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ロボット球審・審判はどんな仕組み?MLBで5年以内に導入されるの?!

ロボットが球審?!

メジャーリーグ(MLB)でロボット球審・審判が5年以内に導入される可能性が出てきました。

2019年12月21日、MLB機構とMLB審判員協会(MLBUA)は5年間の労使協定を締結しました。その中でボール、ストライクを自動判定するシステムの開発、テストを行うことについて審判員協会側が機構側に協力することについて合意したようです。協定は2020年1月に30球団とMLB審判員協会の承認を経て正式に発効されます。

ロボットが球審を務める??どうもそういうわけではないようです。このロボット球審とはいったいどんな仕組みなのでしょうか?早速見ていきましょう!

ロボット球審・審判とは?

このロボット球審・審判とは一体どんな仕組みかと言いますと、デンマークのTRACKMAN社が開発した弾道測定機器「トラックマン」を使用したものです。このトラックマンとは、軍事用レーダーが弾丸を追尾(トラッキング)する機能を野球に応用したシステムです。

トラックマン自体はMLB30球団が本拠地の球場に設置、日本のプロ野球でも2014年に東北楽天ゴールデンイーグルスが導入したのを皮切りに現在では広島以外の11球団が導入しています。

トラックマンにより取得するデータは、

  • 投球データの場合は、リリースポイントの位置・球速・回転数(回転速度)・ボールの変化の大きさ、ホームベース到達時のボールの位置など
  • 打球データの場合は、打球の速度・角度・飛距離など

になります。

このトラックマンのトラッキングシステムを応用してボール、ストライクの判定をするのがロボット球審です。

具体的には、このトラックマンが捉えたボールの正確な位置を球審が身に着けたiPhoneで受信、イヤホンを通してこの判定結果を聞いてからボール、ストライクをコールします。球審は従来通り捕手の後ろに立ちます。ロボット球審と実際の球審の判定が違えば実際の球審の判定が優先されます。

実際には2019年7月に開催されたアメリカの独立リーグ、アトランティック・リーグのオールスターゲームで導入されました。その後も同リーグのシーズン後半でこのシステムが用いられたほか、アリゾナ秋季リーグのソルトリバー・フィールドの数十試合で試験的に利用されました。

このシステムによりどんな際どいコースでもボールかストライクかが一目瞭然になります。ただし「ワンバウンドでストライクゾーンに収まった球でも機械的にストライクと判定してしまう」「打者のハーフスイングまではジャッジできなかった」と欠点も指摘され、まだ改善の余地はありそうです。

ロボット球審の今後は?

このロボット球審が導入されることによってどんな影響があるのでしょうか?

まずアメリカでロボット球審を使用した球審は、「少し助けてもらっているだけで通常の任務と変わりはない。機械の助けを受けることでいつもより仕事がしやすい」とコメントしました。ジャッジの最終決定権は人間である球審が持っていることに変わりはないようです。

またメジャーリーガーの反応は、「判定が毎回正確ならもっといい試合になる」「審判ごとにムラのある判定がなくなる」「我々はビデオゲームの選手ではない。人間の要素は継続するべき」「審判のミスも野球の一部」と賛否両論あるようです。

アメリカ独立リーグで試験的に導入されたロボット球審ですが、MLBは以前からこのアトランティックリーグと大変密接な関係にあり、2019年2月には正式に業務提携契約を締結しました。この試験的な導入もMLBの支援と意向によって実現したものです。

この独立リーグでの導入を経て、ロボット球審を本格的に開発、テストを行うことに審判側も協力することが決まりました。MLBでは2020年に1Aのフロリダステート・リーグでこのシステム導入を検討しており、テストが順調に進めば21年には3Aで導入される可能性もあるようです。

MLBでロボット球審が導入されればいずれは日本のプロ野球でも導入が検討される時が来るでしょう。そうなればミスジャッジは明らかに減り、ストライク、ボールの判定に不満を漏らす選手もいなくなるでしょう。

一方で本来あってはならない審判ごとのムラもなくなりますが、このムラによる人間臭さもなくなるでしょう。高めに甘い、低めに甘いといった審判のクセを見抜いて投げるコースを変えるという戦略もなくなります。

プレイしている選手からすればジャッジの一貫性があって公平性が保たれる方がメリットが大きいように思いますが、判定によるドラマ性は少なくなっていくかもしれません。

それでも140㎞を超える球速の際どいジャッジを毎回行う審判側の疲労度も軽減され、選手からのクレームが減るなら審判側にとっても悪い話ではないかもしれません。VTRでアウトかセーフを確認する「リクエスト制度」など機械化の波は避けられない流れになっています。

MLBのコミッショナー、ロブ・マンフレッド氏は、メジャーリーグでの導入は未定としながらも「選手から『機械でストライクを判定すれぼ良いのに』とよく言われるが、そのような声に耳を傾けようとしている。このシステムは選手の心配の解決のためだけでなく、放送でも役立てファンにとっても価値あるものにしたい」とコメントしています。

またMLBのシニアバイスプレジデント、モーガン・ソード氏も「我々の目的は審判を取り除くことではない。実際、このテクノロジーで審判を支援しようとしている。主審の役目はボールの判定以外にもたくさんやることはある。審判組合ろコミュニケーションをとりながらこのプロセスを進めていく」と話しています。

このロボット球審は野球をより良いものにしようとするアプローチです。是非、今後の野球の発展に寄与することを願いたいですね。

まとめ

メジャーリーグ(MLB)でが5年以内に導入される可能性があるロボット球審・審判ですが、一体どんな仕組みなのか見てきました。

  • 実際にロボットが球審を務めるのではなく、トラックマンシステムを活用してボール、ストライクの判定を機械的に行う
  • ロボット球審の判定をiPhoneで受信。イヤホンからの判定を聞いて実際の球審がボール、ストライクのコールをする
  • 最終決定権は実際の球審、ロボット球審の判定と異なる場合は球審がジャッジする

といったところがロボット球審の導入の実態です。

このロボット球審の導入は

  • 2019年7月に開催されたアメリカの独立リーグ、アトランティック・リーグのオールスターゲームと同リーグのシーズン後半で導入
  • 2020年には1Aでも導入が検討、テストが進めば2021年には3Aでの導入も検討
  • MLBでの導入は未定ながら5年以内に導入される可能性もある

といった段階を経てMLBでの導入に向けてMLB機構とMLB審判員協会が開発、テストに協力して進めていくことを合意しました。

MLBで導入されれば日本のプロ野球でも間違いなく導入の検討がされるでしょう。MLBの重鎮がコメントしているように審判の支援、選手の声を反映しての導入の検討で野球をよりよいものにしていくための議論であれば、今後のプロ野球の発展に寄与するものであることを願いたいですね。

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