まず一般的に大学野球といえば全日本大学野球連盟に加盟している硬式野球のことを指します。準硬式、軟式の大学野球部も存在しますが、ここでは全日本大学野球連盟に加盟している大学についてのみ触れたいと思います。
この連盟に加盟している大学は約380校あり、以下の26大学野球連盟のいずれかに加盟しています。それぞれの連盟でリーグが組まれていてリーグによって1部から最大4部までのリーグ構成になっています。
例えば東京六大学、関西六大学、仙台六大学など六大学の連盟はその名の通り6校による1部リーグのみですが、東都大学、首都大学、近畿学生などは20校前後が加盟して実力上位順に1部から3部あるいは4部まで複数のリーグで構成されるものもあります。
連盟 | 主な1部加盟大学 |
北海道学生 | 函館大、東京農業大北海道オホーツク、旭川大、苫小牧駒澤大、北海道教育大 |
札幌学生 | 星槎道都大、東海大札幌、北翔大、札幌大、北海学園大、札幌大谷大 |
北東北大学 | 青森大、青森中央学院大、岩手大、八戸学院大、富士大、ノースアジア大 |
仙台六大学 | 仙台大、東北学院大、東北福祉大、東北大、東北工大、宮城教育大 |
南東北大学 | 石巻専修大、東北公益文科大、日本大学工学部、東日本国際大、福島大、山形大 |
東京六大学 | 東京大、早稲田大、慶応大、法政大、明治大、立教大 |
東都大学 | 亜細亜大、国学院大、駒澤大、中央大、東洋大、立正大 |
千葉県大学 | 国際武道大、東京情報大、中央学院大、城西国際大、敬愛大、千葉商大 |
関甲新学生 | 新潟医療福祉大、山梨学院大、作新学院大、平成国際大、白鴎大、上武大 |
東京新大学 | 創価大、流通経済大、共栄大、東京国際大、杏林大、東京学芸大 |
首都大学 | 東海大、武蔵大、筑波大、帝京大、日体大、大東大 |
神奈川大学 | 神奈川大、神奈川工科大、関東学院、桐蔭横浜大、横浜国立大、横浜商大 |
愛知大学 | 愛知学院大、愛知工大、中京大、中部大、東海学園大、名城大 |
東海地区大学 | ※静岡、岐阜、三重の各県リーグ戦 |
北陸大学 | 福井工大、金沢学院大、金沢星稜大、北陸大、富山大、金沢大 |
関西学生 | 関西大、関西学院大、京都大、近畿大、同志社大、立命館大 |
関西六大学 | 大阪学院大、龍谷大、神戸学院大、京都産業大、大阪経済大、大阪商業大 |
阪神大学 | 大阪体育大、天理大、大阪産業大、甲南大、関西国際大、関西外国語大 |
近畿学生 | 大阪工大、和歌山大、大阪市立大、奈良学園大、阪南大、神戸大 |
京滋大学 | 佛教大、京都先端科学大、びわこ成蹊スポーツ大、京都教育大、花園大、大谷大 |
広島六大学 | 広島修道大、広島工大、広島国際学院大、広島経済大、広島大、近畿大工学部 |
中国地区大学 | 徳山大、環太平洋大、福山大、東亜大、吉備国際大、岡山商大 |
四国地区大学 | 松山大、四国学院大、高知大、愛媛大、香川大、高知工大 |
九州六大学 | 福岡大、西南学院大、九州大、久留米大、九州国際大、北九州市立大 |
福岡六大学 | 日本経済大、九州産業大、九州工業大、九州共立大、福岡工大、福岡教育大 |
九州地区大学 | 北部九州ブロック、南部九州ブロックのリーグ戦 |
このように各地区それぞれの大学リーグが存在しており、リーグ戦を行うことでリーグ内の順位を競います。それではこのリーグ戦はどのように行われ、どのように順位を決定するのでしょうか?
多くの大学野球リーグでは、春と秋にそれぞれ春季リーグ、秋季リーグを開催しており授業のない土日を中心に試合が組まれています。試合方式は各校1回ないし2回ずつの総当たり戦で、6校のリーグならば各校が他の5校とリーグ戦を行う仕組みとなっています。
ただしともに神宮球場を使用する東京六大学、東都大学は六大学が土日、東都が平日という試合日程を組んでおり、さらにプロ野球の東京ヤクルトの本拠地でもあるためナイターとの併用のある日は第一試合の開始時間を30分早めて行うなど変則的に行われています。
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各リーグ内に1部、2部など複数リーグがある場合は、それぞれの1部リーグ内、2部リーグ内で優勝を争うので、1部リーグと2部リーグの大学が試合をすることはありません。ただし各リーグ戦により順位が決定した後に、上位リーグの最下位校と下位リーグの優勝校による入れ替え戦が行われるます。
例えば1部リーグの最下位校と2部リーグの優勝校で1部リーグ残留ないしは1部リーグ昇格を競い合うこととなります。当然1部リーグと3部リーグが入れ替え戦を行うことはありません。この入れ替え戦を行うことが各リーグのレベルを維持、活性化することにつながっていると言えます。
リーグの順位の決め方は多くが勝ち点方式を採用しています。この勝ち点方式とは、通常同一カードで土日に2試合を組み先に2勝した方が「勝ち点1」を獲得します。1勝1敗ならば3試合目を行って勝ち越した方、2勝目をあげた学校に「勝ち点1」が与えられます。
この同一カードの試合を総当たりで1回ないし2回行って勝ち点が最も多い学校が優勝、以下勝ち点の順にリーグ内の順位を決定します。勝ち点が同じ場合には勝率で順位を決定、勝ち点、勝率が同じ場合は優勝校を決める場合に限りプレーオフを行います。
春季リーグは4月から5月、秋季リーグは9月から10月を中心に1か月半から2か月の期間内のほぼ毎週リーグ戦が行われて順位を競い合うこととなります。そして各リーグで優勝したチームは、各春季、秋季リーグ後に開催される全国大会へ出場することとなります。
全国の各大学リーグの優勝チームが日本一を競う全国大会は2種類あります。春季リーグの勝者が出場する全日本大学野球選手権大会と秋季リーグの勝者が出場する明治神宮野球大会です。
それぞれの大会で主催や出場校数も異なり、高校野球で言えば時期はそれぞれ逆となりますが、夏の選手権大会と全日本大学野球選手権、春の選抜と明治野球大会に近いイメージとなるかと思います。いずれもトーナメント方式ですので負けたらおしまいという点では同じです。
全日本大学野球選手権大会 | 明治神宮野球大会 | |
開催時期 | 6月 | 11月 |
主催 | 全日本大学野球連盟 | 日本学生野球協会 |
読売新聞社 | 明治神宮 | |
開催球場 | 明治神宮野球場、東京ドーム | 明治神宮野球場 |
第1回大会 | 1952年 | 1970年 |
出場校数 | 27校 | 11校 |
出場資格 | 全国26連盟の春季リーグ勝者(九州地区は南北2校) | 全国26連盟の秋季リーグ勝者による9ブロックの勝者 |
明治神宮野獣大会は、主催は日本高等学校野球連盟(日本高野連)と全日本大学野球連盟を傘下に置く日本学生野球協会であり、高校の部も開催されています。一方、全日本大学野球選手権大会は読売新聞社が2004年から加わっています。
読売巨人軍の親会社である読売新聞社が加わったことで、巨人軍の本拠地である東京ドームが2005年から併用されるようになりましたが、準々決勝以降は神宮球場で行われます。
どちらも50回以上の開催回数を誇る大会ですが、大会の歴史は全日本大学野球選手権の方が古く戦後間もない1952年に第1回大会が開催され、明治神宮野球大会は1970年に第1回大会が開催されています。
最も大きく異なるのが出場資格ですが、どちらも各地区の春季リーグ、秋季リーグで優勝しなければいけないのは同じですが、全日本大学野球選手権大会は全国各26連盟の春季リーグ勝者と九州地区連盟の北部、南部の勝者の計27校がそのまま出場権を得ます。
対して明治神宮野球大会は、東京六大学、東都大学の勝者はそのまま出場権を得ますが、それ以外のリーグ優勝校は北海道、東北、関東、北陸・東海、関西、中国・四国、九州の7ブロックの大会を勝ち抜く必要があります。
関東、関西のブロックは2枠与えられており、計9ブロック11代表校で日本一を競います。ブロックごとに出場校枠が分かれるあたりがセンバツ高校野球に近いイメージになるのかもしれません。
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このように全国の硬式大学野球部の頂点が春と秋に決定されます。1部、2部など複数リーグのあるリーグでは上位リーグへ上がることを目標とし、各リーグでの優勝を目指してリーグ戦を争います。さらにリーグ優勝校はその先にある全日本大学野球選手権と明治神宮野球大会で日本一を目指すのが大学野球となります。
春と秋に全国で開催されている大学野球、そもそも大学野球のリーグの仕組みや大会の種類について見てきました。
全国の硬式大学野球部は各連盟のリーグ戦を競い、優勝した大学はその後の全国大会に出場、日本一を目指すこととなります。ペナントレースをかけてリーグ戦を1シーズン戦うプロ野球と、春と夏に甲子園で日本一をかけてトーナメントを戦う高校野球の醍醐味が凝縮されているのが大学野球の面白さと言ってもいいかもしれません。
2020年は新型コロナウイルスの感染拡大のため第69回全日本大学区野球選手権大会は当初8月に延期されたものの、最終的には中止となりました。一方で秋季リーグは、各連盟ともに感染拡大防止に努めながら開催される方向です。
しばらくは無観客などの開催も続くかもしれませんが、秋に開催される明治神宮野球大会が無事に開催されることを願うばかりですね!