ等対策特別措置法にM都筑新型インフルエンザ等緊急事態宣言などが含まれます。
ので緊急事態宣言と非常事態宣言は日本国内においては同義、同じ意味で扱われますが、一般的には緊急事態宣言という用語が用いられています。
どちらかといえば非常事態宣言という言葉は海外でテロや紛争の発生時に非常事態宣言が行われる時に用いられ、新型コロナへの対応でアメリカのトランプ大統領3月に宣言したのも非常事態宣言でした。
アメリカでは国の安全に関わる緊急事態などへの対応を迅速にとる必要に迫られた際に大統領が宣言します。過去には2001年の同時多発テロや2009年の新型インフルエンザの感染拡大時に宣言されました。
緊急事態宣言が発言された場合、生活への影響はどうなるのでしょうか?仕事や会社にも行けなくなるのか?非常に気になるところではないでしょうか?
まず緊急事態宣言とはあくまでも「要請」にとどまるので、ニューヨークやヨーロッパで実施されているような「ロックダウン(都市封鎖)」とは大きく異なります。
日本の場合は、政府が緊急事態宣言を行うことにより各都道府県知事が当該都道府県民に要請や指示を行うことになります。新型インフルエンザ特措法の第45条にも規定がありますが、あくまでも要請となっています。
もう一方で「感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律(感染症法)」の第33条には、都道府県知事は緊急の必要がある場合など一定の条件のもとに72時間まで感染された場所のある交通を制限、遮断することができるとあります。
こういった法令により日本国内において強制力のある「ロックダウン」は72時間に限ってならば可能ですが、72時間を超えてのロックダウンはできません。
現在、東京都の小池知事は新型コロナウィルス対策特措法(改正新型インフルエンザ特措法)に基づく「緊急事態宣言」が出された場合の都の対応について会見がありました。
ここでも
とあくまでも要請であることを表明しました。これまで各自治体が実施してきた外出自粛の要請と変わらないことになります。このため強制力を持たないという点で海外のロックダウンとは異なります。
もちろん緊急事態宣言に基づく要請であれば今までよりも強い形での要請となりますので、これを無視して行動することは社会的な批判や冷たい視線を浴びることになるでしょうから効果がないわけではないでしょう。
では日常生活にはどんな影響が考えられるでしょうか?
要請である以上、強制力はありません。小池知事も食料品や医薬品などの生活必需品の販売や、銀行、証券取引所などをはじめとする金融サービスなど生活や経済活動を維持するうえで必要なサービスは、必要な衛生管理などを行ったうえで引き続き営業してもらうと説明してます。
このため通常の日用品の購入などの買い物には支障なくできることとなります。
鉄道や道路を遮断するといった強力な措置もとることはできません。特措法では、首相や知事が鉄道事業者など指定公共交通機関に関する総合調整を実施し運転停止を要請することは認めていますが、鉄道などを止める直接的な権限はありません。
国も緊急事態でも公共機関は継続することが基本としています。
また学校や保育所、百貨店やホテル、美術館、学習塾、ナイトクラブなど「多くの人が利用する施設」については、使用制限などを要請、指示することができます。大規模なイベントについても開催しないよう要請、指示ができますが、強制力はなく従わなくても罰則はありません。
しかし医療施設については、患者急増に対応する臨時医療施設の改札のために都道府県知事は土地や建物を所有者の同意なくして使用することができます。医薬品などの売り渡し要請を製造業者らに行うほかにも保管を命じたり、強制収容することも可能となります。
こういった臨時医療施設開設、商品確保の措置で事業者らに生じた経済的損失に対しては国、自治体に補償が義務付けられています。
以上のように強制力がないものの各要請、指示によりある程度の日常生活の自粛を念頭において行動することが暗に求められることにはなるかもしれません。会社や仕事も通常通り行うことは可能ですが、これも社会的な責任という点で各社が独自に制約をすることはあるでしょう。
実際にテレワークといた在宅勤務や時差出勤、交代勤務などの措置をとっている大企業はあります。しかし自粛による経済活動の縮小によって大打撃を受ける零細企業や個人事業の方にとっては仕事をしたくても仕事がないという状態に陥っています。
結果として通常の日常生活ができなくなる人々が増えるという事態になるので政府も慎重な判断が求められています。このため緊急事態宣言はこれらの人々への補償をどうするのかという案とセットで考える必要があるでしょう。
新型コロナウィルスの感染拡大を受けて「緊急事態宣言」という言葉があちこちで聞こえてくるようになりました。安倍首相はこの緊急事態宣言についてはまだ危機的状況にないとして慎重な姿勢を崩していません。
では緊急事態宣言とは?生活への影響や会社はどうなるのかについてまとめてきました。
このように医療施設の臨時解説など一部強制力を持つものもありますが、あくまでも要請です。自粛要請により日常生活で制約を受ける場面もありますが、基本的には日常生活を送るだけならば大きな支障はないでしょう。
ただし緊急事態宣言にもとづく要請となれば今まで以上に自粛ムードが高まるので、不要不急の外出を控える場面も増えるでしょう。さらに経済的な打撃も大きくなるため仕事がなくなって通常の日常生活が送れない事態になる人が増えることも予想されます。
このような国難ですから国民が責任のある行動をとることが求められますが、一方で経済的な大損失を被る人々に対してどのような補償をするのか?政府にも重くて厳しいかじ取りが求められます。
終息の見えない新型コロナウィルスの感染拡大で自粛などの我慢を強いられる時期がまだ続きそうです。1日も早く終息してくれることを願うばかりです。